服部みれいさんが「セルフケアは確かな平和活動になる」と考える理由

 服部みれいさんが「セルフケアは確かな平和活動になる」と考える理由
磯沙緒里
磯沙緒里
2023-03-16

心と体が大きく変化する”更年期”。年齢とともに生じる変化の波に乗りながら生き生きと歩みを進める女性たちにお話しいただくインタビュー企画「OVER50-降っても晴れても機嫌よく」。第1弾は、文筆家・編集者の服部みれいさんにお話を伺いました。前・中・後編に分けてお届けします。

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セルフケアを通して体と対話する

ーーみれいさんはセルフケアをたくさんされながら、常にご自身の体と向き合って過ごされているイメージがあります。最近のおすすめのセルフケアとはどんなものですか?

服部みれいさん(以下、みれいさん):時代的にも必要性が高まっていて取り入れやすいものでいうと1つは瞑想でしょうか。私はTM瞑想の実践者でもあるのですが、瞑想は改めてすごくいいなと感じています。アーユルヴェーダの壮大な知恵の中でも、瞑想は改めて大切に実践しています。

瞑想
朝と夕20分ずつ毎日行う。東を向いて行うと良いそう。Photo by Fukutaro Hattori

あと、日々気軽に行う方法としては、こんにゃく湿布もおすすめです。東洋医学の自然療法なんですけど、こんにゃくを温めてタオルで巻いて、背中やお腹などに置くというものです。最近注目しているチャクラの観点で言っても、日本の女性は、お腹のあたりの第2・第3チャクラ周辺がちょっと弱めなのではないかと観察していて思うんです。そういう意味でも、お腹を温めることは多くの日本人女性にとっていいんじゃないかな。湯たんぽを置いてもいいですね。お腹を温めることは皆さんにおすすめしたいし、自分もできる限りやるようにしています。

服部みれい
20〜30ふんこんにゃくをしっかり煮て、タオルで巻いて温める。背中や足の裏もおすすめ。Photo by Mirei Hattori

ーー著書の中でこんにゃく湿布をパートナーにサポートしてもらうと愛が深まるとおっしゃっていたのが印象的でした。

みれいさん:背中はちょっと置きづらいし、置いてもらうとありがたい気持ちになりますよね。家族でも友達でもいいけど、誰かに背中を向けながらお願いしてやってもらう、養生しあうのってそれ自体もとても素晴らしいことだなと思います。

あとは、エドガー・ケイシー療法の「ひまし油湿布」。ひまし油っていう油を布にしみ込ませて、それで体に湿布するという方法があるんです。私は年に数回、集中的にひまし油湿布をしています。エドガー・ケイシーの知恵ってすぐにできることがいっぱいあるのでいいんですよね。

セルフケアは世界平和につながっている

ーー色々な知識が溢れてきて興味深いです。興味を持てるセルフケア方法に出合うと、すぐに試してみるのですか?

みれいさん:自分自身を向上させたい、進化していきたいという気持ちがあって、直感でいいなと感じたらすぐに試すようにしています。そして、セルフケアを通してひとりひとりが解放されたり、なによりも「その人自身になる」ということに対して強い関心があります。現代人の多くは、力んでいたり緊張していたり、いろんなものを抱えていて、「自分自身なんて2gしか存在しない」と言った著者の方もいたくらい。それくらいに親の観念やこれまで生きてきた中で受けた様々な影響によって「力んだ自分」が形成されているのかな。だから、セルフケアによって力みを解いて不要なものを取り除いていくと、その人本来のものすごく美しい魂が現れてくる。みんながそういう状態になって豊かさと幸福を味わっていけたら、世の中も自然と良くなると思うんです。

そういうわけで自分を大切にするとか、ケアするということは、個人の幸せに留まらないというのが私の考えなんです。セルフケアは、確かな平和運動になる。この世界を平和にするためには、まずは自分が幸せになることが大事で、まず自分をできる限り良い状態にする必要があるんじゃないかと。自分がすっかり満たされて、自分というコップから愛や豊かさがあふれてきたら、そのあふれるものを静かに差し出すことができる。これはハワイのロミロミを実践する大切な友人から教わった知恵です。

今、世の中がすごく大変になっていますよね。例えば戦争だったり、経済だったり、…今は時代の大転換期にあると思っています。こういう時は、どんな方法でもいいから、人の意識が変わってひとりひとりがより良い状態になることで、できるだけ速やかに、より良い状態へ移行できるといいなと思っています。世界中のひとりひとりが自分のことを大切にし尊敬し幸福にできたら、世界中の人が幸せになれますよね。

違和感に忠実になること

ーー自分を大切にすることが世の中を変えることに繋がるんですね。

みれいさん:はい。ひとりひとりが自分を大切にして本来の自分に戻っていけば、自然とこの世の中も変わっていくと思っています。

ーー自分を大切にするということがわからない現代人は多いと感じています。どのようにしたらいいと思われますか。

みれいさん:がんばらないってことかなと思います。そもそも、今、自分ががんばっているのかどうかもわかっていない人が多くて。わからない状況って、実はかんばりイエローカードかなと思うんです。いつがんばっていて、がんばっていないのかをまず自分で感じられるようにするかなと思います。

まず、一番わかりやすいのは「尿意や便意をもよおした時にちゃんとトイレに行っているかどうか」。忙しいと我慢してしまうんですよ。「もよおしに忠実に、違和感に忠実に」って、これもある友達が教えてくれたのですが、がんばっているとこの2つになかなか忠実でいられないんですよ。違和感があってもしょうがないとか、めんどくさいとかでスルーしてしまう。「がんばる自分」がデフォルトになると、本当は違和感を感じていても、自分の体の声を聞いて動くことがなかなかできなくなります。現代人はどうしても頭で動いちゃうけど、体の声にひとつひとつ気づいていくことから始めると良さそうです。色々なものが溜まっている人にとってはものすごく時間がかかると思うんですけど、焦らずに続けてみる。そう、玉ねぎの皮をむくように少しずつ少しずつ……。

体から出てくるものを祝福する

ーーその過程で、すごく悲しくなったり自分のことが嫌になってしまったりといった反応も出てくるかと思います。そういう時にはどんなアドバイスがありますか?

みれいさん:デトックスのお話とも通じるけど、どんなものでも「出る」ってすばらしいことなんですよね。だから、出たらラッキーって信じていなくてもいってみるといいと思います。また、自分の気持ちを自分でよくわかっていることも大事かなと。悲しくて涙が出たり、怒りが出てきても、出てくるものを祝福する。泣いてちゃダメだと思わず、出しっぱなしにするんです。悲しんでいる自分に対して、「そうだよね。悲しいよね、腹たったよね。」というふうに自分が自分にたっぷり共感して寄り添うのが大事だと思います。

例えば部屋が散らかっていて、友達が来るからと慌てて散らかったものを押入れに押し込むこと、ありませんか?でも、その押し込んだモノって、ただ押し込んだだけで、なくなっていないですよね。それと同じで、感情もなかったことにはできない。感情もいつかは表に出さないと、なくなりはしないんです。

出す過程は、特に最初は不快かもしれません。自分で見るのも嫌かもしれないけど、でも考えてみて欲しいのは、「何もなかった顔をして涼しい顔して元気なふりをしている自分」をずっとし続けていても、押し込めているものはなくなりはしない、ということです。出しちゃったら軽くなって楽になることは間違いない。出したら終わりだから、どんどん出せるといいと思います。少なくとも、私もまだその過程なんです。一生かけて出していくんだと思うんですけど、出せば出すほど軽くなり、自分の1番美しい部分に気づいていけるようになります。それは本当に本当にありがたくここちよく、気分のよい体験です。

ーーみれいさんは、衣類など持ち物も断捨離されていましたよね。それも1つのデトックスとして良い作用がありましたか?

みれいさん:ある時期にものすごい断捨離をしたのもよかったですね。溜め込んだモノも、自分の感情もいつかはデトックスする必要があるんでしょうか。自分を大切にするための方法を試し始めると、必ずなにかしらは出てくると思います。そこで出たことを祝福し続ける。この繰り返しかなと思います。

ーー例え今は不調を感じていなくても、わたしたちが自分のためにできることはたくさんありますね。

みれいさん:そうです。何か問題が起きてから対処するだけではなく、デトックスを先に済ませておくという手はあります。まさに更年期症状にも通じますね。その際に、ヨガしたり、半身浴したり、セルフケアを積極的に行うというのは、デトックスを加速させます。今のわたしも、不調があるからセルフケアをしているのではなくて、より本来の自分に戻っていくため、より自分自身の未来のエネルギーを出していけるようにするために行っています。

体の声に逆らわない

ーーみれいさんは、なんらかの不調の真っ只中にある時、どんな風に過ごされるのですか?

みれいさん:休む!とにかく休みます。みなさん、もっと休んだほうがいいと思うんですよね。横になると人間はやっぱり休まる。ただ横になるとか、ごろごろするとか、とにかく楽な過ごし方をする。体の声に逆らわないってことですよね。ただボーッとするような時間もとても大切にしています。

ーー仕事を休みにくかったり、休むことに対する罪悪感があるなんて声も聞きますが、アドバイスはありますか?

みれいさん:それはね、自分が生きる上での目標・目的がはっきりしてないからではないでしょうか。自分がどういう暮らしをしたいか、どういう仕事をしたいか、自分の役割が一体何なのか、はっきりしていると、その日その時自分が何をしたらいいか、葛藤なく選べると思います。

私は、上手に休んだり、養生したり、セルフケアしたりすることって、ある意味で仕事のうちに含まれているとい思うんです。例えば私の場合、自分がいい状態で本を作ったら、その良い周波数が本に入りますよね。だから、自分はどういう本を作りたいのかを自分で知っておく必要があります。そうすればどういう自分でいたらいいか、何をしたらいいかがわかると思うのです。

ちなみに私は、セルフケアの合間に仕事をしているみたいな状態です。だからこそ、限られた時間でいかに集中してできるかが大事。今は、オンライン化の弊害なのか、絶対的な物量やスピード感がトゥーマッチになってきている。だから、できない自分を攻める必要はなくて、おかしいと感じたら「もう無理!」と白旗を上げればいい。それが、自分も周りも守ることに繋がると思うんですよね。もっと快適な状況を選べたら、もっと充実するし、良いクリエイションができて豊かになると思います。

後編では、50歳からの人生や働き方についてお話を伺います。

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磯沙緒里

磯沙緒里

ヨガインストラクター。幼少期よりバレエやマラソンに親しみ、体を使うことに関心を寄せる。学生時代にヨガに出合い、会社員生活のかたわら、国内外でさまざまなヨガを学び、本格的にその世界へと導かれてインストラクターに。現在は、スタイルに捉われずにヨガを楽しんでもらえるよう、様々なシチュエーチョンやオンラインでのレッスンも行う。雑誌やウェブなどのヨガコンテンツ監修のほか、大規模ヨガイベントプロデュースも手がける。



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