漫画家ひうらさとるさんが語る「抗わない心地よさ」 連載 #OVER50 降っても晴れても機嫌よく
心と体が大きく変化することから「第二の思春期」とも言われている”更年期”。年齢とともに生じる変化の波に乗りながら生き生きと歩みを進める女性たちにお話しいただくインタビュー企画です。第2弾は、漫画家のひうらさとるさんにお話を伺いました。
18歳で漫画家デビューして以来、『ホタルノヒカリ』『聖ラブサバイバーズ』など多くのヒット作を生み出し続けているひうらさとるさん。43歳で出産後、温泉地として有名な城崎へ移住し、仕事と育児を両立されています。年齢を重ねる毎にますます生き生きと活動的なひうらさんに、多忙な日々でも健やかに年齢を重ねる秘訣を伺いました。
かつては仕事中心の生活だった
ーー長年お仕事をされてきて、多忙を極める日々を送られていると思います。それでもなお、SNSで頻繁に発信をされながら、voicyで声での発信も始められるなど、新たな活動にも意欲的でいらっしゃいますよね。ひうらさんは昔から活動的なのでしょうか?疲れたりはしないのですか?
ひうらさとるさん(以下ひうらさん):30代の頃は、忙しかったこともあって今よりずっと疲れていました。気力がなくて、スーパーに買い物に行くのも食材管理をするのもしんどかった。広いスーパーを歩く元気すらないから、コンビニでその日に食べるものだけ買って済ませていたくらい。ひどい食生活だったし、寝るのも深夜2時とか。めちゃくちゃな生活をしていましたね。
ーー週刊連載の漫画家さんより描かれていた時期もあるとvoicyでお話しされていましたよね。その仕事量で不摂生をしても体を壊すことはなかったのですか?
ひうらさん:そうですね。1番描いていた時期は月に160ページくらい描いていました。そんなわけで、当時は食生活にも気を使っていないし、運動もしていなかったんですけど、なんとか病気はしなかったんです。そんな生活を30代まで続けてきました。ある時、都内で引越しをしてから生活が変わり始めたんです。駅前にスーパー銭湯がある土地に住んだので、23時くらいまでに仕事を切り上げてお風呂に入りに行くようになりました。その後にスーパーのタイムセールでお刺身を買って帰るような生活に変わって、生活がマシになってきました。それまでは深夜に寝るまでろくに食べないこともあったのですが、結婚してからはきちんと食べるようにもなって、人間らしい生活になりました。さらに、今では朝型生活に切り替えて毎日22時くらいには寝ているので、健康的な生活ができていますね。
出産を機に朝型生活へ
ーー朝型生活に切り替えられたのは出産されてからですか?
ひうらさん:そうですね。子供が乳幼児の頃はもっと早くて3〜4時に起きていたんですけど、今はもう少し遅いです。5時起きくらいですね。
ーー健康的な生活になって、仕事の仕方にも変化はありましたか?
ひうらさん:以前は、自分にその日の仕事のノルマを課して、「それが終わるまでは」って限界まで働き続けては力尽きて、そのまま寝るような働き方でした。自分を過信して予定を詰め込み過ぎては失敗して。今思うと苦しいですよね。
今では18時には仕事を切り上げることにしています。今は温泉街に住んでいるので、仕事を切り上げたら外に出るんです。町に7つの温泉があって、徒歩1分の温泉が1つ、徒歩3分の温泉が2つあるので、どこかしらの温泉に毎日行っています。1回110円で入れるので、家でお風呂を入れる光熱費を考えても安いくらいです。温泉を出たらそのまま外でごはんを食べたり、友達と飲んだりしています。仕事を終える時間を決めてからは精神的な負担がなくなりましたね。
ーー出産と朝型生活がもたらす変化は大きいですね。
ひうらさん:娘ができて、夜寝るのがとにかく早くなったんです。なにしろ、一緒に寝ないといけないですから。初めは寝かしつけてからもうひと仕事しようと思ったんですけど、全然できなくて。それで、漫画家のおかざき真里さんに相談に乗ってもらいました。おかざきさんは『サプリ』や『&』を描かれていてお子さんもいらっしゃる漫画家の友達です。「夜早く寝ちゃうから仕事が全然できない」って相談したら、「早く寝て朝型にして、子どもにサイクルを合わせたほうがいいよ」って言われたものだから、とりあえずやってみたんですよ。そしたら、早い時間に一緒にぐっすり寝て、早起きするのはわりと大丈夫だったんですよね。しかも、その生活に変えたら体調まで良くなりました。
ーーお子さんが成長されても朝型生活は続いているんですね。
ひうらさん:そうですね。そのほうがストレスを溜め込んで仕事をしている感覚にならないんです。日々の仕事時間は昔より少ないんですけど、コンスタントにできるようになったので、仕事量自体はあまり変わらないんです。
AUTHOR
磯沙緒里
ヨガインストラクター。幼少期よりバレエやマラソンに親しみ、体を使うことに関心を寄せる。学生時代にヨガに出合い、会社員生活のかたわら、国内外でさまざまなヨガを学び、本格的にその世界へと導かれてインストラクターに。現在は、スタイルに捉われずにヨガを楽しんでもらえるよう、様々なシチュエーチョンやオンラインでのレッスンも行う。雑誌やウェブなどのヨガコンテンツ監修のほか、大規模ヨガイベントプロデュースも手がける。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く