化粧水だけでは潤わない!肌全体を保湿して身体のバリア機能アップさせる「肺の経絡セルフタッチ法」
秋冬にかけては空気の乾燥=身体も乾燥しやすい季節です。陰ヨガの土台にある中医学において、肺は乾燥によるダメージを受けやすい臓器。呼吸のはたらきだけではなく全身に津液(水分)を行き渡らせるなどさまざまな働きを担っていると考えられています。身体のバリア機能も司っている為、全身を覆う皮膚とも深い関係があり肌の過度な乾燥、皮膚のかゆみや湿疹などの肌トラブルや咳、鼻詰まりなどの呼吸器系のトラブル、便秘などの症状は肺の潤い不足のサイン。外からのお肌の保湿習慣で毛穴の働きをサポート&内臓をケアする陰ヨガで美肌と内臓ケア。内側から潤いのある身体を養っていきましょう。
身体のバリア機能を高めて超乾燥シーズンを乗り切ろう
私たちの心身は、自然の営みの中で生活しています。季節ごとに変化する気候や環境の影響を無意識のうちに受けています。
冬は空気の乾燥した日々が続く季節。人目に触れるお顔の保湿はしっかりするのに、身体のお肌の保湿はついつい後回しで常にガサガサ状態。心当たりのある方も多いのではないでしょうか?
保湿=美容というイメージがあるかもしれませんが、実はお肌の保湿をして肌を健やかに保つと、身体のバリア機能が高まるなどメリットがたくさんあるのです。
日本には乾布摩擦という古くから伝わる健康法があります。乾布摩擦というと、ゴシゴシと刺激の強いもので肌を直接こすることによって健康効果を得られると思われがちですが、肌に強い刺激を与えると皮膚を傷つけてしまうことも。乾布摩擦の効果は、肌をやさしくこすることで十分得ることができます。
服の上からこするだけでもOKですし、保湿する際に素肌を手のひらでで直接皮膚をこするだけでも効果があります(セルフタッチ)。
皮膚に刺激を与えることで、血管が拡張し体がポカポカに。自律神経のバランスを整える効果もあるのです。
皮膚にはどんなはたらきがあるのか、また、お手入れをすることで美肌効果はもちろん身体にはどんな良い効果がもたらされるのかを理解することで、三日坊主になりがちな方はもちろん日頃からお手入れをしている方にも。ヨガやボディケアのセルフメンテナンスがより充実した時間になるのではないでしょうか?
今回は、皮膚の仕組みやはたらきと、肺の経絡の詰まりを解消するセルフタッチと陰ヨガポーズをご紹介します。
中医学的にみた肺と皮膚の関係
陰ヨガの土台にある中医学では、陰陽五行説をもとに、肝・心・脾・肺・腎の5つの五臓が助け合い、ときには制御しあってバランスを取り合いながら健康を維持していると考えられています。
五臓の中で「肺」は主に呼吸器系のはたらきを担っていて、脾で作られた気と水分を受け取って全身に散布する役割も持っています。
体表に散布された気は、病邪を跳ね返す「バリア」としても機能します。この役割を担っている気は衛気(えき)と呼ばれ、バリア機能以外にも身体を温めたり、身体の表面部にある皮毛や汗腺にはたらきかけて発汗を調節したりします。
ただし肺はとても乾燥に弱い臓。呼吸は鼻から気管支を通ってダイレクトに肺に伝わりますが、乾燥すると、のどや鼻の乾燥、乾いた咳、粘りのある痰、気管支炎や気管支喘息など呼吸器のトラブルに。
肺が弱ることでバリア機能が弱まり、風邪を引きやすくなったり、皮膚の乾燥や痒みを感じたり、体内の潤い不足から便秘の原因にもつながります。
〜皮膚のはたらき〜
皮膚は人体最大の臓器です。日本人の成人の平均で約1.6m²の面積(およそ畳1枚分)重さは体重の約16%もの重量を占めており、さまざまな身体の役割を担っています。
◯体外からの刺激(機械的・物理的な外力、化学刺激物質、微生物、紫外線など)から体を守る保護作用
◯皮脂や汗を分泌して、皮膚の乾燥を防いだり、細菌の繁殖を防いだりする分泌作用
◯暑いときに汗を出して体温の上昇を防ぎ、寒いときには毛穴が閉じることで体内の熱が逃げないようにする体温調節作用
◯皮下に脂肪を蓄える貯蓄作用。体内の老廃物を汗腺から汗として体外に排出する排泄作用
◯触覚や痛覚、温覚・冷覚、かゆみなどの感覚をとらえる知覚作用
中でもとくに重要なものに「バリア機能」があります。
皮膚は大きく分けて、外側から表皮、真皮、皮下組織で構成されています。表皮の角質層は、角質細胞がレンガを積み上げたように重なっていて、外界からの刺激や異物の侵入を防ぐ役割(バリア機能)を果たしています。私たちの体は、このバリア機能によってアレルギーの原因物質や細菌・ウイルスなどが体内へ侵入するのを防いだり、体内の水分が皮膚から失われるのを防いだりしています。
乾燥した皮膚は毛穴が開いた砂漠状態。皮膚の水分の蒸発が早めるため、肌の突っ張りや、肌荒れ、かゆみ、小じわなどが現れます。
たくさんの役割を持っている皮膚。バリア機能は、外からの刺激に対して身を守る力=免疫力です。
お肌を労ることでその力が高まるということがお分かりいただけたでしょうか?
乾燥の季節、お肌を健やかに保って身体も心も免疫力アップ!
外からの乾燥には皮膚から、体内の潤い不足や肺のダメージは陰ヨガで五臓から。身体の外側、内側から健やかに、美しく潤いのある毎日を過ごしていきましょう。
肺の経絡タッチのやり方
肺の経絡は肩の前側を通って腕の親指側を走っています。そのラインを意識しながら行いましょう。気持ちよさを感じる強さで行います。
①右手のひらで左の肩の上から腕を手のひらに向かってポンポンとタッピング。5往復程度行います。
②同じラインを腕を包み込むように手のひらで圧をかけながらこすります。ポカポカしてきたら血行が良くなった証拠です、反対の腕も同様に行います。
オープンウィングポーズのやり方
①うつぶせになり、数呼吸して身体が落ちついたら状態を起こして、右腕を手のひらを下にした状態で横に伸ばします。
②上半身を左側に起こして、横向きになります。肩の内側、肩関節の前側にじわじわと広がる刺激を感じる場所で2分ポーズを行います。
※首の後ろが圧迫されないようにこめかみの下にブロックやクッションをいれてポーズの深さを調整してください。
③力を抜いて、呼吸と身体の感覚をじっくりと味わってみてください。反対側も同様に行います。
セルフタッチと陰ヨガポーズの方法は動画でご覧ください
AUTHOR
高西由貴子
内臓ケアサロンMaitriesセラピスト 陰ヨガを通じて出会った中医学の学びを続けながら、都内を中心にサロンオーナー、ヨガインストラクター、セルフケア講座のセミナー講師と多岐に渡って活動。2020年、より一人一人の心と身体をサポートしたいという想いを元にボディケアサロンMaitriesをオープン。心と身体両面から、女性の美と健康のサポートをしている。
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