【ラップの芯は捨てないで】委縮や癒着に驚くほど効く「ラップ芯を使った筋膜リリース」理学療法士考案
理学療法士の堀川ゆきさんが、日常生活に役立つ身体の知恵とともに、日常生活の癖による歪みや筋力不足などを解消し、心と体をリセットする簡単エクササイズを紹介します。
筋膜とは?
筋肉は「筋膜」とは筋肉を包んでいる薄い膜のことです。スーパーで買った鶏肉を思い出してください。お肉の表面に薄い半透明の膜が張っていますよね。あれが筋膜です。筋膜は全身に張りめぐらされていて、
・萎縮(いしゅく:小さく縮んで変化して機能しなくなること)
・癒着(ゆちゃく:本来は分離している所がくっついてしまうこと)
しやすい特徴があります。
この筋膜の委縮や癒着が、身体のコリや痛み、筋出力の低下、筋肉の柔軟性の低下、関節の可動域の低下を招いてしまうことがあります。
筋膜リリースとは?
リリースとは「解除する」「解きほぐす」という意味があります。筋膜リリースの目的は、筋膜のねじれやよじれを元に戻して、筋肉と筋膜の本来の柔軟性を回復して、筋肉が正しく動いて働くようにします。また筋肉や筋膜の硬さによって制限されていた関節の可動域を拡大することにあります。クシャクシャになっていた筋膜に、アイロンをかけるように滑らかにしていくのが筋膜リリースなのです。
ラップの芯を使って
筋膜リリースに、今回はラップの芯を使います。どの家庭にもあるものですよね。ラップを使い切ったら芯は捨てずに必ず取っておいてください。私は家でラップを使い切るたびにラップ芯を職場の大学病院へ持って行き、それをリハビリの際に患者さんにその場でお渡ししています。自宅のラップを使い切るまで数日待ってもらっているうちに、これから紹介する筋膜リリースの方法を忘れてしまったら非常にもったいないからです。
筋膜リリースをやってみよう
さて、ラップ芯で筋膜リリースをやってみましょう。今回は5部位紹介します。それぞれ1分間ゴシゴシと適度な力でこすってみましょう。ラップ芯はコロコロ転がすのではなく、両端をしっかり握って同じ面でこするようにします。身体は平面ではないので、少しずつラップ芯をあてる角度を変化させながら行ってください。
①もも裏(ハムストリングス)
もも裏が硬い人は非常に多いです。腰痛にも直結しますし、硬いと怪我を起こしやすい部位です。ももの裏をお尻から膝裏にかけて、左右それぞれ1分間こすります。
②ふくらはぎ(下腿三頭筋)
ふくらはぎの張りや疲れ、ムクミに効きます。ふくらはぎを膝裏からアキレス腱にかけて、左右それぞれ1分間こすります。
③肩(僧帽筋上部)
肩こりの人にオススメです。肩を首の付け根から肩先まで、左右それぞれ1分間こすります。
④後頭部(後頭下筋群)
眼精疲労や肩こり、偏頭痛の人にオススメです。後頭部をうなじから耳の高さくらいまで1分間こすります。
⑤腕(前腕屈筋群・伸筋群)
パソコン操作やスポーツなどで腕を酷使している人にオススメです。前腕を肘から手首にかけて左右それぞれ1分間こすります。
まとめ
実際にこの筋膜リリースをやってみると、とても気持ちいいことに驚いてもらえると思います。「ラップの芯がこんなに活躍するなんて!」と患者さんも喜んでくださいます。他にも、頭頂部・腰・臀部・スネなど、まだまだ使える部位はあります。身近なアイテムで簡単に筋膜リリース、ぜひ始めてみてくださいね。
参考:竹井仁「自分でできる!筋膜リリースパーフェクトガイド」自由国民社,2019
TRRIGER POINT「筋膜リリースとは?」
https://muellerjapan.com/triggerpoint/about/fascia-release
AUTHOR
堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。
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