【更年期の筋肉貯蓄が健康のカギ】更年期世代の筋トレ術!生涯動ける体を作る『貯筋トレ』とは?

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更年期の「食べないダイエット」に警鐘!筋力が急速に低下します

― 女性の体にさまざまな変化が表れる更年期。太りやすくなるのもそのひとつですが、更年期世代のダイエットは何に気をつけたらいいですか?

「まず更年期に太りやすくなる原因から見ていきましょう。女性ホルモンのエストロゲンには悪玉コレステロールの生成を抑制する働きがあります。エストロゲンの分泌が急減に減少する更年期は悪玉コレステロール値が上昇するため、内臓脂肪が増えて太りやすくなるのです。そこでダイエットを試みるわけですが、食べないダイエットに走るのは危険。過度な食事制限中は体が飢餓状態になり、その状態で有酸素運動をすると体は脂肪を減らしたくないので代わりに筋肉が失われる結果に。そして筋肉が減ると代謝が落ちて脂肪が燃えにくくなるという悪循環へ突入……。ダイエットをする場合、五大栄養をバランスよく摂取しながら食べる量を調整して。特に筋肉の材料となるたんぱく質はきちんと摂り、食事と運動の両輪で健康的にシェイプしましょう」(村越美加先生) 

エストロゲンの減少は骨に与える影響も大。骨を丈夫に保つには?

― 更年期は筋肉量の低下だけでなく、骨も弱くなりがち。それはなぜですか?

「年齢を重ねると骨粗しょう症になりやすいので、骨の健康も気になりますね。骨は古い骨を溶かして新しい骨がつくられますが、その新陳代謝のバランスを取っているのがエストロゲンです。閉経してエストロゲンの分泌が止まると骨を壊す細胞が活発に働き、生成が追いつかず骨がスカスカな状態に。これが骨粗しょう症と言われる状態で、胸を開いただけで鎖骨が折れるなど骨折リスクが高まります」(村越美加先生)

骨粗しょう症
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― 骨もトレーニングすれば強化できますか?

「エストロゲンの減少は避けられませんが、骨密度の低下は骨に適度な負荷をかけることで予防でき、骨に振動を与えるワークやウォーキングを行うのがおすすめです。また強い骨をつくるには栄養面も大切。骨の主成分であるカルシウムに加え、その吸収を助けるビタミンDとビタミンK、コラーゲンを維持するビタミンB6、ビタミン12、葉酸などを意識して摂る必要があります。ビタミンDは日光を浴びることで生成されるので、1日20分~30分は陽に当たる生活を心がけて」(村越美加先生)

■骨密度の維持に有効な栄養素と食品例

  • ●カルシウム:牛乳、チーズ、ヨーグルト、ちりめんじゃこ、豆腐、小松菜、モロヘイヤなど
  • ●ビタミンD:シラス、イサキ、きくらげ、干しシイタケ、卵など
  • ●ビタミンK:鶏モモ、小松菜、ブロッコリー、乾燥ヒジキ、とろろ昆布、納豆など
  • ●ビタミンB6:マグロ赤身、鮭、鶏ムネ、豚ヒレ、バナナ、さつまいも、玄米など
  • ●ビタミンB12:サンマ、サバ、カキ、ハマグリ、牛・鶏・豚レバーなど
  • ●葉酸:ホタテ、海苔、ワカメ、牛・鶏・豚レバー、イチゴ、枝豆、納豆など
骨密度食べ方
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「ピンチはチャンス!」54歳インストラクターに学ぶ更年期の過ごし方 

― 村越先生自身も更年期世代。運動習慣があるインストラクターという職業柄、更年期も溌剌と乗り切っているメージですが、実際はどうですか?

「54歳を迎えてから肩に痛みが出て関節の可動域が狭くなるなど、運動してきたインストラクターの私でも体の変化を実感しています。インストラクターは体が資本なので不安がないと言ったら嘘ですが、今の体の状態を受け入れて痛みが軽減する体の使い方やストレッチを考え、年齢と折り合いをつけてやっています。体調が変化する更年期は自分の体を勉強する良い機会。ピンチをチャンスとして捉え、身を持って学んだことを同世代の生徒さんへの指導に活かしたいです」(村越美加先生)

― 更年期になると精神的に落ち込みやすくなることも。心のゆらぎと上手につき合うコツがあれば教えてください。

「生徒さんの前では元気な私ですが、更年期の影響なのか以前より落ち込みやすくなりました。私の場合、仕事と家庭と母親のケアを同時進行中、だから何かと考えることが多くて……。そんな私がアドバイスするとしたら、すべて完璧にこなそうとしないで、その日やるべき事柄に優先順位をつけてそれができればOKにすること。またタスクをこなすだけの生活は息苦しくなるので、一週間にひとつでも楽しい計画を立て、自分らしくいられるご褒美時間をつくるのもおすすめです。そして何より大切にしたいのが自分自身の健康管理。無理して体を壊さないためには、若い頃と同じ体力ではないことを自覚することも必要ではないでしょうか」(村越美加先生)

教えてくれたのは…村越美加先生

ヨガ・フィットネス・ピラティスインストラクター。フィットネス運動指導歴34年。健康運動指導士、介護予防運動指導員。大手スポーツクラブの正社員として9年勤務しチーフインストラクターとして、エアロビクス、ヨガ、ピラティス、ボディメイクトレーニングの指導のほか、インストラクター管理、インストラクターの教育&育成業務を担当。現在はフリーランスに転向し、ヨガ、ピラティス、エアロビクス、シニアエクササイズの指導のほか、インストラクターの教育や養成コースの講師、企業出張フィットネス、講演、メディアにおけるエクササイズモデル、エクササイズの監修、モデル業と幅広く活動中。

photo by Mitsuaki Aoyagi
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text by Ai Kitabayash

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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