股関節が硬いことは悪い?悪くない?|ヨガ解剖学
アスリートもそうでない人も股関節についてかなり勘違いをしている。今回は根拠のない神話的要素を払拭して、股関節の解剖学的構造と機能について説明したい。
私はアスリート(特にクロスフィットアスリートと重量挙げ選手)を対象にヨガを指導しており、スポーツ特有の股関節の故障に対応するほか、股関節の機能に関する誤解を解くのに相当な時間を費やしている。最近、Yoga Journal Live!でティファニー・クルクシャンクによる指導者向けワークショップ(マスター・シリーズ)を受講する機会に恵まれた。このワークショップでは、股関節の働きについて幅広い知識を得ることができ、股関節の生体力学についての理解が格段に深まった。股関節を安定させ、効果的に足を踏み出し、安全にしゃがむ鍵はなんだろうか。股関節と股関節周りの筋肉の解剖学的構造をめぐる神話的要素を払拭し、皆さんの疑問を解消したいと思う。
第1の神話:股関節が硬いのは「よくない」ことだ
多くのアスリートはヨギに比べると信じられないほど股関節が硬い。これは悪いことではない!股関節は本質的に体に安定をもたらすためにできている関節であり、アスリートであれば誰でも、足を踏み出した時に左右にぐらつかず適切なアライメントを保って両脚を支えるために、股関節を曲がりにくくしておく必要がある。例えば、ランナーは股関節の緊張と脚の機動性を組み合わせることによって、脚を効率的に前に運んでいく。股関節が安定していれば、膝関節に余計な負担をかけずにすむ。膝関節は、股関節にしっかり支えられていなければ、使いすぎによってさらに損傷しやすくなる。
第2の神話:股関節を開く努力をしなければならない
これは正しいとも間違っているとも言える。股関節の主な役割は体を安定させることだが、どんなスポーツをするにせよ健全な可動域を維持することはきわめて重要だ。重量挙げの選手の股関節があまりに硬ければ、きちんと深くしゃがむことができない。ランナーの股関節が極端に張っていれば、ストライドが狭くなり、徐々に速度が落ちていってしまう。何事にも言えることだが、中庸が肝心だ。パワーと柔軟性のバランスを取ろう。どのスポーツにもそのスポーツに適したバランスというものがあり、それが安全で効率的な動きを可能にする。
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