「ありのままの体でいい…」メディアの影響によるボディイメージを覆そう|新しい体のとらえ方とは?
ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!~エンボディメントコーチが提案してくれた新しい体のとらえ方とつながり方~
すべてはエリカ・マザーの頭の中から始まった。
彼女は20代半ばにひどい偏頭痛に悩まされるようになった。何年も苦しんだ後、痛みが改善することを願って彼女はヨガを始めた。頭痛はおさまらなかったが、プラクティスがきっかけとなって、マザーは自分の体との関係について考え直すことになった。
マザーは長年、パフォーマンス能力を基準として体を見ていた。水泳やセーリング、ウィンドサーフィンをしながら育った彼女の体への評価は、体型や身体能力によるものだった。皮肉なことだが、ヨガによってその考えは変わった。
「ヨガでは、ありのままの体でいてよかったわ」彼女は話す。「それだけで十分な価値があるというとらえ方は、女性が言われてきたことと正反対なのよ」
ヨガの経験を経てマザーは、ダイエットやボディイメージへの社会的影響、心と体とのつながりなど、体の認識の仕方について強い関心を抱くようになった。
マザーは2006年にフォレストヨガのトレーニングを修了し、体への肯定的な気づきや、前向きな言葉を指導に取り入れたクラスを教え始めた。彼女はまた、Adore Your Body Transformational Programという7つのステップのプログラムをつくり、『Your Body, Your Best Friend:End the Confidence-Crushing Pursuit of Unrealistic Beauty Standards&Embrace Your True Power』という本を執筆した。
彼女の活動にはすべて、ヨガ、スピリチュアリティ、ボディイメージのコンセプトが取り入れられ、体をさまざまな次元で理解できるようになっている。
メディアのイメージづくりによるボディイメージへの影響
人は生まれたその日から、家族やクラスメート、他人の言葉などから、自己を認識するうえでの影響を受けるのだとマザーは言う。その後は、メディアがつくるイメージが、決定的な影響となる。マザーは、自分自身の(そしてすべての人の)体型や体の能力に対して、新しいとらえ方ができるようにクライアントを勇気づけながら、人やメディアからの悪しき影響に立ち向かっている。
彼女の活動は、前向きなアファメーションやインスタグラムの投稿を超えた域に達している。人々が体の存在そのものに対する見方や考え方を変える手助けをし、病気になったり、年を取り始めたときの体の変化を理解できるよう、クライアントをサポートしているのだ。
「私たちは、鏡や体重計、サイズを間違った方法で使っているのよ。みんなが投票で決めたみたいに。あたかも、私たちのすべてをそれで測ることができるかのようにね」。彼女は本誌に「そんなことはできない」というタイトルの記事を書いている。
彼女の願いは、自分の活動がきっかけとなり、ヨガの世界で、体と心について話すというコンセプトが生まれることだ。彼女はヨガ哲学でいうコーシャ(5つの層、「鞘」)を積極的に取り入れている。アンナマヤコーシャ(物理的な体)が、プラーナマヤ(生命エネルギー体)、マノーマヤ(精神の体)、ヴィグニャーナマヤ(智慧の体)、アーナンダマヤ(至福の体)という、他の4つのコーシャとどのように関わり、頼っているのかを明らかにするのだ。「コーシャは、心や精神を見ずに体に意識を向けることはできない、ということを思い出させてくれる」と彼女は話す。
体への不安を根こそぎにする
体ではなく自分自身を嫌っている、というのが、多くの人が抱える体への不安感の大元にある原因で、マザーがアプローチするのもこの部分だ。こういう気持ちを根本的になくすのは簡単ではない。広告やメディアで強化され、ヨガのクラスでも多くの人が感じている、痩せていたほうがいいという社会からの要求は、自分を見る目に強力な影響を及ぼしている。マザーは、こういったメッセージに繊細に気づき、断固として拒否し、自分(と自分の体)が本来の姿でいられる場所へと移っていけるよう、人々を促している。
彼女は、人間としての経験の重要な部分を担う体が無視されることがあってはいけない、と話す。「体を人生の道を行くパートナーとして扱うと、違った世界が見えてくる。それこそ神秘なのよ」
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