【不安の克服法】手を伸ばせば不安は消える!?強さとバランスを養う「手足を伸ばすヨガ」

 【不安の克服法】手を伸ばせば不安は消える!?強さとバランスを養う「手足を伸ばすヨガ」
​Ian Spanier

ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!不安を克服する最良の方法は、腕を翼のように広げることだ。

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長い間、私は何でも自分でやらなければいけないと思い込んでいた。ヨガの練習や指導を始めたばかりの頃は、完璧なポーズ、どのクラスも満員のスケジュール、リトリートの完売を達成することに必死で、溺れそうに感じても助けを求めることはほとんどなかった。とにかく失敗するのが怖くて、神経系の恐怖反応を引き起こしていたのだ。私はブルドーザーのように頭を下げ、体を内側に丸めて一日中突き進むか、心が締め付けられて混乱して固まってしまうかのどちらかだった。

バランスポーズでも恐怖反応が起きた。私はずっとエーカパーダバカーサナ(片足を伸ばした鶴のポーズ)で顔から床に落ちるのが怖かったので、胸を前に出して片脚を高く上げて外に伸ばす代わりに、頭を下げて体を丸めていた。当然ながら、いつも床に崩れ落ちていた。

だがある日、ポーズに入るときに、先生が私の後ろ足を支えてくれた。おかげで私は鶴のポーズで羽ばたくことができた。この「支えられている感覚」を得るために、私はその後の練習からプロップを使うようになった。その効果は絶大だった。手を伸ばせば必要なサポートが得られる、という大切な学びを、練習を通じて実感できたのだ。特にアルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)などの、手足を中心から伸ばす非対称のバランスポーズでは、そう感じることが多い。このようなポーズでは、思い切って力強く手足を伸ばしたほうが保持しやすいのだ。

サポートを求めるのは弱さの表れではない、と気づいたのは、ヨガの練習に限らなかった。年齢を重ねるにつれ、そして特に母親になってからは(私には幼い子供がいて、もうすぐ2人目が生まれる)、ひとりですべてを行うのは無理だし、たとえできたとしても、もうやりたくないと思うようになった。今では、自分だけでティーチャートレーニングをやろうとせずに、他の講師たちと一緒に指導している。家でも「全部自分でやる」のではなく、夫に助けを求める。ひとりで頑張ろうとして、くじけそうになったら、友人に電話をする。人に頼り、彼らの意見や視点に触れると、自分のエネルギーをコントロールしやすくなるし、世界も広がる。

恐怖や不安があるときに他の人にサポートを求めるのは、とても有効な解毒剤になる。私には家族や友人、カウンセラー、精神科医、理学療法士、鍼灸師など力強い味方がいる。それがわかると、あの完璧なポーズも忙しいクラススケジュールも満員のリトリートも、実は必要なかったのだと気づいた。全部ひとりでやらなくてもよかったのだ。本当に必要だったのは、既に自分の内側と周囲にある強さと豊かさを求めて手を伸ばすことだった。

手足を伸ばすためのシークエンス

支えのあるエーカパーダバカーサナ(片足の鶴のポーズ)を練習する。手足を伸ばすことでどのように強さとバランスが養えるのか、実際に体験してみよう。

1⃣ダンダヤーマナバーマナーサナ(バランスをとるテーブルポーズ)のバリエーション

四つん這いの姿勢から、息を吸って左腕を真っすぐ前に伸ばし、右脚を後ろに伸ばす。骨盤を安定させながら右脚を横に伸ばし、つま先を前に向ける。左腕は飛行機の翼のように横に真っすぐ伸ばす。ウエストを引き上げて腰をサポートする。目線を下に向けて、首を長く伸ばす。ホールドして5回呼吸。四つん這いの姿勢に戻り、反対側でも繰り返す。テーブルポーズを応用することで、床から近い位置で安心しながらバランス感覚を養える。

手を伸ばせば、不安は消える
1⃣ダンダヤーマナバーマナーサナ(バランスをとるテーブルポーズ)のバリエーション
photo by  Ian Spanier

2⃣アルダチャトランガダンダーサナ(プランクポーズ)のバリエーション

手首が肩の真下にくるようにプランクポーズに入る。左腕を横に真っすぐ伸ばす。右足をマットから数センチ浮かせてから横に伸ばし、つま先を前に向ける。左右の腰骨をマットに向けて骨盤を安定させる。ホールドして5回呼吸。息を吐いてプランクポーズに戻り、反対側でも繰り返す。先ほど練習した1⃣のポーズに似ているが、床につける体の土台が減るため難度が上がる。

手を伸ばせば、不安は消える
2⃣アルダチャトランガダンダーサナ(プランクポーズ)のバリエーション
photo by  Ian Spanier

3⃣トリコナーサナ(三角のポーズ)のバリエーション

マットの長辺側を向き、足を大きく左右に開いて立つ。左足のつま先をマットの前方に向け、右足はかかとを軸にして、つま先をやや内側に向ける。両腕を左右に伸ばす。左手のひらを上に向ける。息を吸いながら左腕を前に伸ばし、上体を左腿の上に傾けて、三角のポーズに入る前にここでホールドして8回呼吸。後ろの腕を力強く伸ばすと、上体を傾けるときにバランスをとりやすくなる。前に押しながらも後ろに引く動作で、助けを求めるときに感じる抵抗感を思い出すかもしれない。迷わずに腕を前に伸ばそう。

手を伸ばせば、不安は消える
3⃣トリコナーサナ(三角のポーズ)のバリエーション
photo by  Ian Spanier

4⃣アルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)のバリエーション

さらに上体を前に倒し、左足の横に置いたブロックに左手をついて三角のポーズに。ブロックを数センチ前に移動させ、左足の小指と一直線上に並ぶようにする。左膝を曲げ、右脚を床から浮かせて、半月のポーズに入る。右腕を耳の横に沿わせて伸ばす。左肘を曲げて、手のひらでブロックを押す。左膝を伸ばし右脚をさらに高く上げ、上体をマットに向かって傾ける。ホールドして5回呼吸。ポーズに入った時と逆の手順で最初の姿勢に戻る。反対側でも3⃣のポーズから続けて繰り返す。通常の半月のポーズよりも前傾が深まると、シーソー効果(一方の端が高くなるほど、他方は低くなる)が生まれる。重力にゆだねて下がる動きは、自分で自分を支える力を育む。

手を伸ばせば、不安は消える
4⃣アルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)のバリエーション
photo by  Ian Spanier

5⃣ヴィーラバッドラーサナⅢ(戦士のポーズⅢ)のバリエーション

ターダーサナ(山のポーズ)の姿勢で立つ。合掌してアンジャリムドラ(合掌のムドラ)をつくる。息を吐いて体を前に倒し、左脚を後ろに真っすぐ浮かせて戦士のポーズⅢに入る。左脚をさらに高く上げながら、上体をマットに向かって傾ける。胴体から左脚まで一直線に保ち、目線は前方の床の一点に向ける。ホールドして8回呼吸。左脚を床に下ろしながら、ゆっくりと最初の姿勢に戻る。反対側でも繰り返す。上げている脚が重いと感じたら、少し力を入れてさらに高く上げてみよう。できないと思うことを実現させるサポートは自分でできる、と思い出そう!

手を伸ばせば、不安は消える
5⃣ヴィーラバッドラーサナⅢ(戦士のポーズⅢ)のバリエーション
photo by  Ian Spanier

6⃣エーカパーダバカーサナ(片足を伸ばした鶴のポーズ)のバリエーション

両手をマットに下ろし、左足も下ろしてかかとで壁を押しながら、右膝を上腕に押し付ける。ホールドして5回呼吸。プランクポーズに戻るか、休憩する。反対側でも繰り返す。壁を利用して後ろの脚を支えながら、体幹を使って前の膝をできるだけ高く上げ、肩に近づけるように意識する。

手を伸ばせば、不安は消える
6⃣エーカパーダバカーサナ(片足を伸ばした鶴のポーズ)のバリエーション
photo by  Ian Spanier

7⃣エーカパーダバカーサナ(片足を伸ばした鶴のポーズ)のバリエーション2

2つのブロックを、長辺を横にして腰幅に離して置く。すねをそれぞれブロックにのせて、四つん這いの姿勢になる。肘を90度に曲げて上体を前傾させる。左脚を後ろに伸ばし、ホールドして5回呼吸。四つん這いに戻り、休憩する。反対側でも繰り返す。ブロックを支えにして下の足を床から浮かせ、もう一方の足をさらに高く上げながら湧き起こる感覚に意識を向ける。

手を伸ばせば、不安は消える
7⃣エーカパーダバカーサナ(片足を伸ばした鶴のポーズ)のバリエーション2
photo by  Ian Spanier

指導・モデル●サラ・エズリン
アメリカのベイエリアを拠点とする作家、ヨガ講師、母親。詳細はsarahezrinyoga.comを見るか、インスタグラム(@sarahezrinyoga)をフォローしよう。

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by Sarah Ezrin
photos by Ian Spanier
translation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.80掲載

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ヨガジャーナル日本版編集部

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