【思いやりを育てる最良の練習法】「クリパルヨガ」で自分自身とつながろう
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「ポーズ以外の練習も同時にできて感謝しています」。これは、20年クリパルヨガを教えていて、生徒たちから何度も聞いた言葉だ。ポーズ、呼吸、瞑想は自己理解を深め、より幸せで思いやりに満ちた日々を送り、学んだことを世界に広めるためのツールに過ぎない。クリパルの実践的でオープンなアプローチは、練習生が自己責任、自己調整、自己認識を養えるように組み立てられている。
練習では自己探究を行い、今この瞬間に起きている現象に気づく「目撃意識」を培いながら、慈悲心を育んでいく。クリパルとは「慈しみ」という意味。人への思いやりを育てる最良の方法は、まず自分自身を慈しむことだ。
多くの人はさまざまな願望や期待を抱いてマットに足を踏み入れる。だが、練習が思いどおりに進んでも進まなくても、これはひとつの機会だと理解しよう。本来の自分を表現し、内在する力をまわりの人々と引き出し合い、内なる真実につながるチャンスなのだ。
クリパルヨガの基本クラス
クリパルのクラスでは、小刻みな動きを取り入れながら各ポーズを深め、可動域を広げていく。もちろん安全性や身体的な学習も重視している。また、指導者も生徒も、このバイキング形式のアプローチによってさまざまな種類のポーズ、呼吸、瞑想を別々ではなく同時に練習できる。クリパルのクラスは、一般的に次のような構成になっている。
❶オープニングとセンタリング:
まずは体、呼吸、思考に意識を向けていく。教師がひとつのテーマを挙げ、練習の目的を決めるように促す場合もある。このオープニングの時間に感情を観察して、自分の意図を明確にする。
❷呼吸法:
プラーナヤーマは、体を内側から温める。また、エネルギーや身体感覚に対する感度を高め、自分の思考や感情を観察するのにも役立つ。練習ではグラウンディングのためのディルガ・プラーナヤーマ(完全呼吸)、エネルギーを高めて集中力を深めるカパラバティ(頭蓋骨を浄化する呼吸法)、忍耐力と穏やかさを育むアヌローマ・ヴィローマ(片鼻呼吸)などを行う。
❸ウォームアップ:
シンプルで穏やかな動きでアーサナ練習への準備を行う。筋肉を温めて体液を循環させると同時に、意識を身体感覚に向け、体との一体感を高める。準備ポーズを流れるように行いながら、体、呼吸、マインドに起きていることを観察する。
❹アーサナ:
教師が各クラスのテーマに沿って選んだポーズを練習する。全身にエネルギーを行き渡らせ、心の動きを静めるポーズや、停止して保持するポーズを行いながら、自分の精神的、肉体的、感情的なパターンを観察し、筋力とスタミナを培う。
教師はアライメントのインストラクションをするものの、生徒の主体的な体験を重視し、けがや病状、好みに応じて対処できる状況をつくる。生徒はポーズを変えたり、休止して呼吸をするなど、自分にとって心地よい調整を行うように促される。
また、クリパルの教師はマインドフルネスを育むために、正解のない質問を生徒に投げかける。たとえば、ポーズをとっているときの脚のエネルギーの質や、体の中で緊張している箇所などについてたずねるだろう。それに続いて「緊張を和らげるにはどうする?」と聞いてくるかもしれない。その答えを探りながら、生徒は体との関係を深めていく。
❺リラクセーション:
最後にシャヴァーサナのポーズで3~20分休息する。
❻瞑想:
瞑想時間はクラスの長さによって異なる。だが、たとえ1分でも“目撃意識”をもって座位瞑想を行えば、練習から知恵を受け取ることができる。
❼クロージングとセンタリング:
練習を簡単に振り返り、自分の意図と再びつながり、練習で得たエネルギーや学びをマットの外に持ち出す準備をする。これにより、ただヨガを行うのではなく、日常にヨガを活かせるようになる。
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