【不寛容の時代に】自分にも他人にも厳しくなってしまう人に伝えたい「セルフコンパッション」とは

 【不寛容の時代に】自分にも他人にも厳しくなってしまう人に伝えたい「セルフコンパッション」とは
Adobe Stock
石上友梨
石上友梨
2021-12-12

あなたは自他に思いやりを向けていますか?それとも自他ともに批判しやすく、厳しい態度で接していると思いますか?コンパッションとは、「思いやり」や「慈悲」のことです。他人には思いやりを向けられるけれど、自分自身には向けられない人、他人には向けられない人、誰にも向けられない人など、様々な悩みがあると思います。今回は、自他に思いやりを向ける方法についてお伝えします。

広告

コンパッションはつながっている

自分へのコンパッションと、他人へのコンパッションは相互に関係しています。自分へのコンパッションを高めることで、他人へのコンパッションは高まります。その逆も然りです。日本は自分よりも他人を優先する文化が根強いため、日本人は他人へのコンパッションの方が高いと言われています。人には優しく、自分には厳しくという方、他人の失敗には寛容だけれども、自分の失敗は見逃せない方がいらっしゃるでしょう。もちろん個人差がありますので、真逆だという方もいると思います。両者はつながっているので、自分へのコンパッションと他人へのコンパッションのうち高めやすい方から高めていきましょう。

セルフ・コンパッションとは?

自分自身への思いやりである「セルフ・コンパッション」を概念化したアメリカのクリスティン・ネフ先生によると、セルフ・コンパッションには以下の3つのパーツがあるといいます。以下の点を意識しながら自分自身に言葉をかけ、セルフ・コンパッションを高めていきましょう。

1 自分への優しさ(self-kindness)

自分自身に優しくすること、親切にすることです。特に自分自身がつらい時、自己批判をしてしまう時こそ、まるで大切な友人に接するかのような言葉をかけ、自分に思いやりのある行動を取りましょう。

2 マインドフルネス(mindfulness)

今、この瞬間に自分自身が経験していることに注意と関心を向けて、「人より劣っている」「これは失敗だ」など比較や判断をしないことです。特につらい感情に対しても否定せず、そこにあるものとしてあるがまま受け入れます。すべての感情や浮かんでくる考え等は、時間と共に過ぎ去っていくものとして自然に流していきましょう。

3 共通の人間性(common humanity)

今の自分が経験していることは、過去に誰かが経験していたり、この世界の誰かも同じように悩んでいたりすると気づくことです。「こんなにつらいのは自分だけだ」「こんなに不幸が続くのは自分だけだ」と感じているかもしれません。もしかしたら身近に似たような境遇の人はいないかもしれませんが、同じような境遇、同じような不安や孤独感、同じような悩みを抱えている人は存在します。人間であるが故に抱える悩みに対してコンパッションは有効であり、必ず同じ状況を乗り越えていった人たちが存在すると広い視野で眺めてみましょう。

コンパッションをもって人と関わる

人と関わる際には、セルフコンパッションの3つのパーツを意識してみましょう。

1 人への優しさ

誰に対しても優しさや親切心を向けましょう。あなたにとって大切な人を想像します。その人に対する態度と同じような言葉をかけてみましょう。もちろん、いつもどのような時でもやることは大変です。無理のない範囲で少しずつ同じような優しさを向けてみましょう。

2 マインドフルネス

人の気持ちや考えを批判したり何かと比較したりせず、あるがまま受け入れましょう。もちろん自分の気持ちを偽って共感する必要はありません。この人はこのように感じているのだと理解をし、自分の気持ちと分けた上でお互いを認めていきましょう。

3 共通の人間性

自分と相手の共通の部分を探してみましょう。どんなに嫌な相手でも1つは共通点があるかもしれません。もしかしたら「あんな人との共通点を探したくない」と感じる場合があるでしょう。しかし、「相手に少しでもコンパッションを向けたい」「関係性を変えたい」と感じている場合は意識的に探してみることで気持ちが変化する可能性があります。どうしても見つからない場合は、同じ時代に生きる同じ人間であるという、宇宙からのような広い視野をもって客観的に見てもよいかもしれません。

他人へのコンパッションを優先すると、自分自身が苦しくなってしまうなど、自他へのコンパッションのバランスを取る必要があるかもしれません。なかなかバランスを取れないで困っている時は独りで悩まずに誰かに相談することが大切です。そして、良いバランスを見つけ、自他ともにコンパッションを向けられるようになると人間関係が楽になるでしょう。例えば、自分のミスにも他人のミスにも「こんな時もあるよ。だって人間は誰でもミスをするもの。ミスをしても私には(あの人には)良いところもあるし、それは変わらない」という態度で接してみてはいかがでしょうか。

広告

AUTHOR

石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



RELATED関連記事