【疲労回復ヒント】食欲不振…疲れが取れないときに試したい「アーユルヴェーダの夏バテ解消法」
梅雨が明けたら一気に真夏日になりました。蒸されるような暑さに、冷房の冷え、夜は寝不足と、体がすっかりお疲れ気味という人も多いのではないでしょうか?東洋医学アーユルヴェーダの知恵を使い、季節に応じて食生活を変えることで、病気になりにくく若々しく強い心身を作ることができます。今回は、夏バテや食欲不振を防いで、元気に夏を過ごす方法をご紹介します。
季節とうまく付き合うアーユルヴェーダの健康法
アーユルヴェーダとは、インド・スリランカ発祥の世界三大医学の1つ。日本ではオイルマッサージのイメージが強いですが、世界ではホリスティック医学として人気があります。ホリスティック医学とは、肉体だけでなく、精神、スピリチュアルまでを治療の対象とする医学。生活習慣や食事法、マッサージ、マントラなど様々な方法で、心・体・魂のバランスを保つ健康法です。
そのアーユルヴェーダにおいて重要なのが季節とともに、自分の日常の行動を変えていく「リトゥチャルヤ」の考え方です。リトゥとはサンスクリット語で季節のこと。季節の変化とともに気候の変化の影響を受け、私たちの体調や精神状態も変わっていくので、1年中同じライフスタイルではなく、季節に応じて生活を変えていくことが重要です。現代では健康に良いと聞くと、そればかり偏って食べてしまう人が多いですが、アーユルヴェーダのリトゥチャルヤの考え方は環境の変化にも対応した画期的な考え方だと思います。
なぜ、夏に食欲がなくなるのか
そもそも、なぜ夏に食欲が落ちるのかその原因を見てみましょう。夏は、太陽の力が強まる季節。気温は上がり、激しい暑さが地表や空気から水分を奪います。すると、大地に育つ植物も、動物も人間も、体内が乾いてきます。人間が体内に持つ水分は血液などの体液ですが、その体液の中には様々な栄養素が含まれ、身体中をめぐり脂肪や筋肉、骨、神経などに栄養を与えています。そのため、体内から水分を奪われるということは、それらの体の組織に栄養がいきづらくなるということです。つまり、夏は太陽の激しい暑さにより、体の脱水とともに体力が奪われ、体も痩せていくので、消化機能も落ち、食欲がなくなるのです。
それだけでなく、体の乾きを潤すために、夏はたくさんの水を飲みます。すると消化液が薄まるのでこれも消化力低下の原因になります。特に冷たい水は内臓を冷やすので消化力をさらに弱めます。かといって、水を飲まないと脱水や熱中症の原因になりますから、水分補給は必須です。ですので、夏は水分をしっかり摂りつつ、消化に負担をかけない食べ方をする必要があります。
夏に食べるべきものとは?
体から水分も栄養も奪われていく夏は、食べ物で水分と栄養を補う必要があります。この季節におすすめなのが、スープや、蒸したり茹でたりした料理。食事から水分を取ることができ、また、加熱調理されているので消化にも優しいです(逆に、乾燥しているパンや、クッキー、生のお刺身やお寿司は控えた方が良いです)。
スープの材料としておすすめなのが、ゴーヤや、きゅうりなどの体の余分な熱を取ってくれる野菜です。この時期は体内に熱がこもり、ピッタドーシャという火のエネルギーが上がりやすいので、ゴーヤなど苦味のある野菜を摂ることでそれを抑えることができます。また、トウモロコシや枝豆など甘みがある野菜も、乾燥をおさえ、体に栄養と水分を与えてくれるので非常に良いです。野菜やフルーツの甘みは、特に夏は体に潤いと元気を与えるので積極的に食べましょう。
一方、消化に負担がかかる、揚げ物、脂身の多い肉、アイスクリームは控えた方がいい食べ物です。食べる場合は最小限の量にするよう心がけましょう。また、夏にはアルコールもあまりよくありません。お酒は体を暑くし、時には胸焼けも引き起こすので、気温が高い時期には向いていません。さらに、利尿作用で体内の水分も奪うので、この時期にお酒を飲む場合は、お酒と同量以上の水をしっかり摂ることと、量はできるだけ控えるのが良いです。日中の水分補給は、積極的に摂ることと、氷水や冷蔵庫から出したばかりの冷たい水を避けることの2つが重要です。できれば常温かぬるめの白湯を飲むと、消化力をあまり下げずに水分補給ができます。
食欲がない人の消化力アップ方法
食欲が落ちていて、ほとんど食べていないのに、お腹が空かない、食べたいと思えない、という人は消化力をアップさせるアーユルヴェーダ的、家庭薬を活用しましょう。私はスリランカでアーユルヴェーダのセラピストをしていましたが、スリランカでは、食欲がない人にライムジュースを飲ませます。ライムの酸味は食欲増進効果があり、滞っていた消化を促進し、食欲に火をつけてくれます。できれば添加物が入ったジュースではなく、生のライムを水に絞って飲むと良いです。もし、ライムが手に入らない場合は、レモンでも良いです。できれば無農薬のレモンを白湯に絞り、朝の空腹時に飲むと、消化力アップに役立ちます。1日に2〜3回飲んでも構いません。
他にも、スパイスも消化促進に役立ちます。しかし、スパイスは物によっては体を熱くさせすぎてしまうので注意が必要です。クミン、コリアンダーシードなど、比較的、熱性が低いスパイスであれば消化力をアップしながら、熱を上げすぎないのでちょうど良いでしょう。クミンパウダーや、コリアンダーシードパウダーを、白湯に4つまみくらい入れて飲んだり、料理の際に入れるのも良いです。
お腹がちゃんと減る、というのは、体内で消化がスムーズに行われているサインです。食欲がない人はまず、消化力アップの方法を行い、消化を促してから、苦味や甘味の食べ物を取って栄養を摂りましょう。
AUTHOR
アカリ・リッピ―
アーユルヴェーダ著者・セラピスト。本場スリランカでアーユルヴェーダ医師のもと修行。帰国後、1万人の体質改善コンサルをしながら講座で実践的なアーユルヴェーダを指導。著書「アーユルヴェーダが教える、せかいいち心地よいこころとからだの磨き方」 (三笠書房)5刷。都内でサロン経営。大手企業の営業マンだった時の経験を活かし、「忙しい人でも無理なくできる」現代的なアーユルヴェーダを発信。
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