ゴルフをする人にこそヨガを勧めたい理由
コロナ禍により日本のゴルファー人口は急激に増えたというが、私の住むドイツでもそれは例外ではない。もともと「エリートオジサマ達のスポーツ」という印象の濃いスポーツだが、最近では一人でも気軽に通えること、よって感染リスクが低くて安全であること、また様々なゴルフYouTubeなどでその楽しさや気軽さが世に広く知られるようになったことから、特に若者層での人気が広まりつつある。
メンタルのスポーツ、ゴルフの魅力とは
ゴルフの一番の魅力は誰もが一緒に楽しめるところだ。この点では、ゴルフはヨガと同じ。非常に若いジュニア世代からお歳を召したシニア世代まで、また家族そろってゴルフをする人が多い。体の大きさや年齢、競技のレベルなどにかかわらず、「ハンディキャップ」でもって皆が公平に一緒にプレーできるのが魅力的な点だ。
また興味深い点として、ゴルフは同伴者の性格を丸裸にしてしまう点だ。よく「車の運転を見ればその人の性格が手にとるようにわかる」と言うが、ゴルフもまさにそう。所作ももちろんだが、物事が上手くいかない時の態度や他人への気遣いなどを見れば、そのプレーヤーが付き合うに値するかどうかを知ることができる。ビジネスなどでゴルフ接待があるのは、人を見る眼を養うためにあるのだろう。
ゴルフとエゴ
ゴルフとエゴは、深くつながっている。というのもゴルフは自己申告のスポーツであり、審判が常にプレーヤーを見張っているわけではない。スコアをどうしても伸ばしたい、できるだけ良いハンデで勝ちたいという気持ちから、ズルをするプレーヤーを私は何度も目にした。昨年度のコロナ禍での営業で、スコアカードの交換が禁止であった時、どれだけ多くのプレーヤーが一気に腕をあげ、ハンデを異常に縮めたことか!良い面の多いゴルフだが、己のエゴとの闘いこそ、ゴルフの真髄なのかもしれない。この点でもゴルフとヨガは似ているななんて思い、嬉しくなってしまう。
エゴはもちろんだが、その他ゴルフの負の側面といったら、怪我であろう。怪我はスポーツとは切ってもきれないものなので、仕方がないと言ってしまえば確かにそうだ。しかしエゴが顔を出し、感情をコントロールできなくなった時、私たちは怪我をすると認めなくてはならない。そんな悩めるゴルファー達に私はヨガを個別指導、体幹を鍛え、怪我を極力回避するような柔軟性を得るお手伝いをしている。
ゴルフで起こりやすい怪我とは
ゴルフで起こりやすい怪我は主に肘の故障、かかとくるぶしの負傷(捻挫)、また腰痛や背中痛・肩痛など。体力や年齢によって体力の回復、しいては怪我の回復にも大きく差がみられるため、やはり日頃から強い体を作るための筋肉量を増やすトレーニング、入念なストレッチがかかせないと感じている。大きな筋肉と小さな筋肉両方を全身くまなく深く鍛えることができるヨガは、ゴルファーと相性が良い。体の捻点差によって球を飛ばすことで体に偏りが現れるが、ヨガによってバランスを取り戻す事ができる。それだけでなくメンタルにも深い「柔軟性」を与えてくれ、エゴを減らすことで健全なスコアアップにもつながるのだ。
ゴルフヨガ、ある日の一例
私の個人セッションでは、出来る限り今の時期、外での瞑想をすすめている。太陽の陽に感謝しながら、風のささやきや鳥のさえずり、ご近所のネコの声に耳を澄ます。自分の存在と地面がコネクトするところを感じながら、呼吸をするたびに宇宙の意図を受け取る。自分と世界とは一体であり、そこにいるだけで素晴らしいことを感じるのが狙いだ。誰にもそのすばらしさを証明してもらう必要がない。
瞑想が終わったら太陽礼拝、もしくは膝をついたままで太陽礼拝をゆるくしてもよい。その日の気分に応じてストレッチを先にしてもいいし、太陽礼拝を50%の脱力で行ってもいい。自分の体が欲するままに、ゆるく、やさしく体をほぐすことが大事。「しなくてはいけない」や「私にはできない」という考えは重要ではなく、ありのままの状態・状況・心の声をそのまま受け止めるだけ。ジャッジはいらないし、何でも欲しいものは許可してあげようと促す。
足先からはじめ、ふくらはぎ・お尻・お腹・胸・首・眼と上へ上へと温めてゆくようなアーサナを1時間ほど行い、最後はシャヴァーサナ。セッションを行う前に自分の気になる部位にマッサージオイルを塗ってアーサナを行うと、体温が上昇して、香り効果により癒し効果が深まる。シャヴァーサナの際にはその香りに全身が包まれ、脳内までほぐれているのを実感できる。
さまざまなアロマを使ったヨガは夜寝る前にもおすすめしている。精神的に不安な時、また気分が揺らぎやすい今の時期、深い睡眠を促す効果としてぜひ試してもらいたい。AUTHOR
キュンメルめぐみ
外資系企業勤務を経て、ストラスクライド・ビジネススクールにて経営学修士号(MBA)を取得。1999年独渡。現在はお茶ソムリエ・栄養士・ヨガインストラクターとしてカルチャースクールで教室を開催する傍ら、個人やスポーツ選手の栄養アドバイスなども行っている。日々のつぶやきをnoteで発信中。
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