「肘をロックしないで」と言われるのはなぜ?正しい肘の使い方をマスターしよう
私自身、ヨガを始めた頃「肘をロックしないで」「少し肘を曲げて」と何度も注意されたことがあります。当初は「別に痛みもないのになぜだろう?」と思っていたのですが…実は肘をロックしたままヨガポーズをとるのは怪我の原因になりうるのです!体を傷めずヨガを楽しむために、正しい肘の使い方をマスターしましょう。
“肘のロック”とは
肘のロックとは、肘が伸び切り反対に曲がってみえる『肘関節の過伸展(かしんてん)』を指しています。
生理的に肘関節を伸ばす(伸展)ことができる範囲は5°とされています。その範囲を超えて肘が伸び、反り返ったような状態が肘関節の過伸展です。(その他『反張肘(はんちょうひじ)』『ハイパーエクステンション』といわれることも)過伸展は元々の骨格や靱帯の構造、外的要因(ケガや運動習慣など)により起こります。
肘のロックは怪我のもとに!
肘関節の過伸展で注意したい点は、筋肉がきちんと働かず関節や靱帯によりかかってしまうことです。例えばプランクやダウンドッグのポーズで肘をロックしていると、体重が肘にかかり大きな負担となってしまいます。最初は特に痛みを感じることがなかったとしても、繰り返しポーズを行うことで肘関節の組織や靱帯を痛めてしまう原因になりかねません。それでは、肘関節が過伸展の場合どのようにヨガポーズに取り組むとよいのでしょうか?
【重要】肘が過伸展の場合、意識すること
肘が過伸展の場合、特に手で体を支えるポーズでは腕の筋肉をしっかり働かせることがポイントです。肘がロックされた状態の時に「肘を軽く曲げて」と指示される場合があります。確かに肘を曲げることで過伸展の状態から抜けることができますが、手や腕を強く使う感覚がなくなってしまいます。上肢で体を支えるポーズを行う為には、二の腕の前と後ろにある、肘を曲げる(屈曲)筋肉と肘を伸ばす(伸展)筋肉を同時に働かせ、肘関節を守ることが重要です。
<NG>肘関節によりかかり、肘が押し込まれている
<OK>腕の筋肉を働かせ関節をサポートしている
最初は腕の前後の筋肉を同時に働かせる感覚がわかりにくいかもしれません。そんな時にお勧めしたいヨガベルトを使って行う練習方法をご紹介します。
肘の使い方をマスター!ヨガベルトを使ったワーク
やり方
1.ヨガベルトを輪にして肘のすぐ上にかける
2.ベルトをしたままよつんばいになる/両手は肩幅
×ベルトがたるむ
◎肘を曲げてベルトを左右に広げようとしながら(=腕の前側の筋肉を働かせる)手のひらで床を押して肘を伸ばそうとする(=腕の後ろ側の筋肉を働かせる)
3.脇を軽く引き締めて腕全体を安定させる
ヨガでは手や腕で体を支えるアームバランス系ポーズがたくさん登場します。腕の筋肉をしっかり働かせると、ポーズもグッと安定するのを感じられると思います。怪我なくヨガを楽しむために、肘の安全な使い方を繰り返し練習してよい習慣を身につけていきましょう。
AUTHOR
のぐちかなこ
専業主婦からヨガ講師へ。大手ヨガスクールにて全米ヨガアライアンスの講義 (RYT200/RPYT85)及びヨガレッスンを年間1,000時間以上担当。2018年に独立し〈あんどYOGA〉を立ち上げる。現在もヨガインストラクターの養成に携わりながら、特に産前産後に関するヨガや新米ヨガインストラクターサポートに力を注いでいる。オンライン講座も多数開催中。プライベートでは三姉妹の母。あだ名はかーちゃん。
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