セックスに関することだけが性教育ではない|40代こそ学び直したい「本当の性教育」とは
このガイダンスは、学校教育者を対象にしていますが、実際に手に取ってみると「こういう風に性のことを学びたかった」というのが印象です。子どもの頃、性のことを質問すると、「どこでそんなことを知った?」「知る必要がない」なんて親から怒られたり、女性が積極的に性のことを話すと、性に奔放だとか痴女と揶揄されたり、性のことは否定されることが多いから、もう口に出すのがイヤ、性の話をすること自体タブーになってしまいます。このガイダンスに沿った性教育は、科学的な根拠を基に、性やからだに関することを言葉にすることをタブー視せず、性に関する知識を肯定的に捉えることができ、他人を否定しない、自分を大切にする、みんな違っていい多様性や人関関係、コミュケーションの大切さを学び、個々が幸せになれることをゴールにしています。指導者からの一方通行ではなく、グループで意見を出し合い、考えディスカッションを重ね実践に取り入れるトレーニングをするような教育になっています。
渡辺直美さんの容姿を笑いにしたとも受け取れるオリンピック企画のやり取りが報道に出て、「ルッキズム(見た目に基づく差別)」が話題になりました。ガイダンスの中には性のことに限らず個々の違いについての尊重を大切にしています。例えば「身体的外見は人としての価値を決めない」「すべてのからだは特別で、個々に異なりそれぞれにすばらしく、からだに対してはポジティブな感情を抱くべきである」といった自分も相手も尊い存在に感じるポジティブな言葉で溢れています。私たちは長らく、痩せていることを褒めて太っていることをけなす社会の中で生きてきていますが、それが差別であり良くないこととはっきりと示してくれています。私たち大人にとっては、社会や身近に起きていることに「これは、おかしい」と思えたり、「無意識に自分もやっていたかも」と気づかせてくれます。
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AUTHOR
小林ひろみ
メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。日本性科学会会員。性と健康を考える女性専門家の会 理事。デリケートゾーンブランドYourSide、潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛について情報発信を行う。幅広い性交時の痛みに関する情報サイト「Fuan Free (ふあんふりー)」を運営。
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