【臨床心理士が答える心のQ&A】新社会人になることへの漠然とした不安、どうしたらいい?
臨床心理士でありヨガ講師である筆者が皆さんの悩みにお答えするシリーズ。カウンセリングやクラス、SNSなどの中で皆さんから頂いた質問について、心理学の知識やカウンセリングの手法、ヨガのマインドに基づきながらお話ししていきます。
Q.「春から新社会人になることへの不安、どうすれば?」
「春から新社会人になります。仕事のことや職場の人間関係のこと、今年はコロナのこともあって、入社式や研修はどうなるのかとか、この先どうなっていくのだろうかと考えると、漠然と不安になります。就職に関することは考えずに楽しいことを考えるようにしているのですが、なかなか不安はおさまりません。どうしたら良いのでしょうか」
不安は完全には無くせない、だけどできることはある
学生から社会人になるというのは人生の中でも一大イベントですよね。不安とどう付き合っていくか悩まれているとのこと。まずは『不安になっている』という自分の状態に気づくことが、不安と付き合っていくための第一歩。そこに気付けている質問者さんはすでに一歩を踏み出しているのだろうと私は思います。そしてもうひとつ大切なことは、不安は完全に無くせる、ゼロにできるものではないということ。【不安と共存していく】【不安を抱えながらも、日常を過ごしていける方法を考える】という視点を持ってみると、見える景色が変わってくるかもしれませんね。それでは、具体的な不安との付き合い方や方法についても触れていきましょう。
不安と付き合うために、できることは?
基本的な生活習慣を見直す
不安を増幅させる要因のひとつに、衣食住や睡眠といった基本的な生活習慣がおざなりになっているということが考えられています。栄養が偏るような食生活をしていないか、睡眠が不規則になっていないかなど、生活習慣を見直しましょう。
心配する時間を作る
あえて心配なことに意識を向ける時間を作るのもおすすめ。常に心配したり、自分の行動などを気にする代わりに、【1日30分】と決めて、その時間はひたすら心配事について考えましょう。質問者さんの場合であれば、例えば『先輩や上司とうまくやれるか』ということについてその30分はひたすら考えます。そのとき感じた思考や感情をノートやスマートフォンのメモ機能に書き留めておいても良いかもしれませんね。時間が来たら、心配事について考えるのをやめ、日常に戻ります。そしてまた次の日、30分の心配タイムを実行します。
不安生み出す行動パターンは何か?
不安になりやすい人は、さらに余計な不安を生み出す【回避行動】を取っていることが多いです。質問者さんの場合は、就職に関することを避け、楽しいことを考えるようにしているとのことなので、それが回避行動になります。こういった回避行動に関する日記、【不安日記】を付けてみることで、不安に対して客観的な視点を持ち、いつもと違う行動をとることができるかもしれません。
《不安日記の付け方》
① 不安になった時に、自分がどんな行動をしたか2週間書いてみましょう。
② 週の終わりごとに日記を振り返り、不安な時にどういう行動を取ったか、そこに何かパターンはあるかを考えてみましょう。
③ 2週間続けたら、それを再度振り返り、パターンがあった場合は、それを打破できるような行動が何かあるか考え、実行します。
④ 新しい行動をやってみたら、不安がどうなったか記録します。
不安と付き合っていくために大切なことは?
新生活は不安という感情が起こりやすい季節ではありますが、『そうした不安とどう付き合っていくのか』を考えるチャンスでもあります。また、ご紹介したワークをやる上でもポイントとなるのは、一呼吸おくこと。呼吸は一晩にして身につくものではありません。普段からヨガをすること呼吸をする、あるいは呼吸を観察する習慣を身につけるなど、自分に合う方法で行ってみましょう。質問者さんの新たな門出を、陰ながら応援しています。
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AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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