【強い足腰になるヒント】股関節が滑らかに動くようになる「犬の連続ポーズ」「しこふみ」「天突き」

体の連動性を重視し股関節にアプローチ

40年以上前から日本ならではの行法や、哲学などに基づく沖ヨガを指導される龍村修先生。今回は沖ヨガ式の丹田力・生命力強化法から、股関節にフォーカスした行法を教えていただきました。
「股関節を滑らかに動かすには、股関節の柔軟だけを求めるのではなく、股関節と背骨・腰・脚など、全身の連動性やバランス、筋力が高まってこそ叶うものです。私が学んだ沖ヨガの行法は魚類→両生類→爬虫類→哺乳類という進化の過程をもとに、動物の動きを真似することで全身の協調性、生命力の強化につなげます。『股関節の柔軟性アップ』といっても、それは日常で歩いたり走ったりするときに適切に身体能力を発揮できることが本来の目的のはず。現代人は全身の連動性が衰え、心身も分離してしまっています。沖ヨガは衰えた能力を引き出し、脳も活性化させるので本来の体の使い方ができ、結果として股関節も機能的に動くようになるのです」
今回モデルを務める鈴木伸枝先生も、龍村先生の教えを受けてヨガの概念を大きく覆されたひとり。
「これまではヨガを通して股関節なら股関節だけしか感じてこなかったのが、龍村先生にご指導いただき、体の各部がこれほど連動しているんだと実感。また『自分の体をテキストに命を学び、その命を最も輝かせて生きることがヨガである』という教えには、ヨガを日常に生かす智慧が詰まっています」(伸枝先生)
「日本のヨガは、心と身体、そして人間は自然と一体である『身心一如』という仏教の精神を背景に受け継がれてきました。ヨガとは心身の能力を最大限に開発し、自分の命をより輝かせるために行うもの。ぜひ、ヨガ=健康体操で終わらせず、本来の目的を感じながら実践してみてください」(龍村先生)

犬の連続ポーズ

ダウンドッグ&アップドッグを、いつもとは反対の呼吸に合わせて素早く繰り返すこの行法は、股関節に連動する腰筋や腹筋の伸縮力や柔軟性を高めます。

①四つん這いから息を吸って両脚を伸ばし、お尻を高く突き上げ、頭を両手の間に下げる。

②強く吐きながら腰を床すれすれまで落としてアップドッグ。①②で1回として10回。

動きをインスタでチェック！
https://yogajournal.jp/8013

動きのポイントは...脚は床につけず腰の上下をしっかり

腰の上げ下げを浅く繰り返すだけでは効果はありません。腰を高く突き上げたら、次は床すれすれまで落とし、脚も床につけないように！

しこふみ

相撲でおなじみ、日本の伝統でもあるしこふみは、股関節を開いて柔軟性アップ&足腰の筋力強化に役立ちます。それと同時に、重心をしっかり落とす効果も。

①両脚を左右に大きく開き、上体は真上に真っすぐ立てたら、腰を膝の位置まで落とす。

②右脚を股関節から、高く持ち上げ、そこで数秒静止。右脚を着地したら①に戻り腰を落とす。

③同様に、左脚を最大限に高く持ち上げて着地するしこふみを、片脚3回ずつ計6回。

動きのポイントは ...片脚を上げたときの重心移動も意識

右脚を股関節から高く持ち上げるのがコツ。数秒キープしてから着地を。一つひとつの動作を丁寧に行うことで、股関節まわりの強化に。

天突き

天井を突くイメージで行うこの行法も、日常生活で「気」が上がりがちな現代人にとって股関節や足腰を強化し、重心を下に落とす効果があります。

①しこふみ①から両肘を肩の高さで開く。両手に重い荷物を持ち、脚が地面にめり込むイメージを。

②重い荷物を持ち上げるように、ゆっくり腕を天井に突き上げながら脚も地面にめり込ませる意識で。

動きのポイントは...スクワットではなく力と心を使って！

重い物を天に持ち上げ、脚は地面にめり込ませるイメージで行いましょう。単なる屈伸運動ではなく、力と心を使うだけで効果は倍増します。

教えてくれたのは...龍村修先生
1948年生まれ。早稲田大学時代、演劇活動の中でヨガと出会い、1973年より求道ヨガの世界的権威・沖正弘導師の内弟子として世界行脚に同行。沖ヨガ修道場長就任を経て、現在は龍村ヨガ研究所を主宰し、著書も多数。

モデルは...鈴木伸枝先生
東京・北参道にてパーソナルヨガスタジオを運営。「自分を生かすYOGA」をモットーに、誰でも簡単にヨガを生活に取り入れられるよう、平日は毎朝インスタグラム(@nobue.style)からヨガクラスをライブ配信。ヨガの普及に努めている。