経済国家シンガポールの風水学に学ぶラッキースポットの見つけ方

 経済国家シンガポールの風水学に学ぶラッキースポットの見つけ方
Moca Kurio
栗尾モカ
栗尾モカ
2020-11-24
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ーーここまで吉数にこだわって街が形成されていることに驚きです。シンガポール政府の経済発展に対する意気込みを感じずにいられません。

次に長さです。マリーナ地区にはミレニアウォーク(フィリップ・ジョンソン設計)と言うモールがあります。これは図面を調べてみたら、全長が280メートルでした。28を用いた代表的な作品は、マリーナ地区にあるシンガポール・フライヤー(黒川紀章設計)という世界で二番目に大きい観覧車です。2008年に開業し、28個のポッドがあり、それぞれに28名乗れます。しかし、完成年がリーマンショックと重なっており、吉数どころかシンガポールは塗炭の苦しみを味わいます。風水師がこの観覧車を診断したところ、観覧車が回転する方向が「外向き」だったのでマリーナ地区に溜まっていた富が外に流れ出したと言われました。至急、回転方向を「内向き」に変更すると、途端にシンガポール経済は回復しました。皆様も、シンガポールの吉数に学び日常の中に28を取り込むのも良いと思います。

ーーここまで28に対するこだわりがあるとは…。そういえば、コンドミニアムも28階は他の階と違う造りになっていたり、早めに売れてしまうとも聞きました。他にも例がありますか?

次は、ラン頭の応用です。ジェンガのような独特な形をしたコンドミニウム、インターレース(OMA設計)があります。高速道路AYEを車で通ると異様な意匠に度胆を抜かれた人も少なくないと思います。この建物は長方形のヴォリュームを積層した独特な構造と設計です。

インターレース
誰もが思わず二度見してしまうコンドミニアム、インターレース

ただ、風水的には角のある場所は気がぶつかり運気が下がると考えられております。その場合は丸い形を設けると角の害がなくなります。インターレースにおいては上空から見るとジグザグした建物の間に丸を用いたランドスケープ、プール、舗装が施されており、角の害を緩和する工夫が見て取れます。

DUO(オレ・シャーレン設計)も似た事例です。敷地の向かいに漢字の八を見立てたゲートウェイ(イオミン・ペイ設計)があります。この建物は端部に鋭角があります。DUOはその鋭角の影響をもろに受ける場所にあります。ですので、DUOの設計は曲面を多用した設計となっておりゲートウェイの害を緩和しております。また、DUOの外装は六角形をモティーフにしておりこれも悪い気から守る意匠です。近くに角がある場合は水晶など球体や丸いものを置くなどするとその害を緩和できます。

DUO

最後に独自の風水です。マリーナ地区にあるサンテック・シティは福建省の風水に乗っ取り設計されています。開発の中心は五つのタワーです。これらは指を表しております。方向から察するに左手みたいです。その中央に噴水があります。水は気であり富の象徴です。そこに銅色の輪の形をした彫刻があります。銅の輪は物事を引き留める力があると信じられており「手で富を引き留める」との意図があります。

噴水
シンガポールの中でも有名なパワースポットのひとつ、富の噴水。

イオミン・ペイと言う建築家がおります。彼はルーブル美術館のピラミッドの設計で有名でもあります。彼がシンガポールに設計した代表的な建物は三つあります。先に紹介したゲートウェイ、ラッフルズシティ、そしてOCBC銀行ビルです。それらの建物はほぼ直線状に等間隔で配置されております。ゲートウェイは上から見ると八の字、ラッフルズシティは吉兆を意味する卍、そしてOCBC銀行ビルは正面から貨幣を意味する貝の字になっております。これら三つの建物は一直線に結ばれる事で金と幸運が発生するという意味になり、ある種の結界を構築しています。

卍
知るひとぞ知る、エネルギーを秘めたシンガポールの結界ライン

シンガポールにおいては、上述したように風水建築が多数設計されています。それらの建物に用いられている風水の暗号を読み解くと設計者のメッセージが理解できます。また、要素を取り出せば、私たちの日常生活においても応用可能なものが多数あるかと思います。

ーービルの配置に、こんな秘密が隠されていたとは驚きました。これからは、ここをジョギングコースにしたいと思います(笑)。シンガポールの建築に深く携わっている藤堂さんだからこそ伺える貴重なお話ばかりでした。どうもありがとうございました。

お話を伺ったのは…藤堂高直さん 

バンコク在住の建築家/陶芸家/執筆家。1983年東京生まれ。15歳で渡英し、ケンブリッジ・アート・アンド・サイエンシズ(高校)を経て、世界最古の建築専門大学AAスクールで学び、卒業後建築家としてのキャリアを開始。2016年にインドのECO WORLDパビリオンコンペで優勝、その後も数々のコンペで入選。

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ライター/栗尾モカ

漫画家 / コラムニスト。横浜育ち・シンガポール在住。国際線CAを経て出版社へ。女性誌「STORY」等で10年間取材をした経験をに描いたコミックエッセイ『サロン・ド・勝負』(KADOKAWA)『女のネタ帖』(学研)がある。現在、SingaporeのYoga Instructor Certificate Courseに通学中。また、スパイスの魅力に惹かれインド人料理研究家からアーユルヴェーダを用いた料理を学んでいる。

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藤堂氏
気の集まる場所
マリーナベイサンズ
280メートル
インターレース
DUO
噴水
卍