理学療法士が解説!脊柱の可動性が上がる【ヨガ初心者でもできる、腰痛を緩和する5ポーズ】

 理学療法士が解説!脊柱の可動性が上がる【ヨガ初心者でもできる、腰痛を緩和する5ポーズ】
Sayaka Ono

慢性化し、諦めかけていた腰痛の悩みをアカデミックに解説!腰痛の予防と緩和に効果的なヨガポーズを伝授します。

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痛みをマネージメントするセルフケアが回復の鍵!

「運動不足や座位時間の長さ、精神的なストレス、加齢による筋力の低下など、腰痛には現代人の生活習慣が大きく関わっています」と荒木智子先生。
こうした日常的な動作や姿勢の継続が体に悪影響を及ぼし、腰に痛みを招くそう。
「腰痛を招く主な原因は2つあると考えられます。まずひとつが、コアマッスルの弱化です。男性に比べて筋肉量が少ない女性は20歳 を過ぎると年々、筋肉が減少していきます。特に、骨格がないお腹は筋肉が衰えやすく、腹筋が弱くなると姿勢が崩れて猫背や反り腰を招き、腰に負担がかかることで腰痛を起こしやすくなります。そして、もうひとつの原因が脊柱の可動性の低下です。コアマッスルの弱化により、背骨周辺の筋肉や筋膜が硬くなると背骨の動きに偏りが出ます。なかでも、肋骨がついている胸椎は、もともと動きにくい部位ですが、まわりの筋肉が硬くなることで、さらに動きが低下。すると胸椎の動きを補うために首や腰が頑張って動くことになり、腰椎が疲労して腰痛を招きやすくなるのです」
ただ、こうした痛みは症状が強 くても、レントゲンなどの検査画像で問題が見られないことが多く「腰痛のパーセントは、原因がはっきりしない」といわれています。また日本人の傾向として、腰痛になるとマッサージなどをして一時的な症状緩和で済ますことが 多く、結果的に長期化や慢性化するケースも多いそう。
「痛みがあると、痛みを回避するために動きたくなくなりますが、安静にするのは逆効果に。筋力が落ちて症状が悪化したり、抑うつのリスクを高めるため、今はぎっくり腰でも安静にすることは推奨されていません」
つまり、腰痛は、適度な運動によるセルフケアで回復できる痛みが多いということ。
「特に、ヨガは腰に痛みがある人でも動きやすいポーズが多く、ストレッチや筋トレの効果も期待できるため、腰痛には有効なアプローチといえます」
そこで、次ページから腰痛の予防と緩和のためのヨガを、それぞれご紹介。今の体や腰の状態に合わせて試し、ぜひ日常生活に取り 入れてみてください!

脊柱の可動性を上げよう!腰痛を緩和する5つのヨガポーズ

腰の痛みを和らげるには、筋肉の張りを取り、循環を良くすることが大切。硬くなった筋肉を柔軟にすることで脊柱の可動性が上がり、痛みの緩和とともに再発の予防にも。

「緩和」のためのプレワーク

キャット&カウ

背中の動きで 痛みの状態をチェック
背中を丸めたときと反ったときの痛みを確認。痛みがある動きは無理をせず、気持ちがいい程度に行って。

理学療法士&ヨガインストラクターが解説!腰痛予防&緩和ヨガ②
photo by Sayaka Ono

パピー&ポーズ

お尻を高く上げて硬く縮んだ背筋を伸ばす
背中を伸ばしてお尻を上げ背筋をストレッチ。痛みがある人はこのページ内の「これでもOK!」を行って。

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photo by Sayaka Ono

1. パリガーサナ

片膝をついて体側を伸ばし広背筋の緊張をゆるめる
床に片膝をつけて下半身を安定させ、体側を伸ばすことで痛みの原因となっている広背筋のこわばりを解消。姿勢が安定しない場合は椅子に座り、安全に行いましょう。

膝立ちから右脚を右に伸ばし、左手を天井方向へ伸ばす。右手は右腿に添わせ、目線を左手先に。

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photo by Sayaka Ono

腿の上で右手を右へ滑らせながら上体をゆっくり右へ倒していき、5呼吸。反対側も同様に。

POINT
体を横に倒すことより、指先から体側を引っ張るイメージで指先〜膝までを伸ばすことを意識。

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体側を意識/photo by Sayaka Ono

これでもOK!
下半身はそのまま、左手を耳の後ろにあて、肘を天井方向に上げる。目線を肘に向けてキープ。

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2. アンジャネーヤーサナ

腸腰筋&大胸筋をほぐして腰椎の詰まりをオフ
股関節前面の腸腰筋と胸元の大胸筋をストレッチし、詰まりが原因で痛みが出ている腰椎に、スペースをつくることがポーズの目的。プレワークのキャット&カウで背中を丸めたとき、痛みを感じた人に特におすすめです。

四つん這いになり、足先を立てる。両手の間に右足を踏み出し、膝の下にかかとを。目線は前に。

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上体を起こし、左膝を少し前、右膝を少し後ろに。両手を天井方向に伸ばして5呼吸。痛みがある場合は、上体を反らなくてもOK。反対側も。

POINT
尾骨を下げ、骨盤を起こし、お腹の力を抜かずに上半身を上に伸ばすことで股関節前面が柔軟に。

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上体の伸びを意識/photo by Sayaka Ono

3. アルダマッツェーンドラーサナ

背中〜お尻をストレッチし背骨の動きを滑らかに
上体をねじり、脊柱起立筋、広背筋、大臀筋を伸ばして脊柱の回旋を促します。左右を比較し、動きにくいほうを長めにキープすると効果的。

正座からお尻を右にずらし、左足を右腿の外におく。左手を体の後ろ、右手を左膝の外にあてる。頭を上げ、背骨を長く伸ばす。

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photo by Sayaka Ono

右肘を曲げ、肘で左膝を押し、目線を体の後ろに向けながら上体を左にねじり、5呼吸する。脚を替えて反対側も。

POINT
左右の坐骨が床から離れないように注意。坐骨を床につけたまま少しずつ上体をねじる。

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坐骨を意識/photo by Sayaka Ono

これでもOK!
片脚を伸ばして上体をねじる。お尻が浮く人はお尻の下にタオルなどを敷き、骨盤を立てて。

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photo by Sayaka Ono

4. ベイビーコブラ

胸椎のこわばりをゆるめ腰椎にかかる負担を軽減
背骨を丁寧に動かし、硬くなった胸椎を柔軟に。プレワークのパピーポーズで痛みを感じた人は、背中を前へ伸ばすだけでOK。

うつ伏せになり、脚を坐骨幅に開いて手を胸の横に。お腹に力を入れ、胸を持ち上げ、目線を斜め下に向けたまま5呼吸キープ。

POINT
呼吸とともに背骨を一つひとつ動かしていき、首を反らしすぎないように、あごを引いて姿勢を保持。

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背骨を意識/photo by Sayaka Ono

5. スプタマッツェンドラーサナ

腹部・臀部・外腿を柔軟にし動きの自由度をUP!
腹斜筋群、中臀筋、外腿の大腿筋膜張筋を柔軟にするこのポーズで、各部ごとに動かす練習をすると痛みを手放しやすくなります。

仰向けになり、肩の高さで両手を開き、手のひらは下に。左脚を上げて膝を曲げ、右手を膝の外におく。

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photo by Sayaka Ono

左肩を床につけたまま無理のない程度に左膝を右側に倒し、顔を左に向けて5呼吸。反対側も同様に。

POINT
一気に脚を動かさず、太腿、骨盤、お 腹、肩甲骨をそれぞれ動かしながらポーズを深めていく。

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各部の動きを意識/photo by Sayaka Ono

これでもOK!
左肩が浮く場合は、左の足裏を床につけたまま膝を右側に倒し、腿裏〜お尻をストレッチ。

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photo by Sayaka Ono

「痛くて動きたくない...」そんなときは

痛みとの向き合い方を前向きに変える瞑想

ネガティブになりがちな腰痛を「痛みは自分で対処できる」と前向きに捉えることができ、改善の意欲が高まります。

ヴィパッサナー瞑想
歩く、立つ、座るなど動作を通して体の感覚を実感し、自分を見つめる。

マインドフルネス瞑想
今に意識を向けて心を俯瞰し、あるがままの自分を観察する瞑想法。

心観瞑想
心に浮かぶさまざまな思いをジャッジせず、ただ観ていく瞑想法。

自律神経のスイッチを切り替える呼吸法 

呼吸法には交感神経と副交感神経を切り替える働きが。呼吸により緊張が解けると、意識を痛みから離しやすくなります。

完全呼吸法
腹式→胸式→鎖骨式呼吸後、これらを統合した呼吸を肺全体を使って行う。

ナーディショーダナ
右鼻を押さえ、左鼻から吸う→止める→右鼻から吐く片鼻呼吸法。

ラーマリーの呼吸
耳を指で塞いで目を閉じ、ハミング音をたてるように鼻呼吸する。

教えてくれたのは...理学療法士・医学博士・ヨガインストラクター荒木智子先生
病院での臨床経験、スポーツクラブでのパーソナルトレーニング等を経て現在、大学で理学療法士の育成や女性の健康増進を目的とした活動を展開。医学的な視点から「元気に働き続ける」ためのサポートを行っている。

理学療法士&ヨガインストラクターが解説!腰痛予防&緩和ヨガ②
photo by Sayaka Ono

モデルを務めてくれたのは...広瀬未花さん
モデル、ヨガインストラクター。雑誌、テレビ、YouTube等で幅広く活躍。朝日放送「朝だ!生です旅サラダ」に旅サラダガールとして出演し、世界30カ国を旅している。ヨガ資格取得。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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photos by Sayaka Ono
hair&make-up by Manami Yaginuma
text by Minako Noguchi
yoga journal vol.71



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