あなたはどのタイプ?ドーシャ別アーユルヴェーダ式セルフケアのポイント
アーユルヴェーダのパワーを知ってたちまち虜になったラリッサ・カールソン。彼女はアーユルヴェーダのドクターに指摘された悪習慣を見直し、大きな変化を感じると同時に、アーユルヴェーダのマジックを実感。食事とライフスタイルをベースにしたアーユルヴェーダの処方箋は、それほど大きな苦労はせずに長続きする健康的な変化を生み出すことができるのが魅力だ。
アーユルヴェーダの目的
2004年、ラリッサ・カールソンは、西マサチューセッツ州のバークシャーの山中にあるKripaluCenter for Yoga&Health で、初めてアーユルヴェーダの診断を受けた。それは興味深くもほろ苦いものだった。疲労感やむくみを何とかしたいと思っていたカールソンに、アーユルヴェーダのドクターは、その原因は、忙しく動きながら食事をしたり、夜更かしをしてアイスクリームを食べながら深夜番組を見るといった、彼女のお気に入りの習慣にあることを伝えた。そして、5千年の歴史を持つホリスティックな健康科学に照らし合わせ、いくつかのシンプルな提案をした。夜9時以降は食べないこと。夜更かしはやめて朝もっと早く起きること。それがどんな結果となっただろうか? 大きな変化だった。「2、3日後にはもう疲労感もむくみも軽くなったわ。エネルギーのレベルが完全に変わったのよ」カールソンは言う。
これがアーユルヴェーダのマジックだ。食事とライフスタイルをベースにしたその処方箋の目的は、自分本来の体質を取り戻すことだ。結果として、それほど大きな苦労をせずに、長続きする健康的な変化を生み出すことができるのだ。処方箋は、ヴァータ(空と風)、ピッタ(火と水)、カパ(水と土)という、あらゆる人が内側に持つ3つのドーシャ(エネルギー)のバランスを整えるように作られている。カールソンの悩みは、ピッタが強すぎることだった。彼女には忍耐力がなく、体が極端に熱くなるような激しいヨガのクラスを好み、常に忙しく体を動かしていた。ドクターの提案通りにしてみたところ、その効果はヨガのプラクティスを含めた人生の様々な面に現れた。「無理に難しいポーズをとるのをやめて、より穏やかな、持続的な動きをするようになったわ」カールソンは言う。ピッタの状態が落ち着いた時には、自分自身への忍耐力も増した。「アーユルヴェーダによって、刺々した部分が丸くなったの」彼女は話す。
25年の指導歴を持つ認定アーユルヴェーダ・プラクティショナー(CAP)のジョン・ドゥイラードは、アーユルヴェーダとは本来、自然との調和を見つけようとするものなのだと言う。「静かに落ち着いて、気づきを持ちながら、人生の流れを下って行くのがいいんだ」と彼は説明する。「流れを遡ろうとばかりしていると、ボートから落ちないようこぎ続けるしかない。すると、人生が闘いとなって、変化を遂げる機会もなくなってしまう」。カールソンは、自らのアーユルヴェーダへの探求がインスピレーションとなり、自分自身もCAPとなった。彼女は、2004年にクリパルセンターの指導者に、2013年にはセンターのアーユルヴェーダ・スクールの学長となって、つい最近までその仕事に就いていた。クリパルセンターで過ごした時間と、11年間のヨガ指導の間、彼女は変化の途上にある何百人もの生徒に手を差し伸べ、トレーニングを行った。
「生活が変わり、体が変わった」というヨガ指導者も
ニューヨークシティを拠点にする理学療法士でヨガ指導者であるトレイシー・マルツの例を挙げよう。彼女は今年の夏、クリパルセンターでカールソンとドゥイラードの指導を受け、500時間のティーチャー・トレーニングを終了した。そのトレーニングでは、内容の一部にドーシャのバランスを整えることもあった。マルツはカパの傾向が強く、それまでずっと体重の問題に悩んでいた。「クリパルセンターで、自分がドーシャに合わない食事をしていたと知ったの」とマルツは言う。彼女は、消化をもたらす火であるアグニ(アーユルヴェーダで新陳代謝と同じ意味を持つ)を燃やし続けるため、たっぷりとした朝食、乳製品、生の食材、氷などを避けるようにとアドバイスを受けた。また、朝の時間は、自宅で不定期にのんびりとしたプラクティスをするのではなく、活発な人たちが集まるヨガのクラスに行くようになった。こういったことや、それ以外のライフスタイルの変化によって、彼女は2カ月の間に10ポンド体重を減らすことができた。「今は、バランスが整った自分本来の体になったと感じているわ」彼女は言う。マルツのゆるやかではあるが確実な体重の減少は、ゆっくり行う、というアーユルヴェーダによる療法を成功させるもう一つのカギを指し示している。「一度に劇的なステップアップを遂げようとするのはおすすめしないわ」カールソンは言う。「小さなステップを経て進んでいくと、変化に順応する時間ができて、神経系へのショックも少ないのよ」。
アーユルヴェーダを使って変化を遂げる準備ができただろうか?これからの時期は、アーユルヴェーダの健康的な習慣を身につけるのに最適な季節だ。左の表を使って、どのドーシャのバランスが崩れているのかを見つけてみよう。
自分のドーシャを見つけよう
VATA(ヴァータ)
不眠症や不安感があったり、落ち着きがなかったりするようならヴァータが強すぎるのかもしれない。腰や股関節の緊張、ガスや便秘、悪寒なども、ヴァータの不安定を意味している。
PITTA(ピッタ)
ピッタが安定していないと、胃酸過多、ニキビ、目の充血、動揺、短気などとして現れることがある。体の熱、嫉妬心、完璧へのこだわりなどを感じることもある。
KAPHA(カパ)
カパが強すぎると、便秘、体重の増加、むくみ、意欲の欠如、ぼんやりとした思考、怠惰、所有欲や頑固さを感じることがある。
ドーシャ別 セルフケアのポイント
ヴァータにおすすめのセルフケア:オイルマッサージ
ヴァータの傾向が強い人は、乾燥肌であることが多い。今年の冬は、温めたオーガニックのセサミオイルで朝か夜、毎日体をマッサージし、肌に潤いを与えよう。これは、アビヤンガというプラクティスだ。重く濃いセサミオイルは神経を静めてマインドを穏やかにし、ヴァータのドーシャを落ち着けてくれる。アビヤンガは、消耗していたり不安を感じたりしている時に、エネルギーを取り戻す効果に優れたセルフケアのプラクティスで、良質な睡眠をサポートする働きもある。
行い方
シャワー中(滑らないように注意する)か、シャワーのすぐ後にオイル30㎖を温かく湿った状態の肌にすり込む。関節周辺は円を描くように手を動かし、長い骨のあたりは押し流すような長いストロークで行う。
他の方法も試してみよう
セサミシードオイルの肌に触れる感じや香りが好きではない場合は、アーモンドオイルや、サンフラワーオイルなどのよりナチュラルなオイルを使ってみよう。オイルのボトルはお湯につけ、温めておくようにする。妊娠中、皮膚に感染症や湿疹がある時、発熱時、風邪やインフルエンザにかかっている時にはアビヤンガは行わないようにする。
ピッタにおすすめのセルフケア:ターメリック湯のうがい
ここで紹介する方法を毎朝行って、冬にかかりやすい病気を予防し、話したり外出した後の喉を癒してあげよう。塩は細菌の働きを抑え、ターメリックには抗炎症作用がある。歯を磨き、舌を擦って洗浄した後にうがいをしよう。これはアーユルヴェーダで用いられるエネルギーを保ち続ける方法だ。コップ1杯のお湯にターメリックパウダー小さじ1/2とシーソルトかヒマラヤンソルトを小さじ1/2入れてよくかき混ぜる。うがいをした後30分間は飲食をしないようにしよう。
カパにおすすめのセルフケア:角質の除去
絹の手袋で乾燥した角質を除去する、ガルシャナと呼ばれるクイックマッサージを試し、カパを抑制しておこう。このマッサージによって古い角質が取り除かれ、血液の循環が促され、リンパ系(感染症と闘うシステム)が刺激され、体が軽くなる。週3回行い、その後にディープ・ウォーム・オイルマッサージ続けて行って冬の肌を保護するようにしよう。
行い方
シャワーの前にガルシャナ用の手袋をはめ、素早く(でも丁寧に)体をスクラブする(手袋はジョン・ドゥイラードのlifespa.comかBanyan Botanicalsで購入できる)。関節周りは円を描くように、長い骨のところは大きなストロークを使って体の各部分5回ぐらいずつマッサージするようにする。
注意点
妊娠中や皮膚に感染症や湿疹がある時にはガルシャナは行わないようにしよう。
ライター/TASHA EICHENSEHER
ヨガジャーナルのシニアエディターであり、ヨガインストラクター、ライターでもある。
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