再発の不安、治療に伴う不調…その時ヨガに何ができるか|がん患者にヨガを指導する中で気づいたこと

 再発の不安、治療に伴う不調…その時ヨガに何ができるか|がん患者にヨガを指導する中で気づいたこと
鈴木陽子さん提供
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ヨガを続けたことで取り戻せた「自信」

―ヨガを続けるうちに、がん患者さんの心と体にどのような変化が見られましたか。

「『病気のことで頭がいっぱいな状態から抜け出せたのはヨガのおかげ』という声が届き、みなさん笑顔が増えて行動も変わっていますよ。ヨガを日常に取り入れたことで、外に出掛けてみよう、趣味を再開しようというポジティブな気持ちの変化が感じられます。フィジカル面では抗がん剤治療中に筋力が落ちたり、副作用による手のしびれで腕の動きが制限されていた方が、『肩の可動域が広がり腕が上がるようになった』『治療前の動作ができるようになった』と言って失った自信を取り戻し、自己肯定感の回復にもつながっているようです。

あとは、回数を重ねるとがん患者さん同士で話が弾み、辛い経験を分かち合うことが心の癒しになっているようです。抗がん剤の副作用で脱毛した女性患者さんが互いのウィッグを褒め合ったりして……。失ったものに執着し、人の目を気にして下を向いていてはもったいない。人と比べる必要のない精神をヨガから学んでもらい、今の自分を受け入れて楽しみ見つけられるとそれが日々の支えになると思います」

―患者さんの良い変化を聞くとより多くの患者さんにヨガを届けたくなりますが、ヨガの効果は医療的にも認められているのでしょうか。

「海外では補完代替療法としてのヨガの効果を立証する研究が進んでいて、がんの治療においてヨガがQOLを向上させることが科学的に証明されています。具体的な効果は、睡眠の質の向上やうつ症状の改善などです。再発リスクとなる肥満の是正にも大きな効果があると思います。治療の妨げになるマイナス要素を取り除くヨガの働きは、私が働く病院の医師たちも周知しているところです。心臓病におけるリハビリテーションの分野では、心筋梗塞後に有酸素運動で心臓に負荷をかけて機能回復を目指しますが、ヨガにも同様の効果があることが昨年、アメリカの米国心臓病学会(American collage of cardiology)が発表した論文に取り上げられています」

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Text by Ai Kitabayashi



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鈴木陽子