閃き・直感を感じて|イシュタヨガ創始者に学ぶ瞑想前のヨガポーズ
多くの優れたヨガティーチャーと同じように、アラン・フィンガーも幼少期にヨガと出会っている。5歳の時に南アフリカの自宅で、父親のカヴィ・ヨギライ・マニ・フィンガーと一緒にヨガのまねごとを始め、15歳になると本気でヨガに打ち込むようになった。そして、その1年後にはヨハネスブルグのさまざまな場所で、ある奥深いヨガメソッドを体系的に習得する方法を指導し始めた。のちにイシュタヨガ(ISHTA)と呼ばれるようになるこのヨガメソッドは、今では世界中で広く学ばれている。
予言が真実に…実父とヨガの出会い
私の父は第二次世界大戦のせいで戦争神経症を患いました。そして、裕福な事業家であった祖父は、仕事として父をロサンゼルスに行かせることによって、自分の事業に引き入れようとしました。
ある時、父と祖父が滞在していたホテルで、偶然ヨガナンダがヨガの講義をしていたので、父はその講義を聞きに行ったそうです。講義の後で父がヨガナンダのところに行くと、ヨガナンダは「私のところにいらっしゃい。クリヤヨガを教えてあげます。あなたの人生は変わるでしょう。そして、インドのシヴァナンダアシュラムに行きなさい。そこから南アフリカに戻りなさい。あなたは有名なヨギになるでしょう。そして息子さんのひとりがあなたの後を継ぐでしょう」と言い、父はその言葉どおりにしたのです!
※パラマハンサ・ヨガナンダ…ベストセラーとなった精神世界の分野の傑作『あるヨギの自叙伝』の著者。西洋におけるヨガの父として広く知られている。
負傷した父に代わり、ヨガの指導者へ
5歳の頃、私はヨガのまねごとを始めました。私の人生に最も大きな影響を及ぼしたのは、シヴァナンダの系統のスワミ・ヴェンカネサナンダです。スワミ・ヴェンカネサナンダは1年のうち最大3カ月を私たちの家で過ごしていました。ラーマ・クリシュナの系統のスワミ・ニシュライサナンダは、毎回1週間滞在していきました。シュッダーナンダ・バラーティにはイシュタヨガの中のタントラの部分に貢献していただきました。
15歳になる頃には、心身にさまざまな問題が出てきました。私が5歳になるまでの父の状態が原因でした。私は父に頼みました。「お父さんはヨガを使って体調を良くする方法をいろいろ教えているでしょ。お願いだから僕にも教えてよ」。
すると父は、そのためには毎朝4時半に起きて、父が行っているあらゆる練習を一緒にしなければならないと私に言いました。その練習とは、1時間半の呼吸法とクリヤと瞑想、1時間半のアーサナの練習です。私はそれをやったのです!するとすぐに効果が表れました。以前よりずっと頭が冴えて、気持ちが安定したのです。それまで苦しめられていた心因性の無呼吸と立ちくらみがすっかり解消しました。4年半の間に練習を休んだのは2日だけです。
私が16歳のある日、父は葬儀に参列するため家を留守にしなければならなくなりました。しかし、その日ヨガを習いに来る人たちに連絡できませんでした。父から「ラザルスさんにヨガを教えなさい」と言われたので、ヨガセンターでラザルスさんにお会いして、何か私にできることがないかたずねました。するとラザルスさんは泣き出して、自分の悩みやストレスについて話し始めました。私はこれまで師事した先生たちから習ったように、神経系の機能について説明しました。気がつくとラザルスさんは父から習うのをやめていて、私の生徒になっていました。父が背中に大けがを負って手術を受けなければならなくなったときに、父のクラスをすべて引き継ぎました。ヨガを生業とすることになるなんて考えてもみませんでした。すべて自然の成り行きです。
イシュタヨガの由来
イシュタヨガというシステムを考案したのは私です。父もスワミ氏たちも本を手にして一堂に会し、クリヤやクリヤヨガについて議論していました。しかし、父たちは継承したことを当然のものだと思っていました。私は受け継がれたものを体系化したいと思いました。結局、私はヴェンカネサナンダと父を説得して、系統立てる作業に一緒に取り組み始めました。そこで、名前をつける必要が生じてきました。父はイシュタという名前が気に入っていました。これはヨーガ・スートラ第二章44節に由来する言葉です。
そこにはSvadhyayat ishta devata samprayagah(自己研鑽を拠りどころとすれば、あなたの心に響くしかるべきヨガの練習、人生の目的、道が見つかるでしょう)と書かれています。
私はこの言葉が大好きです。人は皆異なっていると思うからです。私たちは最終的にISHTAが頭文字になるように正式名称を定めました。Integrated Sciences of Hatha,Tantra, and Ayurveda(ハタヨガ、タントラ、アーユルヴェーダを統合した科学)といいます。ハタヨガとタントラとアーユルヴェーダは互いに関連性のあるインドの科学であり、イシュタヨガの根幹を成しています。
その後、南アフリカは政治的に非常に厳しい時代に入りました。私は黒人区域やインド人区域に入ることを許されていなかったため、面倒なことになりましたがヨガを教えるためにその2つの区域に通い続けました。最後は警察から自宅に軟禁すると脅されました。そんなとき、アメリカに友人がいた妻から、アメリカに行くことを持ちかけられたのです。私たちはロサンゼルスに拠点を移すことにしました。
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