悩みが尽きず時間をムダに…「否定するほど長く続く」感情との付き合い方
みなさん、落ち込みや不安を感じることはありますか?怒りを感じることはありますか?落ち込みや不安、怒りなど一般的にネガティブと言われる感情に対して、みなさんはどのように対処していますか?私たちはネガティブな感情ほど、否定したり否認したりしたくなるものです。「こんな感情を感じてはダメだ」「感じていなんだ」と考えやすいです。しかし、感情は否定すると長く続いてしまうという性質があります。今回は、感情との付き合い方について、臨床心理士である筆者が紹介します。
なぜ感情が長く続くのか?
つらい感情ほど長く続くように感じてしまいます。しかし、すべての感情は一時的なものです。永遠に続く感情はありません。どんなに楽しい時でも、ある一定の時間が経つと冷めてしまったり、楽しさが軽減してしまいます。どんなに緊張していても、不安に感じていても、感情はピークを迎えるとジェットコースターのように下がっていきます。
それでは、ネガティブな感情ほど長く続くように感じるのはなぜでしょうか?
感情は「否定すると長く続いてしまう」という性質があります。感情を否定することで、その感情をより意識してしまい、その感情を感じている時間が長くなるのです。
感情との適切な付き合い方は、「あるがまま受け入れること」です。どんなにネガティブな感情でも、その感情が自分の中にあるという事実を受け入れることです。
例えば、自分の中にある嫉妬や怒りは認めにくいものです。イケメン男性と付き合い始めた友人を心の底から祝福できない…でも、友人を祝福できないなんて心の狭い人間だと考えて、「嫉妬」なんて感じていないと否認すること。お客さんから嫌なことを言われ、お客さんだから笑顔で接しなければいけないのに…心の中には怒りを感じていても、必死で怒っちゃダメだと「怒り」を抑えること。他にも、プレゼンの前に不安に感じたらだめ、緊張しちゃだめと否認すること…。
どのような感情を感じてもいい
どのような感情を感じようが個人の自由です。感情は自然と湧き上がってきたもので、感情によって自分の性格や人格が決まるわけでもありません。ネガティブな感情を感じる自分がダメでもない、良いわけでもないです。時には矛盾した感情を感じることもあります。
どのような感情を感じようが個人の自由なので、自分の中にある感情は否定しなても良いです。感情の良し悪しを判断せず、感情を感じている自分を責めず、社会的にふさわしいか、他の人はどんな感情を感じているかと比較せず、あるがままを受け入れましょう。
しかし、感情を感じるのは自由ですが、どう表現するか、どう相手に伝えるかは、人間関係に影響したり、社会的に不適切と思われることがあるので要注意です。
感情をあるがまま受け入れないとどうなるのでしょうか?
感情を否定したり否認したりと抵抗する方法を選ぶと、その感情が長く続きます。そして、抵抗する分、違うところに抵抗のサインが現れることもあります。例えば、体の筋肉が緊張したり、甘いものなど何かを食べ過ぎたり、否認したものと別の感情を感じたり、過呼吸など身体症状として出たり、どんな感情も感じない無感情になったり…。
抵抗することは、その場の短期的な対策にはなるかもしれません。怒りをぐっと抑えることで、その場は丸く収まるかもしれません。しかし長期的に見ると、怒りが積もり積もってコントロールできないくらい大きくなったり、身体症状や行動などいろいろなところに影響が出たりします。感情に抵抗した分、自分の中でその感情はずっと残ります。感情を抑えこもうとすると、感情がより強くなるという研究結果も出ています。
感情をあるがまま受け入れること
その感情は私にどのようなことを教えてくれるのだろうか?どのようなサインだろうか?と自分の内側に耳を傾けます。しっかりと感情に目を向け、感じることができれば、感情を和らげるための対処法を取ることができます。うまく感じられないと、どのタイミングでどんな対処法をすれば良いか分からなくなってしまいます。
広い視野で感情を眺められるだけでも、感情に圧倒されたり、巻き込まれることが少なくなります。人は見えないもの、よく分からないものに恐怖を感じます。感情を見ないようにすることで余計脅威に感じてしまいます。
マインドフルネス瞑想がオススメ
それでは、あるがまま感情を感じるためにはどうすればいいのでしょうか?
マインドフルネス瞑想がオススメの方法です。
マインドフルネス瞑想は、「気づく」「評価や判断をしない」という2つのポイントがあります。
呼吸に意識を向ける中で、自分の内側から湧き出る「考え」や「気持ち」に気づき、良し悪しを判断せず、呼吸に意識を戻していきます。マインドフルネス瞑想を練習する中で、あるがまま気づく力を養うことができます。
マインドフルネス瞑想のやり方
1.まずは姿勢を整えます。まっすぐに上から糸で引っ張られるように気持ちよく背筋を伸ばします。耳と肩の距離を遠ざけ、胸を少し開いた状態を保ちます。下半身はどっしりと安定させ、足裏やお尻を地面にしっかりと根付かせましょう。
2.次に、自分の呼吸だけに意識を向けます。息を吐くとお腹が凹み、息を吸うとお腹が膨らんでいきます。呼吸をコントロールする必要はありません。あるがままの呼吸を観察し、小さな変化にも気づいていきます。
3.呼吸を観察していると、いつの間にか別のことを考えていたり、何か感情や身体感覚を感じます。浮かんでくる雑念や感情に気づけたら、良し悪しを判断せず、再び呼吸に意識を戻していきます。
大切なことは意識がそれたことに気づくことです。そして、意識がそれてはダメだと自分自身を評価しないことです。意識がそれては戻し、意識がそれては戻す、この繰り返しで鍛えていくことができます。
ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。
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