「家、家族、お金は必要ない」インドの家なきおじさんに教わったこと
思いがけない贈り物
よく見ると、彼の家である木の下に、シヴァ神やクリシュナ、小さな石と葉っぱや花を飾ってあるアルターが見えました。私が「これはあなたのアルターですか?ここに私のマーラーを置いて撮影をしてもいいですか?」と聞くと、「いいですよ!マーラーが神に祝福されるから凄く良いと思う。どうぞ使ってください」と喜んで言ってくれました。
※アルター(Alter):インスピレーションを与える神の写真や物を飾り祈る祭壇
結局、日差しが強すぎて影が出来てしまい、思ったほど良い写真は撮れずすぐ辞めました。
私は場所を使わせてもらった御礼に、たまたま持っていたヨガウェアブランドのPRカレンダーをあげました。この人に必要なものではなかったかもしれませんが、ちょっとした感謝のつもりだったのです。リシケシには本物のサドゥーもたくさんいますが、中には格好だけサドゥーを真似て、観光客相手に物貰いをして生活している偽物もいます。そんな情報から、「快くしてくれるのは、お金狙いかな?」という気持ちも、どこかにあったのかもしれません。
※サドゥーとは、俗世から完全にかけ離れ全てを手放し神への献身のみで生きる人。
すると、とても喜んで「5分だけ待ってちょうだい」と言ってどこかへ行ってしまいました。
しばらくすると、シャンカルプリさんが手に何かを持って戻って来ました。「これをプレぜントしたい。あなたを守ってくれる」と言って差し出したのは、古びた新聞紙に包んだ彼が描いた動物の絵と、銅で作られたシヴァ神の象徴でした。
私は衝撃を受け、有難さより申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。家も欲も何も無く、ただ小さな木の下のアルターと神様への信仰だけで生きている彼にとって、大事な物であることは誰が見てもわかります。それなのに、たったいま会ったばかりの外国人に、自分の大事な物をくれようとするのです。
私は断るのも失礼かと思い、有難くいただくことにしました。
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