陰ヨガで練習する本当に立てる「ターダーサナ」
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「正しく立つこと」はヨガでも日常生活でも基本の動作。でもいったい、「正しく立つ」とは?陰ヨガのアプローチで、正しく立つために必要なことを学んでみましょう。けが防止やO脚、外反母趾の調整にもGOOD!
「正しく立つ」には背中〜足までの背面が鍵
私たちは毎日、何気なく立ったり、歩いたりしていますが、その動作が正しく行えているかどうかを考えたことがあるでしょうか。
実は「生活様式の変化により、多くの人が正しく立つことができていない」と、川畑友季湖先生は言います。「現代人の多くは、一日の大半を座って過ごします。しかし本来、人間の筋骨格はずっと座り続けるようにはデザインされていません。長時間のスマホやPC作業など生活習慣の変化によっても骨格が変化し、立位を保ちにくくなってしまいました」
たとえば、座っている時間が長いため、肩や首、背中や腰など、広範囲に詰まりが生じてしまっているのも現代人ならではの問題。脚が弱くなることで上半身をうまく支えられず、余計なこわばりや緊張が生じ、ねじれやアンバランスが生まれているのです。「本来、ヨガは正しく立つことを学ぶもの。でも、誤った姿勢で練習を続ければ、ますます体の歪みや緊張は強くなります。そのままハードなヴィンヤサや難度の高いポーズを練習し続ければ、肩や首、腰を始め、あらゆる部位に痛みが生じやすくなるでしょう」
それでは正しく立つためには、どうすれば良いのでしょう。川畑OK先生曰く、「陰ヨガにはいくつかの流派がありますが、私たちの流派が目的とするのは『正しく立つ』こと。そのために座位や臥位だけでなく立位も練習しますし、中にはスクワットのようにきついポーズも出てきます。でも、正しく立つためには体の、特に背面の詰まりをなくして背骨を調整することが必要です」
今回は川畑先生に、正しく立つことを目的にした陰ヨガのポーズを教えてもらいました。「まずは背面の緊張をほぐしてから、足まわりを整えます。それから、重力を正しく足の裏に伝えることを学び、最後に背骨を調整。この順番で練習を続ければ、立ったときに『これまでと何か違う』という感覚的な変化を実感することができるでしょう」
気をつけるのは、息が詰まるまで無理してポーズを続けないこと。「無理を続けたら、体は余計に緊張してしまいます。きついと思ったら、いったんチャイルドポーズで休んでもOKです」早速、練習してみましょう!
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正しいターダーサナとは
・肩や首に詰まりがない
・体重がまっすぐ足へ下りる
・左右の足に均等にのる
・頭頂〜尾骨が自然なS字を描けている
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正しいターダーサナへ導く3ステップ
ステップ1:坐骨を下ろして背中を開く
正しく、安定して立つことができていないと、背中に緊張が溜まってしまいます。特に詰まりがちなのは、首、肩、骨盤エリア。まずはチャイルドポーズで背面全体をゆるめ、自然な広がりを取り戻すところから始めましょう。
初級:「ブロックwithチャイルド」坐骨を意識して背面全体を広げやすく
まずはお尻の下にブロックを敷いた軽減ポーズから。立ったときに詰まりがちな腰部から、徐々にゆるめていきましょう。背中をゆるめられれば背面にスペースができ、お尻や太腿はどっしりと安定します。
HOW TO
①ブロックが隠れるぐらい完全にお尻をのせ、すねから足の甲までしっかりマットに下ろす。
POINT:ブロックにしっかり座る
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②ブロックにお尻をのせたまま少しずつ前屈。息を吐くときにおへそを背骨のほうへ引き上げ、お尻をブロックへ下ろし続ける。【力まず行える時間または3分キープ】
POINT:背中全体を広げる・お腹のスペースをつぶさない・おでこは軽く床へ
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NG:お尻が浮いてしまう
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中級:「手を入れたチャイルド」手をお腹に挟んで坐骨が浮くのをセーブ
お腹と太腿の間に深く差し込んだ両腕がストッパーになるため、坐骨が浮きづらくなり、お腹のスペースを保ちやすくなります。頭を床につけて前屈を深めることより、太腿やお尻が浮かないことを優先しましょう。
HOW TO
①片腕ずつバーのようにお腹と太腿の間に深く挟み、肘を抱える。手前側の腕が鼠蹊部にカッチリはまるように。
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②お尻がかかとから浮かないように気をつけながら、徐々に前屈。腕で鼠蹊部をグッと押さえ、お腹まわりにスペースを保つ。【力まず行える時間または3分キープ】
POINT:背面全体を広げる・両方の腕を深く挟み込む
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上級:「腕を伸ばしたチャイルド」体重をかかとにのせて背中の緊張を解放
無駄な力を完全に抜き、背中の広がりを取り戻します。これまでと同様、前屈したときは坐骨をかかとから浮かせないこと。どうしても浮く人は、上の軽減ポーズから試して。腰の詰まりをなくし、背中全体を開きます。
HOW TO
①正座になり、両手を膝の上に。お尻をしっかりかかとにのせ、すねと足の甲に太腿とお尻の重さをずっしり伝える。
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②お尻がかかとから浮かないように気をつけながら、頭を床に近づける。腕は手のひらを上にして後方へ伸ばす。【力まず行える時間または3分キープ】
POINT:背面全体を広げる・お腹を太腿にのせない
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STEP2:足まわりの硬さ・弱さを整える
人間が立っているとき、体重は骨盤を通って足へ伝わり、足裏は地面からの反発力を全身へ分散します。しかし足や膝、骨盤に詰まりがあると体重をうまく伝えることができません。下半身の詰まりをとるために、足元から整えましょう。
「タックトウチャイルド」拇指球に体重をのせる感覚を養う
足首周辺の硬さにアプローチし柔軟性を養います。ここで特に大切なのは拇指球で床を踏むこと。拇指球にきちんと体重がのるようになると、足裏が安定し、立位の状態で体幹が使えるようになります。
HOW TO
①肩の下に手首、腰の下に膝をおいて四つん這いの姿勢になる。首を真っすぐ伸ばす。
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②拇指球に体重がのっていることを意識しながら前屈。お腹は引き上げ太腿から浮かせ、吐く息とともに体重をかかとの方向へ下ろす。【力まず行える時間または3分キープ】
POINT:背中全体を広げる・お腹の力を抜かない・おでこは軽く床へ
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POINT:両足の親指の付け根と、かかとの中央をぴったりつけてセット
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NG:坐骨が上を向かない
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「ニードル」足首を柔軟に保ち体重を支える
膝をついていますが、立位ポーズの練習です。足指を曲げるのではなく、拇指球にのって立つイメージが大切。背中をゆったりと広げ、拇指球で全身を支えましょう。痛みが出る場合は無理をしないで。
HOW TO
①タックトウチャイルドの姿勢からスタート。手を手前に移動し、上体をゆっくり起こす。
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②尾骨から頭頂までをまっすぐ保ち、息を吸うときにかかとを後ろへ引き、吐くときはおへそを引っ込める。かかとはつけたままキープして。【力まず行える時間または3分キープ】
POINT:力まない・かかとを合わせる・拇指球にのる
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前から見ると…膝の開きは、かかとをくっつけたときに自然と開く角度で。
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POINT:かかとをつけると膝が床から浮く場合は、膝の下に折りたたんだブランケットを挟み込んでもOK
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NG:かかとが離れ指にのる
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STEP3:すねから足裏へ体重を落とす
次のステップは、重力をしっかり床に下ろすためのワーク。すねから足裏へ重力を真っすぐ伝えることで、床から反作用の力を得ることができます。床からの力を捉えながら、腰を落としていきましょう。
「スクワット」足首とすねのバネで体重を支える
このスクワットで、ポイントになるのはすねです。すねをバネのように使えると、筋力に頼らずに動き続けることができます。また足裏に体重がのってポーズも安定。すねが熱くなってきたら正しく行えている目安です。
HOW TO
①ニードルの姿勢から手を前につき、坐骨を下向きに保ったまま腰を上げる。足は肩幅。足首より前へ。
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②真っすぐ立ち上がり、足の裏の中央に体重をのせる。胸の前で手を合わせ、合掌。
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③息を吐きながら体を低くする。姿勢は前傾でも体重は真っすぐ下に落とす。下がれるところまででOK。【5呼吸】
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NG:お尻は後ろに引かない
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STEP4:背中を開き背骨を調整
立つためのワークの仕上げは、背骨の調整。再び背中を開き、無理な姿勢や動きによって歪んだ背骨を整えます。気をつけたいのは骨盤の向き。しっかり起こして床に下ろし、呼吸を使って無理なく背骨を整えていきましょう。
バタフライ:背面全体を整えてアライメントを正す
総仕上げとして、背骨の位置を整えます。背中の筋肉や筋膜が凝り固まっていると、背骨は歪んだまま。鼠蹊部を開いた深い前屈で、足底からアキレス腱、ふくらはぎの筋肉、背面全体をリリースしましょう。
HOW TO
①足裏の側面をつけて座る。足裏に軽く手を添える。足とお尻をどっしり床へ。
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②足を床に押しながら前屈。息を吸うときに足を床に下ろし、吐くときにおへそを引っ込め、お尻を後ろへ下ろしていく。【力まず行える時間または3分キープ】
POINT:背中全体を広げる・鼠蹊部をつぶさないように
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POINT:両足の裏は、小指側のへりをくっつけるようにする
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NG:尾骨が上がるのは×
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教えてくれたのは…川畑友季湖先生
Yin Yoga Japan主宰。ビクター・チャン氏のもとで陰ヨガを学び、Yin Yoga in Asiaのシニアティーチャーとして日本やバンコクなどで指導を行う。
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