最も安全な「ヘッドスタンド」への入り方とは
研究によってわかること
この研究では床反力、首の角度、荷重速度、圧力の中心を評価した。
1.床反力ポーズに入るとき、出るとき、ポーズを安定させているときの3段階で、頭頂部に認められた最も大きな床反力は、体重の40〜48%であった。体重150ポンド(68㎏)の人であれば、60〜72ポンド(27〜32㎏)に相当する。首の損傷については閾いき値ちが明らかになっていない。諸研究の論文によって、67〜3821ポンド(30〜1733㎏)という推定値があげられており、男性のほうが閾値が高いことがわかっている。このことから女性はヘッドスタンドをするときに特に注意が必要であることがわかる。一方、頭部に加わる力は、体を安定させている間(参加者は5回呼吸する間ポーズを保った)に最も大きくなり、ポーズを出るときに最も小さくなることがわかった。体のサイズに関するデータを集めていないことに注意しなくてはいけない。
2.荷重速度荷重速度を理解するためには、「ひずみ速度」を理解することがきわめて重要である。ひずみとは荷重が加わるときに組織の形が変化することを指し、速度とは荷重が加わる速さを指す。人体では、ひずみ速度が速くなるために生じる抵抗によって、荷重による事故の可能性が高くなると思われる。このことを念頭において、ヘッドスタンドにゆっくり入る利点をよく理解しなければならない。この研究によって、荷重速度は(ポーズの入り方に関係なく)ヘッドスタンドに入ったときに最も速くなることがわかった。3のグループが、足を蹴り上げてポーズに入る1と2のグループよりも荷重速度が遅いことがわかった。このことから、荷重速度を低下させるためには、3の入り方が最もよいと思われる。
3.首の角度長年、首が屈曲しているときに荷重が加わると、損傷のリスクが高くなると考えられてきた。そこで今回、3つのグループの首の角度を検討した。最も大きな力が加わっているときの首の角度は、ヘッドスタンドの段階や入る方法によって大きく変わらないことがわかった。3グループとも、概して首はヘッドスタンドに入るときには伸びていて、ポーズを安定させているときとポーズから出るときにはニュートラルであるか伸びていた。要するに、ヘッドスタンドを行っている間に、屈曲している首に荷重が加わる可能性があることになる。この結果は、ヘッドスタンドを練習に組み込むことを思いとどまらせるものであるかもしれない。
4.圧力の中心頭頂部の圧力の中心を検討して、ヘッドスタンドの3つの段階で中心がどのように移動するか明らかにした。ポーズの入り方にかかわらず、ポーズに入るときとポーズから出るときに、どの参加者にも中心の移動が若干みられた。このように中心を調整できると、(縦軸から体をずらすことによって床反力を低下させられるので)頭頂部に加わる最も大きな力を和らげるのに有益であると思われる。ただ、体が左右に揺れると、首に横力が加わって、損傷の原因となりうる。
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