ヨガのルーツは5つの伝統文化だった?ヨガポーズの起源と背景
タントラ
タントラは「拡大して解放する」という意味で、私たちの内部に眠るエネルギー(クンダリーニ)を覚醒させ、モクシャ(輪廻転生からの解脱)に導く秘教とされている。タントラの主神「デヴィ」は偉大なる母を意味する。タントラ聖典の多くは男神のシヴァと女神のシャクティの会話からなり、そのうちの一つ、ヴィギヤン・バイラブ・タントラでは、シヴァが112の瞑想技法を伝授している。
タントラは西洋でますます人気を博しているが、セックスの技法ばかりが強調されるために大きな誤解を生んでいる。タントラのセクシャリティは行為ではなく象徴的なもので、愛する相手に魂が触れる時に生まれる神聖なエネルギーをいう。またバクティ(献身)こそがタントラの重要な土台だ。バクティでは主に神に捧げるマントラとプージャ(礼拝)を練習し、その最初にアサナが行われることが多い。その儀式では、まず神に自分の家や心の中に“座っていただく”ように招きいれる。この練習でのアサナは「座ること」を意味している。
タントラの時代、アサナはダンスと合わせて身体を使って神を称える方法の一つとして発達した。ナタラジャーサナ(舞踏の王のポーズ)は、カラナと呼ばれる
108のポーズを含むターンダヴァ(宇宙の創造と破壊のダンス)を舞うシヴァ神の姿に由来している。カラナには私たちが今日練習しているアサナの原型がいくつかみられる。ハタヨーガプラディーピカや、巻数の多いティルマンディラムのような経典にはゴムカーサナ(牛の顔のポーズ)やシンハーサナ(ライオンのポーズ)などのおなじみのポーズが多く記載されている。だがそれより前の時代はアサナは必ずしも健康促進のためではなく、苦行として行われていた。今もインドには、片腕をあげたままのヨギや、12年間横たわらないと誓って苦行を行うヨギたちがいる。
ヨガの発祥はインドの発祥と同じくらい古い。多くの考え方や様式を含む広大な学びであるが、そのすべての根底にあるのは、一人一人の小宇宙としての魂(アートマ)と大宇宙の魂(プルーシャ)である宇宙意識との繋がりや一体化の理念だ。この一体化は精神と身体と心の統合によって実現する。ヨガが発祥したのはインドだが、その教えは普遍的で万人に通じるものであり、一体化を目指す私たちの旅に様々な道を提供してくれる。
教えてくれたのは…ゼニー・バガツィング・オグライセグ
ゼニーは14年以上ヨガを教えている。彼女の最初のヨガティーチャーは「オーム」を教えてくれた母親だった。ゼニーはハワイ・スクール・オブ・ヨガの創立者であり、200時間、500時間ティーチャートレーニングで指導している。インド伝統に夢中で、インドの文化やスピリチュアリティをあらゆる方面から研究し、「歩くヨガ事典」と呼ばれている。日々アイアンガーヨガやマントラ、瞑想を実践し、聖典を研究している。フリータイムは家族と共にハイキングやビーチを楽しんでいる。
ヨガハワイマガジン/「Yoga 101: The Origins and Context of Asana」
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