科学的に考える「ジャンプバック」で安全にプランクポーズに移る方法
後方へのジャンプを解剖学的に見てみよう
後方にジャンプしてチャトランガダンダーサナやプランクポーズに移るときにはどの筋肉が働いているのだろうか。
答えはこの図の中に。
チャトランガ vs プランクポーズ
後方にジャンプしてプランクポースに移る場合とチャトランガダンダーサナに移る場合の床反力(床に接している部分が床から受ける力)を測定し、下の図に主な結果を示した。この図から、床反力と重心の両方を考慮に入れると、プランクポーズで着地する場合とチャトランガダンダーサナで着地する場合には大差がないことがわかる。
チャトランガダンダーサナに移る場合は、上半身が受ける床反力がプランクポーズに移る場合よりも4.5kg(モデルの体重の7%)大きいことが明らかになった。
プランクポーズに移る場合は、肩と手首への負担はチャトランガダンダーサナに移る場合よりも小さいが、足への負担が約3.6kg(モデルの体重の5%)大きくなることがわかった。
どれを選ぶべきか?
今や両方の動きの生体力学的特徴がわかったので、自分の必要性と目標に合わせて、ヨガを教えている人であれば生徒の必要性と目標に合わせて、情報をふまえた選択ができるはずだ。以下の指針を参考にしていただきたい。
★後方に足を引いてプランクポーズになり、体を低くしてチャトランガダンダーサナに
最もけがをしにくい選択肢を求めている場合は、これを選ぼう。初心者のほか、手首、肘、肩、腰にけがをしやすい人や足の可動性が十分でない人にとって最高の選択だ。
★後方にジャンプしてプランクポーズに
プランクポーズをきちんと(背中上部の筋肉を働かせて、腰を沈めずに)保つことができて、痛みも感じず、さらに挑戦したいと思っている人は、これを選ぼう。体幹部と腕と肩を働かせ、腕を比較的真っすぐに保とう。
★後方にジャンプしてチャトランガダンダーサナに
チャトランガダンダーサナをきちんと(背中上部の筋肉を働かせ、腰と腹部を沈めずに、肩と肘を一直線に)保つことができて、プランクポーズへのジャンプも問題なくこなし、プランクポーズからチャトランガダンダーサナへ痛みを感じず移行できる人は、これを選ぼう。この練習をするときには、体幹部と肩を働かせ続けよう。関節に痛みや違和感を感じたら中止すること。
指導&モデル/ロビン・カポビアンコ
ヨガを実践しており、ヨガの科学的側面への興味から神経生理学で博士号を取得した。動作の神経制御をテーマとする自らの科学的研究に、20年以上にわたるヨガの学びと実践と指導の経験を活かしている。自らの研究では、ヨガの指導方法を根本的に変えることと、ヨガ界に欠けていると感じている科学的根拠を提供することを目指している。詳しくはウェブサイトへ。
指導/ジェイナ・モンゴメリー
生涯変わらぬ学習者でありアスリートでもある。科学とスポーツへの情熱から、人間の動作の生体力学的研究で博士号を取得した。自らの研究では、外力や装置(具体的には補装具やその技術)が人間の動作に及ぼす影響を明らかにすることに取り組んでいる。詳しくはウェブサイトへ。
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