産後の骨盤矯正いつから始める?産後の骨盤の状態とおすすめヨガ&トレーニング
産後のママの体は骨盤を中心にダメージを受けています。しっかりケアしてあげることが必要です。産後の体のケアとして、よく言われているのが「骨盤矯正」というキーワード。とはいえ、いつから始めればいいの?具体的に何をすればいいの?などわからないこともたくさん。まずは、産後の骨盤の状態について知り、骨盤を中心に産後の体を回復させるのに必要な対策をとりましょう。
骨盤の仕組み
骨盤は体の要の部分、上半身と下半身をつなぐ場所に位置しています。骨盤が正常な状態にないと、全身のバランスが崩れやすくなってしまうほど、私たちの体にとってとても重要な部分です。どんな構成なのでしょうか?
二つの寛骨
ざっくりと分けて二つの寛骨(かんこつ)という部分に分けられます。左右対称にあるちょうちょの羽のように広がっている部分です。寛骨の中でもさらに細かく分けると、腸骨(ちょうこつ)・坐骨(ざこつ)・恥骨(ちこつ)に分類することができます。腸骨は腰あたりを触るとごつごつしている大きく広がった部分、坐骨は座った時に床にあたる部分、恥骨は股間の中央に位置する部分です。
仙骨
寛骨は中央で仙骨につながります。ちょうどおしりの割れ目の上あたりにプレート上の骨を触ることができます。それが仙骨です。二つの寛骨(腸骨)と仙骨がつながった部分を仙腸関節と呼びます。
尾骨
おしりの下の方、動物のしっぽにあたる部分が尾骨です。
骨盤はこれらの骨で構成され、背骨、下半身の大腿骨につながります。
骨盤矯正とは
骨盤矯正というワードは様々な場所で使われ、様々な解釈があるのが現状です。ですが、基本的に骨の形を変えるようなことはできません。(そんなに簡単に変わってしまったら生活するのに困ってしまいますね)「骨盤周辺の筋肉のバランスを整える」という意味でここでは使います。
骨盤を正常な状態に保つためには、周辺の筋肉が様々な方向からちょうどよい力加減で支える必要があります。適度な筋力、適度な柔軟性が関連する筋肉に備わっている状態です。ストレッチやトレーニングをすることでその状態に導いていきましょう。
なぜ産後の骨盤矯正が大切なのか
産後の骨盤の状態
産前(特に後期)には出産準備のために骨盤が広がります。通常の骨盤の状態だと赤ちゃんが通れないので、必要なホルモンが分泌され、骨をしっかりと支えていた靭帯を緩めることで骨盤の広がりが起こります。経膣分娩の場合は骨盤の下部から赤ちゃんが出てきますので、さらに力がかかり下方へ広がります。靭帯は引き延ばされ、いうなれば捻挫の状態なのです。
また、周辺筋肉も引き延ばされたり損傷したりとダメージを受けています。妊娠中にお腹が大きくなることで腹筋群やおしりの穴周辺の骨盤底筋群は引き延ばされ、力が入りにくくなります。体を起こすのが難しくなったり、尿漏れを引き起こすこともよくあるケースです。経膣分娩時には会陰部の裂傷や切開をすることも多く、傷を負っている状態です。帝王切開では開腹手術をするわけですから、傷跡など術後の影響があることは言うまでもありません。
産後の骨盤ケアを怠るとどうなるの?
通常はしっかりと安静にし回復に努めていれば、骨盤のダメージは元に戻るといわれています。でも、なかなかそうはいかないケースが多いのが現状です。現代のライフスタイルの中では全員が付きっ切りでサポートを受けられる体制ではありません。ママたちは産後の大ダメージを受けた体で、赤ちゃんのお世話をしなければならないのです。その中では授乳やおむつ替え、抱っこなど骨盤に負担をかけるような姿勢をとる場面が多くあります。骨盤が不安定な時期に無理な姿勢や負担をかける姿勢をとることで、回復を妨げてしまうことがあるのです。そのためにも、積極的なケアが必要です。
骨盤矯正、いつから始めるべき?
産後最低1か月はできれば安静に
まず、産後の大ダメージは安静にして回復させることが大切。できれば1か月くらいは寝た状態で安静にしましょう。座った姿勢や立った姿勢も重力がかかり骨盤に負担をかけてしまいます。お世話などは最低限のことだけ自分で行い、できるだけ家族などにサポートしてもらえるといいですね。
会陰部の痛みや違和感がなくなってきたら動きの少ないトレーニングを始めてもよい
裂傷や切開後の会陰部が回復してきたら動きの少ない骨盤底筋群の運動ができます。少しずつ慣らしていきましょう。
産後9週以降からダイナミックな動きも可能に!
6週まではダイナミックな動きは控えましょう。9週以降からは自宅での腹筋トレーニングやクラスに参加が可能です。9週たっても帝王切開の傷が痛かったり、体力が回復していない場合は、回復するまで待ちましょう。
産後6か月までは体を折り曲げる動きは避けて
腹筋を強化しようとして、体を折り曲げて行う一般的な「腹筋トレーニング」のような動きをするのはNG!かえって腹筋の回復を妨げます。まっすぐに体を伸ばしながら腹筋を鍛える方法を取り入れて。普段の姿勢でも猫背になったりすると同じく体が折れてしまうので気をつけましょう。また、6か月以降であったとしても、しっかりと腹筋が回復していない状態ではできるだけ折り曲げる体制は避けましょう。また、大きく足を開くポーズも控えた方がベター。
骨盤矯正はいつまでやればいいの?
産後の体はいつまでも「産後」に変わりはありません。できれば長く続けていけると、その後の体づくりにもとても役に立ちます。反対に、産後遅くから始めたら手遅れということもありません。もちろんできるだけ早くから取り組める方がベターですが、やり始めた時から体は変化していきます。あきらめないで、取り組んでみてくださいね!
骨盤矯正おすすめヨガ&トレーニング5選
時期に合わせて、無理のないペースで取り組みましょう。産後の骨盤矯正に特に必要なのは、上記でも述べたように引き延ばされた腹筋群と骨盤底筋群を鍛えてあげること。これらの筋肉は骨盤に付着していますので、正しい機能を回復させることにより、骨盤の正常な状態へのサポートにつながります。部分的なアプローチはもちろん、正しい姿勢を保持することも、とても大切。産後の無理な姿勢で骨盤に負担をかけないように、正しい姿勢を保てるためのトレーニングも同時にやっていきましょう。
骨盤底筋群を動かすトレーニング
開始時期:会陰部が回復してきた頃
効果:ダメージを受けた骨盤底筋群を動かすことで強化し、骨盤の正常な状態へのサポートを促します。また、尿漏れ、内臓下肢によるポッコリお腹の改善にも。
やり方
1.仰向けに寝て、膝を立てます
2.吐く息でおしりの穴を締め、吸う息で緩めます
3.何回か繰り返しましょう
4.内腿にクッションなどを挟むとさらに効果的!
腹筋強化トレーニング
開始時期:産後9週〜
効果:腹部のインナーマッスルを鍛えることにより、骨盤の正常な状態をサポート。お腹の引き締め効果はもちろん、姿勢の保持にも欠かせない筋肉を強化することで、骨盤への負担を軽減します。
やり方
1.仰向けに寝て、膝を立てます
2.吐きながらおしりの穴を締めてから、お腹をへこませます
3.呼吸は続けながらできるだけ2で作った状態をキープ
4.そのままゆっくりと足を地面から上げ、すねが地面と平行になるまで上げる(腰が反らないように注意!)
5.余裕があれば左右にゆっくり膝を動かす
6.最後までゆっくり。足を下ろします
杖のポーズ
開始時期:産後9週~
効果:骨盤底筋群と腹部のインナーマッスルを意識した姿勢保持で、骨盤に関連した筋肉を強化します。また、姿勢保持できるようになることで日常の不良姿勢の改善、骨盤への負担を軽減します。
やり方
1.足を前に伸ばし長座の姿勢で座ります
2.軽く両膝を曲げて骨盤を地面から垂直にして背骨を上に引き伸ばします
3.吐く息でおしりの穴を締め、お腹をへこませ上に引き上げます
4.手は軽くおしりの横に添えるか、余裕があれば上に伸ばします。3で作った状態を保ちながら呼吸を続けてキープ
5.入れていた力を抜きリラックス
山のポーズ
開始時期:産後9週~
効果:骨盤底筋群と腹部のインナーマッスルを意識した姿勢保持で、骨盤に関連した筋肉を強化します。また、姿勢保持できるようになることで日常の不良姿勢の改善、骨盤への負担を軽減。抱っこ紐などで崩れがちな姿勢を整え、腰痛や肩こりの改善にも。
やり方
1.両足をそろえて立ちます。重心はかかと、親指の付け根、小指の付け根に均等に
2.内腿に何かを挟んでいる気持で中央に引き寄せます。膝は正面向きのままで!
3.おしりの穴を締め、お腹をへこませ両方とも上に引き上げてみましょう。骨盤がまっすぐに立って安定します
4.胸を軽く広げ、肩を下げ、顎を引きましょう
5.頭のてっぺんからひっぱられているような気持で呼吸を続けます
月のポーズ
開始時期:産後9週~
効果:骨盤底筋群、腹部のインナーマッスルを使い、姿勢保持しながらも体側をストレッチすることで、骨盤周辺の筋強化と合わせてよりバランスの取れた姿勢へと導きます。腰痛、肩こりなど、姿勢が崩れてしまうことにより起こりがちな産後のマイナートラブルにも効果的。
やり方
1.山のポーズから始めます。両手を頭の上で合掌またはタオルなどを持ちましょう
2.骨盤から下を安定させながら、手を右斜め上に倒します
3.反対も同様に行います
日常生活で気をつけることは
トレーニング中はもちろん、日常の姿勢にもぜひ意識を向けてみましょう。丸まりがちな背中をまっすぐに伸ばし、いい姿勢を保つことで、産後に起こりやすい腰痛や肩こりなどの改善にもつながります。抱っこ紐を使っている時、おむつ替えの時、授乳の時、思いだしたらいい姿勢!地道に続けてみてくださいね。
ライター/櫻井麻美
大学在学中に世界一周をし、卒業後は日本各地に住み込みで働く。既存の価値観の中で生き方を考えることに違和感を抱き、自分の生き方について考え始める。20歳の時のヨガに出会い、その後ヴェーダンタに触れ、共感。自身でも学びを続けながら様々な場所でヨガを伝えている。
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