理学療法士に聞く!安定して立つ、踏み込むための「足」の秘訣
グラウンディングする「足」を作るエクササイズ
では実際に、グラウンディングする足を作るために必要な「可動域」「筋力」「足底感覚」の3つを高めていくエクササイズを紹介します。それぞれ1分間ずつ行いましょう。
足趾マッサージ
手の指と足趾とをしっかり握手するように挟んで、ギュッと足趾を握ったり反らしたり捻ったり、足首を回したりしていろんな方向に動かしてみましょう。マッサージすることで、足部の皮膚や筋肉の硬さが取り除かれ、血行が促進し、骨の配列が整い関節内の滑液が循環します。
足趾ジャンケン(4パターン)
足趾の可動域を向上させます。足趾の力だけのジャンケンが難しい場合は、手の指で形を作ってからそっとその手を離すことを繰り返して、足趾に徐々に形を学習させていきます。まずグーをやってみましょう。ポイントはグーの際に5つの中足趾節関節(写真の青い丸の部分)が白く浮いて確認できるくらいしっかり握ることです。これが横に並べた手のグーと同じ状態です。
中足趾節関節が使えていない状態。浅い握りになり、横に並べた手のグーと同じ状態ですが、これはグーではありませんよね。
チョキと逆チョキもやってみましょう。足趾を分節的に動かせるように練習していきます。
パーをやってみましょう。足趾を反らすのではなく、横に開きます。この4パターンを繰り返します。
タオルギャザー
足趾の筋力を向上させます。足趾でタオルをたぐり寄せます。ゆっくり深く握る、または素早く小刻みに、などスピードを変化させることも訓練になります。
趾反らしエクササイズ
10本の足趾をグッと持ち上げては下ろす、を繰り返します。「ウィンドラスの巻き上げ効果」といって、アーチの引き上げにとても有効なトレーニングです。足裏の体重分散も整える効果があります。足趾を反らせた時の土踏まずの引き上がりを感じながら行いましょう。
メカノレセプター刺激
メカノレセプターという足底のセンサーの感覚を高めていくエクササイズです。足裏に刺激を入れることでセンサーは活性化されます。足裏でゴルフボールをゴロゴロ転がして、所々グッと踏ん付けてみましょう。
最後に
グラウンディングの重要性、そしてそのための「足」の機能解剖とエクササイズをお話してきました。
足は全身の体重と床からの反力をダイレクトに受け止めるところです。大切なことは、裸足になれるヨガの時間に、自分の足と向き合ってみて、足裏や足趾をいつも意識してみることです。今日からの足の意識が10年後、20年後の自分を作っていくのです。今からしっかり自分の土台である「足」をコンディショニングしていきましょう。
【参考文献】
山口光國他「結果の出せる整形外科理学療法」メジカルビュー社,東京,2009
中村隆一他「基礎運動学」医歯薬出版,東京,2010
ライター/堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。モデルやレポーターとして活動中ヨガと出会い、2006年にRYT200を取得。その後、健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士国家資格を取得し、慶應義塾大学大学院医学部に進学。現在大学病院やスポーツ整形外科クリニックで、運動機能回復のためのリハビリ治療に携わる。RYT200解剖学講師も務める。
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