7人のヨガ賢者が語る「今、伝えたいヨガの精神」vol.3 中村尚人先生
――身体心理学の観点からヨガを見ると、説明がつくことがたくさんあると中村先生は力説します。
「たとえば、アーサナを行う際は、ゆっくり動くことを大切にしますよね。どうしてなのか、わかりますか? 怒りや緊張があると動作は速くなるけれど、ゆっくり動きながら怒ることは難しいからです。つまり、ゆっくり動くと、優しく丁寧になっていくのが自然。ポーズをゆっくり行うことは、心が落ち着ける体の状態をつくっているのです」
――具体的には、次の4点を意図的にやってほしいと中村先生。
「第一に、ゆっくり動くこと。漠然とゆっくり動くことを意識するよりも、たとえば、10秒かけながら手を上げてみてください。気持ちが急いでいる人は10秒もかけられないはずです。もしそうなら『自分は急いでいるんだ』と気づくことが大事。ポーズができているかどうかではなく、集中できているかどうかが大事です。第二に、ポーズをキープすること。ポーズをキープするためには、アウターマッスルの力を抜く必要があります。アウターマッスルは、俊敏な動きが得意です。だからここを使わないことで、ゆっくり動ける体の状態にもっていきます。三つ目は、自然呼吸をすること。息を止めないというだけでなく、速すぎず遅すぎず、自然な呼吸を心掛けます。最後は、閉眼。自分の内側に集中し、穏やかにポーズに入っていくためです」
「実は、これら4つのポイントは、古典ヨガの教えそのものなのです。古典ヨガは、身体的アプローチに近かったということがいえます。体からアプローチすることで、自然と心が変わっていく。それが、本来のヨガが持っている強さなのです」
インタビューに答えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。東京・八王子で、ヨガ・ピラティススタジオ「TAKT EIGHT」、姿勢・歩行改善スタジオ「UPRIGHT」を主宰。
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