シャヴァーサナとは何か|ヨガの最後にシャヴァーサナを必ず行う理由

 シャヴァーサナとは何か|ヨガの最後にシャヴァーサナを必ず行う理由
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シャヴァーサナを行う上で大切なこと

シャヴァーサナの成功のカギは、インストラクションではなくて場所にある。「静かで、少し暗く、快適で、かつ安定している場所がいいでしょう」とフレンドは言う。このような条件であれば、彼が言うように“意識が内側に向いて鎮まり”やすくなり、シャヴァーサナへの航海に向けて準備ができる。

次に、注意深く体勢を整える。シャヴァーサナは、単に床に寝ているだけではないのだ。「身体をニュートラルな位置に置くことが重要です」とローゼンは言う。「頭をまっすぐに保ち、肩から均等な距離になるようにします」。両腕は身体の両脇に伸ばし、上体に対して 45度ぐらい広げる。肩の力を抜き呼吸を楽に行う。このとき、身体はまっすぐに保つ。腕や脚が一方に傾いたり、曲がったりせず、頭も傾いていない。「できるだけまっすぐな状態を保ってください」とパルキヴァラは言う。「エネルギーは滑らかなライン上で流れます。頭がねじれていたり、骨盤が片方に傾いたり、身体がヘビのように曲がっていたら、エネルギーは流れません」

快適だろうか?暗く静かな部屋で床に仰向けになりながら、身体をまっすぐにバランスよく保ってリラックスできているだろうか?それならよかった。

ではここから、いよいよシャヴァーサナの本当の醍醐味を味わおう。「自分の内面を見つめ、内なる精神と向き合う時間です」とパルキヴァラは語る。あなたが私と似たタイプなら、まずは幸運を祈る。「マインドがさまようのを止めるのは難しいことです」とローゼンも認める。「思考や意識の流れから常に離れるようにしなくてはなりません。一歩引いて、離れた所から思考や意識を見るようにするのです」

多種多様な「死ぬ」方法

シャヴァーサナの経験は、指導者次第で多種多様となる。私が木曜日に通うオーム・タラ・ヨガスタジオのティーチャー、マリアは、シャヴァーサナのために温かくて快適な雰囲気を作り出す。ブラインドを下ろし、生徒たちにブランケットをかけて、アイピローをのせる。それから暗闇と静けさの中で5分から8分すごし、シャヴァーサナでの内的な経験から、ゆっくりと私たちのいる部屋へと意識を戻してくれる。

アイアンガーヨガ中級認定指導員のジェフ・ローガンは、ニューヨーク州ハンティントンの自分のスタジオ、ボディ&ソウル・フィットネス・アンド・ヨガセンターで、少し違うやり方でシャヴァーサナを指導している。ジェフが行うシャヴァーサナは、ピースフルだが静かではない。シャヴァーサナの間じゅう、リラックスさせるように話し続け、やがて深遠さへと導く。生徒たちが死体の状態になると、今度は心地よい声で話し始める。生徒たちの意識を身体のすみずみに導き、あご、腕、手、腹部、脚と、順番に緊張を解いていく(マラソンランナーはあらゆる筋肉が張りつめていて、くたくたで、昨日の走りをひきずっていることが多いので、これは本当にありがたい!)。そして、目も眼窩の奥で休ませ、舌、耳、肌の力も抜くように促す。

内なる経験から、再び意識を部屋に戻すとき、ジェフは生徒たちに、胎児の姿勢をとらせる――生まれたての赤ちゃんのように。そして、私たちを座位の姿勢に導くと、目を開けて、生まれ変わった子どものように私たちを取り巻く世界に挨拶しよう、と言う。

“亡骸のポーズ”を再生の象徴として捉える――これは実に面白い。ジェフのクラスで、私はそれを体験した。子どものようになって、今やりたいことを考えた。何かを食べたい。他には何も考えていない。自分がランチについて考えていることを穏やかに観察する。じっと動かずに、うまく死体になりきった後は、一日を始めたくてうずうずしていた。やる気がますますみなぎり、自身を観察しながら、生きていることを実感できる――シャヴァーサナが成功したおかげだ。

ライター/ジョン・ハンク
ニューヨークの『ニュースデイ』誌のライターで、『ランナーズ・ワールド・マガジン』の寄稿編集者。著書に『The Coolest Race on Earth』などがある。

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Text by JOHN HANC
Translated by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.25



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