呼吸の仕組みを学ぼう|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
外呼吸と内呼吸とは?
呼吸は、生理学的には大きく二つに分けて考えられます。身体に酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出すはたらきは、身体に空気を出し入れする入り口の働きで、これを外呼吸と呼びます。取り込んだ酸素は血流を通して全身に取り込まれ、細胞で代謝されます。これを細胞呼吸または内呼吸と呼びます。このふたつは常にバランスを保っています。細胞呼吸でたくさん酸素を必要とすれば、外呼吸でもたくさんの酸素を取り入れなければなりません。
たとえば、ランニングのような全身運動では細胞でのエネルギー産生が活発になるので、それに合わせて外呼吸も呼吸の回数や一回の呼吸量を増やして対応する必要があるわけです。細胞呼吸が激しくなっても外呼吸が増えないと、身体は酸素が足りない状況になるのです。人間の身体は、細胞呼吸の状態に合わせて自動的に外呼吸の調節ができる多くの仕組みに支えられて生きています。ヨガで行うような意識的で深い呼吸は、この自動的な調節を抑え込む形で行われる随意的な呼吸ですが、それもまた、ヨガという動作を含んだ活動を支える細胞呼吸に対して、より必要になる酸素を供給する役割も果たしています。
次の回では、「呼吸はどうやって行われているか」についてお伝えしてきます。
教えてくれたのは…得原藍さん
大学時代にアメリカンフットボールの学生トレーナーをした経験から身体運動に興味を持ち、卒業後社会人経験を経て大学に再入学し理学療法士となる。総合病院と訪問リハビリテーションで臨床経験を積み、身体運動科学について学ぶために大学院に進学、バイオメカニクスの分野で修士号を取得して5年間理学療法士の養成校で専任教員を勤める。現在はSchool of Movement®️ IES Directorとして様々な運動関連職種の指導者に対してバイオメカニクスを中心とした身体運動の科学を教えている。
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