年齢を重ねるごとに罹患しやすい〈心房細動〉なりやすい人の特徴は?医師が解説

 年齢を重ねるごとに罹患しやすい〈心房細動〉なりやすい人の特徴は?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-12-29

心房細動は年齢を重ねるごとに罹患しやすい傾向があります。医師が解説します。

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心房細動とは?

心臓は、基本的には心筋細胞における電気信号を規則正しく伝達して正常に動いています。

心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれており、右心房に存在する洞結節が電気信号を発生させる部位となり、同部から発せられた電気信号は、右心房から左心房、両心室へと順次伝わることになります。

この電気信号の流れが乱れる、あるいは遅くなったり、速くなったりしている状態が「不整脈」の状態であると言えます。

不整脈とひと言でいっても症状の程度は不整脈の種類によって異なり、少し脈が飛ぶ程度のものがある一方で、突然死を起こす非常に怖い不整脈もあります。

日本のおよそ2%弱の人が「心房細動」という不整脈を患っていると推定されており、本疾患の患者さんは加齢に伴って増えることが知られていて、特に80歳以上の男性ではその罹患率はおおむね10%以上と言われています。

不整脈の一種である心房細動は、本来は一定リズムの電気活動で拍動している心房部分が、無秩序に痙攣している状態を呈します。

そのために、正常の規則的な脈リズムではなく、不規則な脈になってしまうことで動悸やめまいなどの自覚症状が出現することも往々にしてあります。

心房細動と呼ばれる不整脈は、心房内に流れる電気信号の乱れが原因となって心房が細かく震えるために心臓内の血液をうまく心室などに送り出せなくなる病気です。

不整脈
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一般的に、心臓は一定のリズムとペースで壁運動をする(心臓の壁が収縮する)ことで全身に血液を送り出しており、規則正しく心臓の各箇所が収縮運動をするためには、心臓を構成している右心房という部屋にある洞結節と呼ばれる部位から規則正しく電気信号が発信される必要があります。

ところが、心房細動では洞結節以外からも異常な電気信号が発生し、心房内をめぐる電気信号がイレギュラーに乱れることで心房自身が細かく震えるように動きます。

心房細動になりやすい人の特徴は?

心房細動は年齢を重ねるごとに罹患しやすい傾向があり、高齢者で多くみられることが知られています。

それ以外にも心臓弁膜症、心筋症、狭心症などの虚血性心疾患、高血圧、甲状腺機能亢進症などの基礎疾患を有していると心房細動を引き起こしやすいと伝えられています。

さらに、糖尿病、肥満体形、脂質異常症などを含めたメタボリックシンドローム、慢性腎臓病、飲酒や喫煙歴などの生活習慣も心房細動を引き起こしやすくするリスクファクターと言われています。

近年では、高齢者を中心に、知らないうちに心房細動と呼ばれる不整脈を罹患している方が増えており、この不整脈を患うと心臓の中に血液の塊が出来やすくなります。

心房細動と呼ばれる不整脈では、心房内に血栓を形成し、その心房内の血栓は血流に乗って全身へ飛ばされる恐れがあるため、脳梗塞の発症リスクも上昇すると考えられています。

心臓の中に出来た血液の塊が時に遊離して、不幸にも脳の動脈の方に流れていってしまうせいで脳の血管が詰まって閉塞してしまうことが原因で起こる脳梗塞のことを特に心原性脳塞栓症と呼んでいます。

このような危険な不整脈と考えられる心房細動がありますと、毎年につき約5%の方に脳梗塞が起こると言われていますので、普段の生活で動悸を自覚するなどの症状が出現した際には、心房細動などの不整脈がないかどうか医療機関で詳しく調べてもらいましょう。

まとめ

心房細動という不整脈は、本来は一定リズムの電気活動で動いている心房の部屋が、無秩序に痙攣している状態を呈するため、正常の規則的な脈ではなく、不規則な脈のリズムになってしまい、動悸やめまいなどの症状が認められることがあります。

近年では高齢者を中心に、知らないうちに心房細動と呼ばれる不整脈を罹患している方が増えています。

心房細動があれば、毎年約5%の方に合併症として脳梗塞が起こると言われていますので、普段の生活で動悸を自覚するなどの症状が出現した際には、心房細動などの不整脈がないかどうか循環器内科など専門医療機関で詳しく調べてもらいましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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