放置してはいけない〈足のほてり感〉〈就寝時の足汗〉そこに隠れた意外な疾患とは?医師が解説

 放置してはいけない〈足のほてり感〉〈就寝時の足汗〉そこに隠れた意外な疾患とは?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-07-19

就寝時に足が熱くなる。これは何らかの疾患である場合もあります。危険な足汗とその背景にある原因について、医師が解説します。

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足汗で注意したい疾患とは?

皆さんは、足の裏がほてり、熱く感じて、足汗がでる経験をしたことはありませんか。

暑くて単純に足汗がでるだけであれば大きな心配はいりませんが、強いほてり感や足汗をかいたときに注意したい病気の一つに、「むずむず脚症候群」というものがあります。

毎晩の就寝時などに、足首より末端の部位が非常に熱くなって、時に足汗がでる症状を総じて「むずむず脚症候群」と呼び、別名「バーニングフィート症候群」とも言われています。

むずむず脚症候群では、脚がむずむずする、脚がそわそわした感じがする、皮膚に虫がはうような感じがするなど、脚を中心として不快な感覚異常の症状が現れ、こうした不快感をともなう症状は夜間に生じることも多く、不眠症につながる場合もあります。

また、この症候群を罹患した場合には、足にじんじんするほどの熱さ、あるいは燃え上がるような異常熱が足首全体に感じられるようになります。

むずむず脚症候群のメカニズムや改善策を知らずに苦悩している方も多いです。

むずむず脚症候群の原因としては、脳内にあるドパミンと呼ばれる神経伝達物質の一つが異常を示すことから発症すると考えられています。

場合によっては、原因となる基礎疾患が特定できないこともありますが、その一方で原因を特定できる場合もあります。

具体的な原因疾患として、鉄欠乏症が挙げられ、生体で鉄欠乏が生じる状況としては、胃切除後症候群、慢性的な消化管出血、生理に伴う月経出血などがあります。

それ以外にも、パーキンソン病・脊髄小脳変性症・ハンチントン病・多発性硬化症などの神経疾患、リウマチ性疾患、内分泌疾患、腎不全、妊娠、うつ病、慢性閉塞性肺疾患などと関連してむずむず脚症候群が発症することもあります。

むずむず脚
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むずむず脚症候群の対処法とは?

むずむず脚症候群では、皮膚に虫がはうような感じ、炭酸の泡が常時脚にまとわりついているような感じなど、不快な感覚異常が下肢全体を中心として起こります。

むずむず脚症候群を罹患した場合には、足にじんじんするほどの熱さ、あるいは燃え上がるような異常熱が足首全体に感じられるようになります。

この疾患では、特に毎晩の就寝時などに足首より末端の部位が非常に熱くなって足汗をかく症状が多いと言われています。

むずむず脚症候群の原因が明確に判明すれば治療を行う事は簡単ですが、明らかな主因が分からないことも多々あります。

症状を対症療法的に抑えるためには、足の裏を優しくマッサージする、あるいは患部に湿布を貼って血行を一時的に良くするなどの方法が考えられます。

また、足の筋肉のマッサージによってむずむず脚症候群の症状を改善させるという研究結果がこれまでに報告されています。

そして、特にむずむず脚症候群の症状を改善させるために重要なミネラルと考えられているものとしてマグネシウムが挙げられます。

マグネシウムを多く含む食品は、ほうれん草、牡蠣、大豆、米、みそ、ひじき、まぐろ、のりなどが挙げられ、一般的には動物性よりも植物性のものが多い傾向にありますので、普段の食事からもしっかりミネラルなどを摂取できるように心がけて下さいね。

この症候群では、あくまで原因に見合った対処が大切ですが、一般的には短期的な対策から長期的な改善法まで考えられていて、例えば、自分の足に合った靴下や靴を選ぶことも重要です。

それ以外にも、炎症を抑える薬を服用する、あるいは足を短時間だけでも休息させるなどの解決方法があります。

まとめ

これまで、注意したい危険な足汗とそこに隠れた疾患などを中心に解説してきました。

様々なメカニズムによって、特に足首から下の箇所が熱く感じて、足汗をかくなど、夜間に症状が悪化する病気のことをむずむず脚症候群と呼んでいます。

むずむず脚症候群の原因が明確に判明すれば治療を行う事は簡単ですが、明らかな主因が分からないことも多々あります。

むずむず脚症候群では近年になってはじめて注目されている症状を有しており、その主たる原因として想定される病状は多岐にわたり、なおかつ原因不明であることもしばしば見受けられます。

症状を対症療法的に抑えるためには、足の裏を優しくマッサージする、あるいは患部に湿布を貼って血行を一時的に良くするなどの方法が考えられます。

心配であれば、最寄りの内科やかかりつけ医などに相談しましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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