40代・50代に多い!赤ら顔とも呼ばれる皮膚疾患【酒さ】になりやすい人の特徴とは?医師が解説

 40代・50代に多い!赤ら顔とも呼ばれる皮膚疾患【酒さ】になりやすい人の特徴とは?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-06-14

酒さ(しゅさ)とは「赤ら顔」とも呼ばれる皮膚疾患です。主に40歳代から50歳代の中年以降に発症しやすく、男性よりも女性に多い傾向があります。医師が解説します。

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酒さとは?

酒さ(しゅさ)は、持続性の皮膚の病気です。

一般的には、酒さでは、顔面の中央部に発赤と小さな吹き出物が現れ、皮膚の下の血管がはっきりと見えるようになります。

酒さの特徴的な症状として、いわゆる赤ら顔と呼ばれる、皮膚の赤みと火照りが挙げられます。

酒さの特徴は、外的な刺激に過敏に反応して赤くヒリヒリする皮膚の肌質であり、発症過程では、体質的な要因が強く、さまざまな悪化要因があります。

短期間で症状をなくすことは難しいため長期間の治療介入が必要であり、治療経過中によくなったり悪くなったり緩解や増悪を繰り返すこともありますが、根気よく治療を継続することが重要です。

酒さでは、リスクファクターに伴って、症状が悪化することもあるため、治療の一環としてこれらの要素をできうる限り回避することも必要なポイントです。

酒さに対する治療薬としては、ビタミン剤や抗生物質の内服であり、広く用いられるのがテトラサイクリン系の抗生剤であらい、ニキビ様のぶつぶつだけでなく、びまん性の赤ら顔にも効果的と認識されています。

最近では、タクロリムス軟膏などのアトピー性皮膚炎に対する新しい外用薬が登場し、酒さの赤く火照る炎症所見を鎮静化してくれる効果が認められるようになってきています。

酒さ
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40代・50代に多い!酒さになりやすい人の特徴とは?

酒さが発症する原因は、いまだ完全に明らかになっているとはいえず、遺伝的な要因や環境因子が複雑に関与していると推定されています。

毛細血管が広がり、通常よりも多くの血液が流れることから酒さの症状は現れるため、毛細血管が広がることを促進する因子が酒さの症状が悪化する要素であると考えられます。

・辛いものなど刺激物を多く摂取する

・普段からアルコールやカフェインを多く飲む

・寒暖がはっきりした環境で長時間過ごす(特に寒冷曝露)

・太陽光を長時間浴びる(紫外線が悪化因子)

・ホルモンバランス異常

・喫煙習慣 など

これらがリスクファクターとして挙げられます。

酒さは「赤ら顔」とも呼ばれ、顔面に生じる原因不明の慢性炎症性疾患であり、主に40歳代から50歳代の中年以降に発症しやすく、男性よりも女性に多い傾向があります。

酒さは、顔面に症状が発現するため、日常生活に支障をきたすこともあり、臨床的な病態の観察から複数の増悪因子の関与が指摘されています。

紫外線や高気温・低気温などの外部環境、精神的ストレスや食べ物などによる体の内部環境などを始めとして、複雑な要因が重なって発症すると考えられています。

まとめ

これまで、酒さとはどのような病気か、4,50代に多い酒さになりやすい人の特徴などを中心に解説してきました。

酒さとは、鼻や頬、顎あごなどが赤くなる病気を指していて、20歳以上の女性から受診の機会が増加して、40歳代から50歳代の中年世代でよく認められる皮膚疾患です。

酒さの原因は不明ですが、この病気になりやすい可能性のある人の特徴として、香辛料の効いた食品、アルコール、熱い飲みものが発症の引き金になることがあります。

それ以外にも、発症の誘因になるリスクファクターとして、日光、日焼け止め、精神的ストレス、寒い気候や暑い気候、運動、風、化粧品、熱い風呂などが考えられます。

酒さを悪化させないためには、悪化因子を避けることが大切ですので、生活環境、アルコールや香辛料など刺激の強い食べ物、医薬品や化粧品など、生活の中で悪化要因となっているものを見つけて、それらをできるだけ回避する生活を送るように心がけましょう。

また、酒さに対するスキンケアは重要な治療策ですし、適切に遮光して低刺激性の洗顔料や保湿剤を使用することで症状が緩和される場合もあります。

心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診してください。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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