「おならが止まらない」病気ではない、意外な理由は?医師が解説

 「おならが止まらない」病気ではない、意外な理由は?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-06-27

「おならが止まらない」病気ではないけど、気になってしまいますよね。おならが続く場合の日常的な原因について、医師が解説します。

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「おならが止まらない」ときの意外な理由とは?

おならは、誰でも1日に10回前後はするものであり、おならが出るからといって必ずしも病気というわけではなく、日常生活に何かしらか問題があるのかもしれません。

食生活

例えば、毎日の食生活において、食物繊維を摂取し過ぎると、おならが止まらないことがあります。

食べ物の中には、通常よりもおなかのガスが溜まりやすいものがあり、特にイモ類や豆類、ネギやキャベツ、キュウリなど食物繊維の多い食品はおならが出やすくなるといわれています。

肉類など動物性の食品に関しては、悪玉菌を増殖させておならが出やすくなるだけでなく、臭いのあるガスを発生させてしまうため、食べ過ぎには注意しましょう。

特に、脂肪分が多い肉類は、消化にも時間がかかり、バクテリアが頻繁に発行されることで、通常時に比べるとおならが出やすくなってしまいますし、炭酸を含んだ飲み物を多く摂取することでも、おならが出やすくなるといわれています。

禁煙

また、禁煙すると、喫煙時と比べて腸内環境が変化して、おならが出やすくなる場合があります。

タバコを吸っている方が禁煙をするときには、腸内にプロテオバクテリアとバクテロイデスという細菌が増殖して、腸管の内容物を分解し過ぎる結果、体内に多くのガスが発生して、おならが頻発するようになります。

ストレス

ストレスが溜まることでも、胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが崩れておならやガスが多く発生しますし、人前でおならが出るのは避けたいと我慢をしてしまうと、ストレスがさらに上乗せされて、ガスが溜まるという悪循環に陥ります。

おならが止まらないときの対処策とは?

おならが止まらないときには、便秘になっている可能性もありますので、普段から便秘になりにくい生活習慣を心がけることが大切です。

便秘は、大腸内に廃棄物である便が長時間滞留してしまう状態であり、便の発酵や腐敗が進み、ガスやおならを多量に発生させてしまいますので、毎日の生活で水分を十分に摂るようにして便秘を回避するように意識しましょう。

便秘に伴う便意やおならを我慢してしまうと、便意を伝える神経を障害して便秘を増悪させますので、便意やおならが出そうなサインがあった時にはすぐにトイレに行くように心がけましょう。

おならが止まらない際には、腸内細菌叢(腸内フローラ)を整えることが重要です。

腸内環境を改善するためには、ヨーグルトや乳酸飲料、オリゴ糖の多い食物などが有効であり、主にオリゴ糖を多く含む食品としては、インゲンやバナナ、納豆や蜂蜜などが挙げられます。

そして、ストレスは身体のさまざまな部分に影響を与えます。

ストレスに伴って、胃腸など消化管もその影響を受けますので、普段の生活でストレスを解消することが大切であり、できるだけリラックスできる時間を持って心身のリフレッシュを図りましょう。

例えば、休日などは旅行に出掛けたり、スポーツで汗を流したりすることをお勧めします。

運動時には、ウォーキング自体は、特殊な器具を揃える必要もありませんし、ジムに通う必要もなく、自然に行える全身運動として推奨されますので、1日30分程度、最低でも週3回程度から始めて、できるだけ継続できるように意識しましょう。

疲労が蓄積している場合には、おならが出やすくなって止まらないことがあるため、しっかりリラックスして夜はぐっすり眠るようにしましょう。

まとめ

これまで、おならが止まらない意外な理由、おならが止まらない際の対処策などを中心に解説してきました。

食事のときに一緒に飲み込んでいる空気は、げっぷとして口から出ない限りおならとして外に排出されます。

おならが出過ぎる主な原因は、便秘やストレス、運動不足などが考えられます。

普段からおならが出過ぎて、止まらない際には、日常的な生活習慣を見直して、少しでも改善できるように努めましょう。

万が一、症状が長引く、あるいは悪化する際には、消化器内科など専門医療機関を受診しましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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