都会に暮らす人は、食物繊維の消化能力が低下していることが判明!対処法は?【最新研究結果】

 都会に暮らす人は、食物繊維の消化能力が低下していることが判明!対処法は?【最新研究結果】
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山口華恵
山口華恵
2024-04-19

最新の研究で、都会に暮らす人々は、現代的な生活様式や食事の影響により、腸内で食物繊維を分解する能力が変化している可能性が示唆された。

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イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学(BGU)が行なった最新の研究によると、都会に暮らす人々の腸内において、食物繊維の一種であるセルロースを消化するために必要な細菌が減少していることが明らかになった。

ネゲヴ・ベン=グリオン大学で分子生物学と生化学を研究するサラ・モライス氏は、「人類の進化を通じて、食物繊維は常に人間の食事の主要な要素である。また、私たち霊長類の祖先の食事の主成分でもあり、腸内フローラを健康に保つ効果がある」と述べており、食物繊維は人類の食文化の歴史に欠かせない存在だ。

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現代人は食物繊維の摂取量が減少傾向

今回の研究で、セルロースを分解する細菌、ルミノコッカス属の数が減少していることが明らかになった。ルミノコッカス属は、古代の人間社会、狩猟採集社会、農村地域でよく見られていたが、現代の都市部に住む人々の腸内では減少している。この減少の原因は、食事の中に食物繊維が少なくなってきたことだと考えられている。野菜や全粒穀物などに豊富に含まれるセルロースの分解にはルミノコッカス属が持つ「セルロソーム」(セルロース分解酵素の複合体)が必要だ。しかし、都市の生活や食事の変化により、この細菌が減少し、食物繊維の消化がうまく行われなくなるかもしれない。

これにより、人々の健康にさまざまなリスクが生じる可能性が考えられる。食物繊維は腸内の健康を維持する上で重要な役割を果たしており、食物繊維が不足すると、消化器系のトラブルや代謝疾患などのリスクを高める。また、食物繊維不足は体重増加や免疫機能の低下など、さまざまな健康上の問題につながる可能性がある。

この状況に対処するためには、一人一人が食事の見直しや食物繊維を豊富に含む食品の摂取を促進する必要がある。白パンやパスタなどの精製された穀物ではなく、玄米、キヌア、オーツなどの全粒穀物や果物、野菜、レンズ豆やひよこ豆など豆類などをバランスよく摂取することが、健康な腸内環境を維持する上で重要だ。ナッツや種子も食事に手軽に食物繊維を取り入れることができる。英国の国民保健サービス(NHS)は、成人1日当たり30グラムの食物繊維を摂取することを推奨している。

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出典:

Scientists find people living in urban areas and cities are becoming less able to digest plants
Humans Living in Cities Are Slowly Losing Their Ability to Digest Plants

Cryptic diversity of cellulose-degrading gut bacteria in industrialized humans

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山口華恵

山口華恵

翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。



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