40代目前で10kg減量に成功した料理研究家・牛尾理恵に聞く「40代、体と心の基本トリセツ」

 40代目前で10kg減量に成功した料理研究家・牛尾理恵に聞く「40代、体と心の基本トリセツ」
写真: 牛尾 理恵

「いくつになっても健康的で元気でいたい…」そう思われる方は多いのではないでしょうか?一方で、アラフォーに入ってから、ライフスタイルを変えたわけでもないのに、「疲れやすい」「太ってしまった」「調子が悪い」と感じる方も少なくありません。今回は、40代目前に10キロのダイエットに成功し、現在も運動と食事管理で、健康的で美しい体と心をキープされている料理研究家の牛尾理恵さんに、40代の体作りのコツについて、実体験を交えてお話を伺いました。

広告

40代目前でマイナス10キロのダイエットに成功!その秘訣は..?

– 牛尾さんは、40歳に入る前に10キロ減のダイエットを経験されたんですよね。

牛尾さん: はい。短大を卒業してから、お料理に関わる仕事をずっとしてきました。食べるのが仕事なので、気がつけば学生の頃よりも10キロ増えていました。それまでは「食べることも仕事だから」と、諦めるわけじゃないけれど「仕方ないかな」くらいに思っていたんです。けど、2倍成人式というか、ちょうど切りの良い数字の年を迎えるにあたって、「このままこんな体で40歳は迎えたくない!」と思い、学生の頃の体重に戻そうと思ったのがきっかけです。

– 10キロを落とすのって、並大抵のことではないと思うんですが…どのような方法でダイエットをされたんですか?

牛尾さん: その当時、糖質オフが注目されていて、仕事でそういった知識もあったので、糖質オフをしながら、ランニングで体重を落とす方法を選びました。8ヶ月くらいでマイナス10キロを達成して、学生の頃と同じ体重に戻してから、無事に40歳を迎えることができました。

写真: 牛尾 理恵
写真: 牛尾 理恵

– すごい!目標を達成したわけですね。成功の秘訣はなんだったんでしょう?

牛尾さん: 無理をしなかったことですかね。ランニングは、まずは自分が気持ちよく走れる距離からはじめて、徐々に距離を伸ばしていきました。食事も仕事でどうしても食べないといけない時もありましたから、完全な糖質オフはしてなくて、できる時に糖質は控えるようにしようという意識をしました。

43歳からは筋トレをスタート!その驚くべき効果とは...?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by 牛尾理恵 (@rieushio)

 

– 「10キロ痩せよう」と思ってランニングをはじめる以前に運動はされていたんですか?

牛尾さん: ジムには通っていて、実はヨガのクラスも受けていたんです。ヨガも、それまで運動をされていない方が取り入れたら、代謝が上がってスッキリとしてくるということはあると思うんですけど、私はさすがに仕事で食べる量が多いのでヨガで体重を落とすということはできないなと感じて…だから、ランニングを取り入れました。けど、走った後には必ずヨガクラスで覚えたポーズでストレッチをしています。それから、ずっとランニングで体重維持はしていたんですが、それと並行して、筋トレも43歳の時にはじめました。

– 何かきっかけがあったんですか? 

牛尾さん: ジム友達から「あなたぐらいがちょうどいいわよね」って言われたのがきっかけです。もちろん褒め言葉として、そう言って頂いたと思うんですけど…私からしてみたら、その「今の私」になるまでにかなり頑張ったんですよね。だから、その言葉で片付けてほしくないって思っちゃったんです。今の私なら、もう少しできるはずだと。それで、体重は変えずに、筋肉をつけてバランスのとれた体作りをしようと決心しました。ランニングもそうなんですけど、筋トレっていうと、より一層食事管理をしないと女性は特に筋肉がつきづらいので、あわせて食事も気をつけるようになりました。 

–  筋トレをはじめてから、何か変化は感じましたか?例えば、疲れにくくなったとか。

牛尾さん: もちろん、疲れにくくなりました。それと、体つきが変わっていくのを、特に筋トレ1年目は感じました。ただ、何よりもメンタルが変わったなと思います。筋トレをすると、どうしようもないくらいポジティブホルモンみたいのが出てきちゃうんですよね(笑)なので、筋トレをはじめて前向きになりましたし、メンタルが強くなったような気がします。周りからは、「牛尾さんは昔はそんな人じゃなかった」って言われるくらい(笑)自己肯定感が高くなったんですかね。自分は自分でいいんだっていう気持ちが強くなりました。

写真: 牛尾 理恵
写真: 牛尾 理恵

– すごい!ちなみに、どんな年代でも健康的な体を作るには、運動と食生活は、とても重要な柱になると思うんですが、やはり習慣化するのが難しいと感じる方も多いのではないかと思うんです。何かコツのようなものはあると思いますか?

牛尾さん: 習慣化するコツは、無理な目標は掲げないことですね。また、あまり長期間にしないのもポイントです。長期間の目標設定にすると、ダラダラしてしまうこともあると思うんです。だから、例えばダイエットで減量を目標にしている方であれば、3ヶ月先を目安に何キロ痩せるとかを設定して、そのためには、食事制限はするけれど、1日りんごだけしか食べないみたいな無理なことはしないで、運動もきちんとしてバランスよく食べるようにするとか。

– 確かに、小さな目標であれば達成もしやすいですね。

牛尾さん: あとは、とりあえずその環境に身を置くというか…例えば、パーソナルトレーニングの予約を入れちゃえば行かなくちゃいけないですよね。他にもトレーニングウェアに着替えるっていうのもすごく簡単なことですが効き目があると思います。着替えたんだから、とりあえずジムに行ってストレッチだけでもしてみよう、そしたら、とりあえずダンベル1個だけでも持ってみようかなって気持ちになれたりすると思います。小さく派生をつけられるようなことを意識してみると、続けられるようになると思います。最初は、腰が重いかもしれませんが、週に3−4回続けていると、1ヶ月たつ頃には自然と習慣になると思います。

– できることを積み重ねていくことが大切というわけですね。

牛尾さん: あとは、やった後の効果というか、体や心がどう感じるかっていうのを味わうのも私は大切にしています。例えば、お掃除した後のお部屋ってピカピカして、気持ち良い空気が流れるような感じがするじゃないですか。それと同じように、運動した時も気持ちがスッキリしたりとかすると思うんですよね。そういった「やってよかった!」と思う気持ちを感じるのは大切ですね。正直、今でもジムに行くのが面倒だなと思うこともあります。で、結局ダラダラと過ごしてしまい後悔することはあるけど「あ〜ジムに行かなきゃよかった…」なんて後悔することは無いんです。スッキリするから。

40代に入ったら食生活は変えるべき…?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by 牛尾理恵 (@rieushio)

 

– 40代に入ると食生活を変えた方がいいのでしょうか?と言うのは、20代や30代の頃と食生活は何にも変わらないのに太ってしまうなんてことがよくあると思うんです。代謝が落ちてしまいますし、疲れやすかったりっていうのもありますよね。

牛尾さん: 変えた方が…いいですね。それは、代謝が落ちて太りやすくなる云々の前に、病気に対する予防にもなりますし。必要な栄養を補わないと、体はどんどん衰えてきますし…若い時は、体力で持ちこたえていたものが、そうはいかなくなるので。 

– 牛尾さんが、お食事で、今気をつけられていることはどんなことですか?

牛尾さん: 私の場合は、筋トレをしていて筋肉を増やしたいので、食事はタンパク質をきちんと摂るようにしています。あとは、年齢的にも鉄分とカルシウムはちょっとだけ意識的に摂るようにしています。これは、女性は特に50歳前後で閉経に入る方が平均的に多いので、女性ホルモンが減ってくる関係で、骨量も減ってきます。ただし、鉄分とカルシウムはわりとタンパク質が含まれている食材にも多いので、ほんの少しだけ気をつける程度ですね。

–ちなみに、サプリメントやプロテインパウダーみたいなものは飲まれていますか?

牛尾さん: ビタミン系とかのサプリメントはとってないです。プロテインパウダーは、例えば、タンパク質の摂取が足りないと感じる日には、摂るようにします。「トレーニングの後だから飲まなきゃ」とは思ってないですね。

– 1日にタンパク質が足りているか、足りてないかというのは、数字で見られているんですか?

牛尾さん: そうですね。はじめの慣れない頃は、アプリを使ってチェックをしながら見ていました。今は、もう長年こういう食生活をしているので、体感というか感覚で分かるようになっています。「今日は充分だな」とか「今日は少なめだな」とか。

– すごい。やっぱり習慣化するとそういう才能といいますか、第二の天性のようなものが備わってくるのですね。

牛尾さん: 筋トレをはじめてからは、特に食事管理には気を使うようになったんですが、やはり食べることに気をつけるようになると、体が求めているものが分かるようになってきた気がします。 

–「これを食べた方がいいのかな」みたいなことですか?

牛尾さん: そうですね。筋トレをしていると、やっぱりタンパク質って必要で、当初はタンパク質=お肉っていう感じで食べることが多かったんです。けど、ある時、お肉を食べることになんだか疲れている自分に気づいて…それでお肉をしばらく控えるようにしました。それから数カ月間お肉をやめる生活をしました。そうしたら、ものすごく花粉症の症状が楽になったんです。なんの関係があるかもわからないし、エビデンスもないとは思うんですけど、もしかしたら私はお肉のアレルギーとまではいかなくとも、お肉に対する耐性があまり強くなくて、だから胃腸が疲れてしまっていたのかなと。胃腸の疲れって免疫力にも関係あるとも言いますし。そういったことから、花粉症の症状が劇的に良くなったのかなっていう気がしています。それが今から4年前で、それからはお正月明けから、花粉が落ち着く時期までの数カ月間はお肉を控えるようにしています。あくまでも個人の体験ですが。

– すごいですね。では、過去4年間は花粉症の症状はほとんどないんですか?

牛尾さん: 朝起きた時に、「ちょっと鼻がムズムズするな」と感じることはありますが、以前のように、目玉を取り出して洗いたいぐらい目が痒いとか、脳みそのシワ1本1本洗いたいって思うまでの不快感はないです。

– 40代以上の方が、お食事に関して制限した方がいいことってありますか?例えば、カロリーだったり…

牛尾さん: 食事の制限は厳しくしなくていいと思いますが、食事管理はしたほうがいいですね。私は料理の仕事をしているので、美味しいものを食べる機会も多いですし、欲もあるので食べたいです。なので、無理な制限をせずに、多く食べたらその分運動や日常生活で意識的に動いて消費します。逆を言うと、たくさん動いた日は食べたいものを食べます。日本人はカロリーを減らそうとしたり、食べないこと、制限することを意識しすぎだと思います。何を食べないかよりも、何を食べた方が自分の身体にとっていいかっていうことを考えるべきかなと私は思います。自分の体質に合わせて、タンパク質を摂るべきならどんな食材がいいのか、ビタミン系が必要なら何を食べるべきか、お肌の調子が悪いなら何を食べるべきか、体調が悪いなら何を食べるべきか、っていうのをちゃんと勉強して食べた方がいいんじゃないかなと。健康でい続けることが大切だと思うし、今食べたものが10年後、20年後の自分を作ると思って、私はいつも食事をするようにしているんです。強いて制限しているというものを挙げるなら、脂質や添加物をあまり摂りすぎないようにしています。

–  そうですね。人生100年時代と言われていますもんね。

牛尾: 今楽しければいいとか、今調子が良ければいいじゃなくて、健康的にバランスよく摂るっていうことは大切にしてもらいたいです。

10年後、20年後の自分のために... 

– 最初にダイエットをしようと思って、運動をはじめてから10年以上が経過していますが、その頃の自分がこんなふうになっているというのは想像していましたか?

牛尾さん: 全く思っていませんでしたね。そもそも子供の頃の運動神経が良いという基準って、例えば速く走れるとか、ドッチボールが上手いとか、そういうことじゃないですか。私は、体の柔軟性がある方だったのでマット運動は得意だったんですが、それ以外はそんなに得意ではなくて。運動神経が良いタイプではなかったですし、自分がこんなに運動を続けられるとは思っていませんでした。何よりも、運動を楽しんでできるようになるなんて思ってもみませんでしたね。楽しんでやっているうちに、それがちょっとずつ仕事にもつながったり、活かせるようになったのは、結構驚きです。

– これからの目標はありますか?

牛尾さん: 80歳になっても変わらずに開脚ができるおばあちゃんでいたいというのはありますが…けど、正直な話、私は大したことは続けてきていないんですよ。たいそうなことに聞こえるかもしれないんですが、私としては自分ができることを日々コツコツとやっているだけ。それを10年後、20年後の自分のためにできることを続けているだけで、こうなりたいっていうのはないんですよね。強いて言えば、長く健やかに年を重ねていければいいなって思っています。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by 牛尾理恵 (@rieushio)

– やっぱり元気でいること、健康でいることで、周りにも優しくできたり、助けることができますしね。

牛尾さん: そうですね。でもね、時々すごい方に会うんですよ。この間も、トレイルランに出場したんですが、その時に、86歳の日本で最高齢のランナーさんにお会いして…そういう人にお会いすると、こういうふうに元気に歳を重ねられたらいいなって思いますね。だから、そういう人をよく見るようにしています。

– 確かに、そういった憧れの方を見ると、モチベーションにもなりますしね。

牛尾さん:それには、やっぱり第一に姿勢ですね。姿勢を良くして、いつも笑顔でいること。よく夫にその日の月の話をするんですけど、そうしたら「いつも上を向いて歩いているのはすごいね」って褒められたんですね。確かに姿勢は意識していないと悪くなってしまいがちで、つい下を向いて歩いてしまいます。これからもずっと上をむいて歩いていけるように、姿勢を支えるための筋トレ、前向きな人生のための運動や食事管理を続けていきたいと思っています。

【プロフィール】牛尾 理恵

写真: 牛尾 理恵
写真: 牛尾理恵

料理研究家、栄養士。手間は最小限でおいしく、忙しい人でも無理なく作れる、健康でバランスのよい料理に定評がある。一方、自身の健康的なボディメイクや食事のメソッドにも注目が集まる。著書に『サプリみたいに栄養がとれる副菜101』(主婦と生活社)など。

Instagram:@rieushio

広告

AUTHOR

桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

写真: 牛尾 理恵
写真: 牛尾 理恵
写真: 牛尾 理恵
40代目前で10kg減量に成功した料理研究家・牛尾理恵に聞く「40代、体と心の基本トリセツ」
40代目前で10kg減量に成功した料理研究家・牛尾理恵に聞く「40代、体と心の基本トリセツ」
40代目前で10kg減量に成功した料理研究家・牛尾理恵に聞く「40代、体と心の基本トリセツ」