楽しみにしていたはずなのに…同棲直前に嫌になる・不安になる「同棲ブルー」なぜ?臨床心理士が解説
パートナーと同棲…楽しみにしていたはずなのに、直前にして嫌な気持ちになったり、不安を感じたり、急に泣きたくなったりメンタルが不安定になっていませんか?今回は同棲直前に感じる「同棲ブルー」についてご紹介します。
同棲ブルーとは?
マリッジブルーという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。マリッジブルーとは、結婚前後に不安や嫌悪感を抱いたり、気持ちが沈んだりすること。今回ご紹介するのは、結婚前ではなく同棲前に「ブルー」な気持ちになる「同棲ブルー」です。もちろん医学的な用語ではありませんが、経験したことがある人、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。同棲は二人の人生において重大なステップなことが多いです。そのため強い責任を感じたり、自分の決断に迷いが生じたりしやすくなります。同棲前は不安になっても当然なことに気づかないと、「不安だから同棲解消しようかな」「もっと他にいい人がいるのかも」等と迷いが生じてしまい、ぐるぐると考えることで不安な気持ちは強くなり、最悪別れを選んでしまうケースもあるかもしれません。特に責任感が強い人、真面目な人、考え込みやすい人ほど要注意です。
同棲ブルーになる理由は?
同棲ブルーになるには様々な理由があります。いくつかの例を紹介します。
ライフスタイルの変化に対する不安
同棲によってライフスタイルが大きく変わる可能性があります。生活リズムや趣味の時間、対人関係、様々な部分に変化が生じる可能性があります。特に元々一人の時間が大切であったり、自分の生活パターンやルーティンがしっかり決まっている人ほど、ライフスタイルの変化に対する不安が強くなります。
忙しさによるストレス
同棲には様々な準備が必要です。住居や家具を探すだけではなく、関連した手続き、金銭面、家事などの負担割合など、決めることも多いでしょう。引越しの準備や片付けも負担がかかります。これらを仕事等と両立しながら進める必要があるため、忙しさによるストレスは強くなります。
パートナーへの不満
同棲準備の中で、パートナーと意見が食い違った場合など、相手への不満を抱くこともあるでしょう。思い描いていたものとズレが大きいほど、ストレスや不満につながります。そして、様々なことを取り決める中で相手の姿に失望することもあるでしょう。そうすると、「この人と前に進んで良いのだろうか」と悩んでしまうケースも少なくありません。
同棲ブルーに対する対策
それでは、同棲ブルーを解消するためにどのような対策を取れば良いのでしょうか?いくつか紹介しますので参考にしてください。
何が原因か突き止める
まずは、何が不安なのか、何が心に引っ掛かっているのか書き出してみます。例えば、思い浮かんだことを一通り紙に書いてみる方法がおすすめです。紙に書くことで可視化され頭の整理にもなりますし、明確化することで解決の糸口を見つけることができます。特に何に不安を感じているのか漠然としている時ほど、問題を具体化して原因の特定から始めましょう。
パートナーに相談してみる
自分が不安に感じていることを相談しましょう。不安は一人で抱え込まず、吐き出すことで小さくなります。可能な範囲でどのようなことを感じているのかを伝え、解消できそうなものは解決策を一緒に考えましょう。もちろん不安の中にはすぐに解消できないこともあります。しかし、パートナーがきちんと耳を傾けてくれるだけで安心する場合もあります。特に一人で抱え込みやすい人ほど、何かあった時に共有し、一緒に解決していく関係性を育てていきましょう。時には「もっと準備を手伝って欲しい」など、相手に不満や要望を伝えることも必要です。ふたりでしっかり話し合うことで解決策が見出せますし、不安も解消されて絆がより深まることでしょう。どうしてもパートナーには相談できない場合は、信頼できる友人などに吐き出してみましょう。
共通の目標を立てる
共通の目標を立てることで、二人の目線が目標に向き、協力する関係性を築きやすくなります。共通目標はどのようなものでもいいです。二人が興味があり、共に目指しているもの、感じているものを中心に具体的な目標を立ててみましょう。
気分転換をする
気分が沈んでいる時や不安が強い時は無理はせず、気分転換することもおすすめです。パートナーと思い出の場所に出かけて新鮮な気持ちを取り戻したり、旅行に出かけてみたり、旧友と飲みに行ったり、思いっきり趣味をしたり、一人でのんびりする時間をとりましょう。気分転換するだけで、気持ちが切り替わるかもしれません。
楽しい同棲生活をイメージする
ネガティブな方にばかり意識がいってしまう時は、あえてこれから始まる新生活の明るい未来をイメージしてみるのも効果的です。例えば、一緒に料理をしようとか、一緒に映画を見ようなど、パートナーと一緒にやってみたいことや行ってみたい場所を考えて、ありありと想像してみることもおすすめです。
とにかく行動して前に進める
不安が強い時、人は「回避」する行動をとりやすくなります。一時的な同棲ブルーなら、同棲を解消したり、先延ばししたりせず、淡々と準備を進めることで不安が解消される可能性があります。もちろん不安を書き出した時に検討した方がいい課題が見つかった場合は、しっかりと検討し直しましょう。しかし、そうではない場合は、前向きな行動によって不安は解消されていきます。
自分の居場所を作る
一人暮らしをしていて自宅が「自分だけの居場所」として存在価値が大きかった人は、そのような場所がなくなることを不安に感じるでしょう。その場合は、新居の中でも「自分の居場所」をしっかりと作っていきましょう。自分の部屋があれば良いですが、ない場合でも、自分のお気に入りのものを集めた空間を作り、安心できる場所を確保しましょう。
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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