カラー診断やスタイリング指南を受けても自信がつかない本当の理由|人気パーソナルスタイリストが語る

 カラー診断やスタイリング指南を受けても自信がつかない本当の理由|人気パーソナルスタイリストが語る
写真提供: 株式会社フォースタイル

「今よりももっと素敵な自分になりたい」「似合う服を知って自分を変えたい」そんな方に「似合う洋服を教えてくれる」というパーソナルスタイリングは人気のサービスですが、中には「色々受けてみたけど自信にはつながらない」という声もチラホラ聞かれます。『「診断を受けさえすれば、幸せになれる」「おしゃれの悩みが全て消える」と思っている方も多いんですけど、それは自分で掴み取らないといけない幸せの基準を他者に依存しているということなんです』と話すのは、人気パーソナルスタイリストで公認心理師の久野梨沙さん。洋服を提案する彼女は、なぜそう語るのでしょうか?

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ファッションは内面を映し出す鏡

– ここ最近、パーソナルスタイリングをはじめとしたファッションに関する診断がたくさんありますが、久野さんは公認心理師で「服装心理学」を専門としているパーソナルスタイリストだと拝見しました。おしゃれは気持ちを上げてくれるものですし、自己肯定感にもつながることだと思います。今日はファッションと心の関係性についてもお話をお伺いしたいと思っています。まず、最初に久野さんの専門とされている服装心理学について教えて下さい。

久野さん: 「服装心理学」は、服装が見る人の印象に与える影響や、着る本人の心理に与える影響の研究を集めたものになります。被服心理学というものと混同されることも多いんですが、それはユニバーサルウェアのような心身に障害がある方の服を考えるとか、服の着やすさという機能面を考えるというものが多いんです。服装心理学は、機能面というよりかは、服が見る人の心に直接どのように働きかけるかというのを研究する側面が強い分野だと考えています。

– 服がどのように人の心に働きかけるかについての具体例はありますか?

久野さん: 例えば、うつ病の方には色々な初期症状の出方があるんですけれども、一番分かりやすいと言われているのが、自分の身だしなみに構わなくなるということです。身だしなみがすごく崩れているとか、髪の毛がボサボサになっているとか。

– 確かに、私もちょっとやる気が出ない時とか、精神的に元気がない時って、身だしなみに気をつかわない…というか、気をつかえない時はあります。ファッションは内面を映し出す鏡という側面もあるという感じでしょうか。

久野さん: 服装心理学はイメージコントロールのように着る服が相手に与える印象の方がメインだと思われやすいんですが、着る人の心理状況を服装が表しているという側面もすごく大きいです。やはり自分の身だしなみや服装って、自分が自分のことをどう思っているのかが如実に現れますから。自分に対してかけるエネルギーがなかったり、自分のことをないがしろにしていると、それが自分の身だしなみにどうしても現れてくるので、そこを周りの人も本人も気持ちのシグナルとして見るというのはすごく有益なことだと思います。

おしゃれを楽しみ自信を持つためには自分と向き合う時間を持つことが大切

– 服装は自分のことをどう思っているか現れる一方で、日本では教育や文化背景的に、自分らしさや個性よりも、他人と同じであることに重きをおいていることがあると思うんです。ファッションにおいてもそれは例外ではなく、トレンドを追ったり、ファッションアイコンを真似するという方は多いのかと思うのですがいかがでしょうか?

久野さん: 日本が他人と同じことに重きを置くという背景には、日本が和を大切にする国だという要因があると考えています。「他人に迷惑をかけるから」とはよく耳にする言葉ですが、これっておそらく英語や他の言語では正確に表現できない感覚だと思うんです。日本人の持っている「迷惑をかける」っていう言葉には「和を乱す」ということが含まれていることが多いのではないでしょうか。それで、ファッションにおいても自分を抑え込んでしまうところがあるのかな。その考えを大事にするには、身近な人と同じ服装をするのが正解だろうという思考になりやすいのではと思います。もちろん、和は大事だし、それを大切にする気持ちもすごく大事で、みんなと同じ格好をすることでしか得られない喜びもあると思いますが……。

–  一方で、トレンドを追っても、ファッションアイコンを真似しても、おしゃれに自信が持てない、満足できない方も多いような気がします。そういった方々が、ファッションを楽しみ、自信を持つためにできることはありますか?

久野さん: 人間には一人ひとり「我」があって、個性があります。周りと同じではなく、たった一人の自分として表現する喜びや、自分にしかない価値観もあるはず。けれど、自分が今どう思っているかとか、感じているかとか、また自分が何を好きなのかがよくわからない人も多いんです。それは、自分の願望や気持ちに気づく訓練や練習をしてこなかったから。それを経験しないと、楽しむことも自信を持つこともできないと思います。

– 「おしゃれをしている自分」と向き合う時間を持つということですね。具体的に、おすすめの手法はありますか?

久野さん: フォーカシングという心理療法の技法があり、これはおすすめです。もしかしたら読者の方はヨガをしている方が多いと思うので、得意な方も多いかもしれません。

– どんな技法ですか?

久野さん: マインドフルネスと近いかもしれないのですが、自分の心の動き方や感じ方にフォーカスして、自分と向き合うというものです。人の気持ちには言語化できないこともたくさんありますが、その時点で「気づいて」「注目」してあげる。その上で、言語化することで初めて認識できるようになるんです。よく言われる、「モヤモヤする」「なんか違う気がする」とかですね。けど、その初期段階での気持ちを無視しちゃう人が多いんです。例えばパーソナルスタイリングで、「あなたにはこんな服が似合いますよ」と提案された時に「プロの人がそう言っているんだから。私のこのモヤッとした気持ちが間違いなんだと」となる人がすごく多いです。けど、その気持ちってすごく大事なんです。

– 言葉にならない段階での気持ちを見逃さない、無視しないためにはどうすればいいでしょうか?

久野さん: 自分に向き合うっていう感覚よりも、自分の体の感覚に向き合うという方が、しっくりくるかもしれません。例えば、モヤっとするというのは、胸や喉のつかえとして捉えた方が、分かりやすいと思います。その他にも、背中がヒヤッとする感覚があるという方もいますね。ヨガをしている方は、定期的に自分の体と向き合う時間をとる方も多いと思いますし感覚的につかみやすいんじゃないでしょうか。

– 確かに、緊張している時って、お腹が痛くなったりしますしね。心と体は繋がっているということでしょうか。

久野さん: 「胸がザワザワしているな」「動悸がする」「お腹の中に重いものがあるな」など、体の感覚って言葉にならない気持ちが出てきたものであるケースもとても多いんですよ。この感覚は体調のせいではないな、じゃあこれは気持ちが表れてきているのかなって判断して、それを取り出して、向き合ってみるという時間を毎日少しずつでもとってもらえると、体や気持ちの反応が出てくるスピードが早くなってきます。すると、「私、この服嫌いなんだわ」「この服に抵抗があるんだわ」といったような、言語化までのスピードも早くなっていくと思うので、まずは言葉になる前に現れる体の感覚に目を向けるということが大事ですね。

診断さえ受ければ、プロにスタイリングしてもらえれば「悩みが全部消える」?

– 満足する提案をしてもらうために、パーソナルスタイリングや似合う服の診断を受ける前の心得などはありますか?

久野さん: 「診断を受けさえすれば、幸せになれる」「スタイリングさえ受ければおしゃれの悩みが全て消える」と思っている方も多いんですけど、それはある種、自分で掴み取らないといけない幸せの基準を他者に依存しているということでもあります。だから、受けた直後は一瞬幸せになれた気はしても、しばらく経つと心に穴があいたように感じてしまうこともあります。あくまでも、診断はゴールではないはずなんです。なので、まずは診断を受ける前に「なぜ診断を受けるのか」「自分がどんな服が好きなのか」さらにいえば「自分がどうなりたいのか」「理想の姿」などを明確にしておくことはすごく大切だと思いますし、それを診断をしてもらう人に事前に伝えることも忘れないでほしいです。もし、それに対して一緒に向き合ってくれるような回答が得られないようであれば、別のところを探す方がいいのではないでしょうか。

– パーソナルスタリングって、自分がどうなりたいかというよりも、似合う服を提案してもらうものというイメージが強かったので意外です。

久野さん: パーソナルスタイリングで行う診断というのは、似合う服を知るためのものだけではなくて、着たい服を似合わせる技術でもあるはずなんです。その腕がある人であれば、あなたに似合うものと着たいものの合致点はここだから、このように着れば、あなたが着たい洋服を似合わせられますよって教えてくれるはずです。ただし、診断をする人もそれぞれの価値観を持って、その理念に従って診断をしています。「人間は似合うものを着ていることがベストだ」って思って診断をしている方もいますから、その辺りの価値観は申し込む前に確認しておくと良いと思います。

– スタイリングに限らず、どのジャンルでもそうですよね。例えば美容の世界では、「アンチエイジング」って言う人もいるし、「自然に年を重ねる」という人もいますしね。

久野さん: 私もスクールをやっていて診断やスタイリングをする人たちを育てているんですが、心理学についての有資格者がちゃんと教えているのは私のスクールだけなんですよね。だから、残念ながら、スタイリストの中にはお客さまのニーズを読む技術がない人もすごく多いと感じています。そして心理カウンセリングの勉強をしたことがない人は、「相手も自分と同じ考えを持っている」と無意識に考えてしまいます。その結果、自分が良いと思う方法の診断やスタイリングを提供してしまう。それがお客様とのすれ違いになってしまうことが多いですね。

– 分かるような気がします。

久野さん: 「よかれと思って」っていう言葉がありますけど、「自分がされて嬉しいことは相手も嬉しいはず」って根深い思い込みがありますよね。心理学を専門に学んでいると、それは本当に怖い思い込みだってわかるようになるんですが。パーソナルスタイリングでもそこが致命的にずれてしまうことって結構あって…例えば、お客様が「ショップにたくさん色があって迷うので、自分に似合う色を数色に絞ってほしい」と思っていたとします。だけど、診断する側は「できる限り選択肢は多い方が良いに決まっている」と思っている場合もあるんです(笑)。真逆な方向性を目指しているからどんどんすれ違っていって、お互いに「なんで?」って思いながら終わっていく、そんなケースは本当に多くて…すごく残念なことだと思います。それを極力避けるためにも、事前にきちんと目的やゴールを明確にして伝えておくのがいいと思いますね。

– 事前のやりとりで、相性が合うか合わないかというのは簡単に分かるものなんでしょうか。

久野さん: 最近はSNSとかブログなんかで発信されている方がほとんどなので、その発信内容を見ても、どういう考えの人なのか推測することはできると思います。あとは、「こうなりたい」という希望に対して、どれくらいの熱量で返してくれるのかでもおおよそは分かると思いますね。またカウンセリング時間がどれくらいとられているかもチェックポイントです。お客様の要望を知るためには、診断やスタイリングの前にカウンセリングの時間が絶対に長く必要なはずです。最近では、診断して30分で結果が分かりますっていう、短時間・お手頃価格で気軽に受けられるものもあるんですが、それはカウンセリングの時間をとっていない場合がほとんどですし、そもそも似合うものを教えるだけで個別のニーズには対応できないっていうスタンスでやっている場合が多いですね。

人から与えられたものでは自信はつかない

– 中には、手当たり次第、パーソナルスタイリングや、カラー診断、骨格診断など、色々受けてみたけれど、なかなかおしゃれに自信が持てない、所謂自己肯定感が低いという方もすごく多いように見受けられます。

久野さん: 先程のファッションに自信を持つことや楽しむことにつながるのですが、人の声よりも自分の声を聴くことだと思います。だけど、今の時代、無意識でいると人の声の方が入ってきやすいんですよね。X(旧・Twitter)にはみんなのつぶやきが並んでいるし、インスタも色々な人の発信で溢れているじゃないですか。人間って、自分のことを誰かに聴いてほしいっていう本能がすごく強いので、ぼーっとしているとそれを受け取るばかりになってしまうんです。だから、ある程度、人の声はブロックしないといけない。SNSからある程度離れる時間をとって、その時間をできれば自分の心の声に耳を傾ける時間にするといいと思います。また、些細なことでもいいので、1つ1つの行動の前後に、自分の心の声を聴くようにすると、それが習慣になるのでおすすめです。

– 久野さんが普段実践されていることはありますか?

久野さん: 例えば、昼休みにどこかにランチを食べに行くとするじゃないですか。ランチメニューに4種類あったとしたら、1つ1つ食べた時の感覚を想像してみる、なんてことを私はやっています。それを食べた時、どんな気持ちになるかなっていうのを想像するんです。お昼休みって忙しいからぱぱって決めがちだし、周りがそれを頼んでいるからといった理由で選んでしまうことも多いですよね。でもそこを流さないでしっかり自分の声を聴く。小さいことなので、わりと気負わずにできると思います。自分が自分の心の声を聴いて大切にしていると、自信も出てきます。聴いてもらえるって分かれば、繊細な感情も安心して現れるようになるんです。だから、やればやるほど、自分の心の声はどんどん聴きやすくなると思いますよ。

– ちょっとしたことの積み重ねが自尊感情につながるんですね。

久野さん:最近はエビデンスという言葉が日常的にも使われるようになったりと、何かを決めたり発言したりするのに裏付けを求められる風潮も強いですが、自分が自分のことを決めるのに必ずしも根拠はいらないんですよ。「自分がこう感じたから」っていう感覚だけでもいい。それに自信を持って、選んでいくっていうことを続けていくと、自分ってこうなりたいんだっていうのがどんどん出てくるようになります。

– 確かに情報のオーバーロードで、気づいたら流されていることってよくあると思います。 

久野さん: 自分の声って聴いていないと出てこなくなってしまうので、私たちのところに相談にいらっしゃる方の中にも「自分が何が好きなのか分からない」「自分がどうなりたいのか分からない」という方がすごく多いです。だから、今お話ししたようなトレーニングをやってみてとアドバイスしてみると、だんだん「自分が何が好きなのか」が分かってきて、最終的に「こういうのが着てみたい」「こうなりたい」というように、おしゃれに主体性が出てくるようになります。自分がこうなりたいというのは最終段階なんです。それ以前の小さな声を聴いていかないと、その先の質問って自分にできないのです。主体性が生まれてくると「これが似合う」って言われても「これは私じゃないから着ない」と言えたりとか「これは私も好きだから着る」というように「自分で選んだ」という感覚が生まれてきます。そうすると自信が持てるようになってきます。結局、人から与えられたものでは、人は自信が持てないんですよ。診断の結果って、どこまで行っても、人から与えられたものでしかないので、そこに自分の判断を加えて選ぶことで、自信が持てるようになるんじゃないかと思います。

– 久野さんのところにご相談にこられる方は、リピーターの方が多いんですか?

久野さん: はい。リピーターの方がすごく多いです。

– 何度か通われて、最終的になりたい自分を見つけて、どうすればそうなるのかっていうのが分かって、卒業されるという感じでしょうか?

久野さん: どちらかといえば時間をかける方が多いです。長い方ですと、数年かける方もいらっしゃって。おもしろいことに、「なりたい自分」が分かっていく過程で、人生も変わっていくんです。それこそ、結婚されていなかった女性が、周りが結婚したほうがいいというから結婚したほうがいいと思っていたけれども、途中で「違うと思う」と言って婚活をやめたりとか、海外に引っ越す方も現れたりとか。自分の気持ちがはっきりと見えてくるので、それがファッション以外の行動でも現れるようになって人生が変わっていくっていう人が多いですね。

– 面白い!ファッションが人生全体を好転させていくんですね。

久野さん: みんながみんなはじめから自分の本当の気持ちが見えてるわけではないですし、こう思ってみたけれどもやってみたら絶対に違ったっていうこともあります。お客様で、きれいめな洋服を着たいと思っていた方で、着てみて満足したんだけど、最終的に超カジュアルが好きってわかったという人もいます。例えば髪の毛は切ってしまったら元に戻すことは出来ないですが、その点、服は試しに着てみることができるのがすごく便利なんですよね。頭ではこれがいいと思っていたけれども、着て行動してみると、「これは本当の私じゃないかも」と確認しやすい。だからそういうとき、「この服買って損した」と思うんじゃなくて、「確認できてよかった」と思ってほしいです。着たことで分かったし、ある種の自分が体験できたら満足できてそのフェーズが終わったとも考えられるじゃないですか。今、16年間この仕事をしているので、色々な方を見てきましたが、気持ちって変わるものでもあるので、人生の段階によっても、なりたい自分が変わって、またサービスを利用される方もいらっしゃいますね。

新しいおしゃれにチャレンジできない理由とは

–  パーソナルスタイリングで得た知識を実践にうつすことがなかなかできない方もいると思います。例えば、「いつもよりも派手なデザインのものの方が若く見える」とか。チャレンジしたいけれど、勇気がないというような方が、行動にうつすヒントがあれば教えて下さい。

久野さん: ファッションに限らず、行動にうつせない方は結構いると思います。そういう時、行動できていない自分ばかりを見て責めてしまう人が多い。でも人間って賢くて、行動するのにメリットしかなかったら行動しているはずなんですよね。つまり、行動できない時って、行動しないメリットが実はあるんですよ。そのメリットを捨てるのが怖くてやっていないことが多いんですね。

– なるほど!言われてみればそうですが、全然気づきませんでした。

久野さん: 一度行動しないことで得ているメリットを認識して、これを本当に捨ててもいいのかなって考えて納得してからじゃないと動けないものです。例えば、もう少し今よりも派手なものが似合うと言われた時に、それに変えた時のデメリットも、変えないままでいる時のメリットも絶対にあるはずなんです。それを、行動したときのメリットとちゃんと比較をしないといけないですね。比較しないでズルズルしていると、「私は行動力がない」というようにまた自己肯定感が下がってしまうじゃないですか。だけど、やるメリットとやらないメリットを比較して、「やらない」っていうことを選んだら、それは「できなかった」じゃなくて、「しなかった」ってことなんです。そこまですれば、自己肯定感は下がらないです。行動に何が何でもうつすじゃなくて、ちゃんと選ぶという姿勢が大切ですね。

– 自分で選択していくということですね。最後に、久野さんがパーソナルスタイリングで伝えたいことやビジョンを教えて下さい。 

久野さん: パーソナルスタイリングでも、パーソナルカラーでも、イメージコンサルティングでも、「おしゃれの正解を教えてもらうサービス」というイメージだと思うんですけど、ファッション業界では昔から「おしゃれに正解はない」っていう言葉もあって、お客さん側からしたら、「どっち?」って思う方も多いと思うんです(笑)。それを、正確に表現すると「おしゃれの正解は一人ひとり違う」ということ。正解が全くないわけでもなくて、誰にでも決まりきった一つの正解ということでもなく、いろんな正解がある、ということです。だから、似合う服を着ることが正解の人もいれば、好きな服を好きなように着るのが正解だっていう人もいます。それは当然性格によっても違うことですから、人と同じじゃなくても悩む必要はないです。服は毎日着るものだし、毎朝決めないといけないので、正解が見つかっていないストレスが結構大きいもの。それを自分ひとりで見つけるのって、実は大変だと思うんですよね。やっぱり自分のことは自分じゃなかなか分からない。いい意味で他の人と比較したり、交流したりするといいと思います。そのことで、「あの人はこういういいところがあるけど、私はこういうところがいい」といったような、自分の輪郭みたいなものがわかると思います。そういう活動を通じて「人とは違う自分」を大事にする人が増えると、結果的にファッション業界も色々な服が増えるようになって、みんなが欲しい服が見つかるという良い循環になると思います。今の時代は、みんなが言う正解じゃないと駄目なのかもと悩んで洋服を買わなくなってしまって、メーカーは失敗を恐れる人にも買ってもらいやすいような無難な服を作るようになって、その結果服のバリエーションが減って、ますます選択肢が少なくなるっていう悪循環に入ってしまっている気がしています。それを断ち切るためにも、一人ひとりが自分の正解の服を探すという観点で服選びをすればいいんだよということを、これからも伝えていきたいなと思っています。

【プロフィール】久野 梨沙(ひさの りさ) 

写真提供: 株式会社フォースタイル
写真提供: 株式会社フォースタイル

パーソナルスタイリスト・公認心理師。服装心理学®に基づくパーソナルスタイリングの第一人者。大学で心理学を研究した後、大手アパレルメーカーの企画職を経てスタイリストに。社団法人日本服装心理学協会の代表として、装いが人の心に与える影響を研究する「服装心理学®」の啓蒙活動にも尽力。自己肯定感を高めるファッションカウンセリングや、服装を用いた印象コントロールに定評がある。著書に「最高にしっくり似合う服選び」(学研プラス)など。

パーソナルスタイリングfor*style 

Podcast: 「おしゃれの呪いを解くラジオ

X(旧Twitter): @RisaHisano

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AUTHOR

桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



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