ダイエット依存に陥る人は自己肯定感が低い?カウンセラーが語る「自己肯定感を高めるより大事なこと」

 ダイエット依存に陥る人は自己肯定感が低い?カウンセラーが語る「自己肯定感を高めるより大事なこと」
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「摂食障害」という言葉は聞いたことがある人もいるでしょう。けれど、自分とは全く関係がないことだと思っていませんか?例えば、何かを食べるたびに「今、何キロカロリー摂取したんだろう」「こんなの食べたら太るに決まってる…」そんな考えに支配され、摂食障害に至るケースもあります。摂食障害は誰にとっても身近にあるものです。摂食障害相談室を運営するカウンセラーのあかねさんによる連載コラムでは、決して縁遠いものではない「摂食障害」についてお伝えします。

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「自分はかわいくないから、せめて痩せないと」
「人間関係がうまくいかないのは、太っているからだ」

このように、ダイエットにのめり込む人は、自分に否定的な評価をし、「痩せれば自信が持てる」と思い込む傾向があります。

しかし、自己否定することによって落ち込み、何をしてもダメな結果になり、さらに同じ思考へ陥る。このような負のスパイラルに陥ると、現実社会でうまくいかない不満を、ダイエットにのめり込むことで心を保とうとする人たちがでてきます。これが、摂食障害にもつながります。

自己肯定感を高めるより、自己否定を緩和する

私は摂食障害専門のカウンセラーとして、過食や拒食、嘔吐に悩む方と日々お話ししています。彼女たちの特徴を一言で言うと、「自己肯定感が低い」ことがあげられます。自己肯定感とは、「ありのままの自分を“無条件で”受け入れ、愛している」と感じる心の感覚です。もっと簡単にいうと、現状の自分自身に「OK」と言えることです。

よく、世の中で一番自己肯定感が高いのは「赤ちゃん」と言われています。しかし、成長する過程で「褒められる機会が少ない/周りと比較されてダメ出しされる/虐待」などがあると、自己否定的な考えが強くなり、自己肯定感は下がっていきます。

しかし、生まれたときに自己肯定感の総量が決まっているとするならば、無理に自己肯定感を高める意識より、総量を減らさない意識が大切だと感じます。つまり、自己否定的な考え方を適切なラインに整えることが、痩せたい気持ちを緩和することにつながります。

現に、自己肯定感が低いままでも、摂食障害は治ります。つまり、自己肯定感が低いままでも、痩せたい気持ちを手放すことはできます。要は、自分の体型を「イヤだ」と思うことに対して、「そんな自分はダメだ」と人格まで否定する心の癖が摂食障害を悪化させるのです。

したがって、摂食障害克服のためには、自己否定する心の癖を緩和することを目指しましょう。

自己否定は、高すぎる理想から生まれる

「上司に評価される仕事をしなければ」
「標準体重より軽くなければ」

「誰にでも好かれるいい人でいなければ」

このように、自分の理想を高く掲げていませんか?

自己否定的な考えを緩和するためには、現在かかげている理想を見直すことが大切です。理想はあなたを幸せに導くための目標であり、あなたを不幸にするものであっては本末転倒です。理想と現実の自分を、その都度チューニングしながらバランスをとっていきましょう。

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AUTHOR

あかね

あかね@摂食障害相談室

「壁を扉に」を合言葉に、元摂食障害の心理士として「摂食障害オンライン相談室」を運営。1990年生まれ。高校生の頃に27kgになり10年に渡る摂食障害に悩んだのち完治。その間、入退院、高校中退、引きこもり、高卒認定試験合格の後に進学。大学では心理学を専攻し、卒業後は広告会社でコピーライター、デザイナーとして従事。30カ国60都市を訪問の末、宮崎に移住。カウンセラーの傍ら、農家でありクリエイターでもある。3児の母。



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