【認知症を予防する食べ方】認知症予防に鶏むね肉が有効?医師がその理由を解説
超高齢化社会を迎え、年々増えていると言われる認知症。根本的な治療法がないと言われているなか、その予防法に注目が集まっています。最近は、鶏むね肉に認知症の予防に期待される成分があるという報告もあるそう。今回は食べものからの認知症予防について、稲毛病院の健康支援科部長・佐藤務先生にお話をお聞きしました。
認知症予防に期待できる食材や成分がある!?
――健康支援外来で栄養療法指導などを行っている佐藤先生。食べものから認知症に備えることは可能なのでしょうか。予防に効果が期待される食材や成分があるのであれば、教えてください。
佐藤先生:まずは、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病、動脈硬化の予防が認知症予防にもつながるとされているので、塩分やカロリーの制限、糖質・脂質・タンパク質、ビタミンミネラルの適性摂取といったことを心がけるといいでしょう。筋肉に抵抗をかけるレジスタンス運動や有酸素運動、朝陽+朝食習慣、睡眠といった健康的な生活を送ることが大切です。
食材や成分でいうと、魚のEPA ・DHAや高ホモシスティン血症の予防にもつながるビタミンB 群の葉酸・B6・B12。大豆のレシチン、イチョウ葉のギンコライド、山伏茸(ヤマブシダケ)のヘリセノン、ウコンのクルクミン、緑茶のテアニン、鶏肉(むね肉)のイミダゾールペプチドといったものが認知症予防に期待できると言われています。
特に、山伏茸に含まれる成分のヘリセノンは、認知症の特効薬として近年注目されています。アルツハイマー型認知症は、主に脳にある神経細胞(ニューロン)の消失によって引き起こされるといわれていますが、それを防ぐのがNGF(神経細胞成長因子)です。ヘリセノンはNGFに栄養分をたっぷり与え、二ユーロンの消失を防ぎます。もちろん、老化によるNGFの衰えだけでなく、若い脳細胞のNGF活性効果も充分期待できます。
また、鶏むね肉に含まれるイミダゾールペプチドという成分にも注目が集まっています。
鶏のむね肉に含まれる成分に注目!
――鶏むね肉に含まれるイミダゾールペプチドには、どんな予防効果があると言われているのでしょうか。
佐藤先生:イミダゾールペプチドの認知症予防効果は3つあると分析されています。まず1つめは、アルツハイマー関連物質である異常アミロイドタンパクや終末糖化産物などを作りにくくするということ。
そして、2つめは活性酸素を除去する抗酸化作用があること。これは、脳の神経細胞を傷つける物質を除去することにつながります。最後の3つめは、神経細胞の細胞内PH 緩衝作用。炎症が起きても脳の神経細胞の状態を維持する作用があります。この3つの作用により、脳の廊下に対する保護効果を発揮すると考えられています。(※1)
――そんな鶏むね肉をより効果的に食べられる料理があれば教えてください。また、逆に認知症へのリスクを高めるなど、取りすぎに注意が必要な食べものはありますか。
佐藤先生:卵と玉ねぎをあわせた親子丼や鶏むね肉入りの豆乳カレーなどがおすすめですね。特に地鶏には多くイミダゾールペプチドが含まれているので、地鶏を使うのもいいでしょう。逆に注意が必要なものは、ショートニングやトランス脂肪酸ですね。
――食事以外で認知症を予防し、健康寿命を延ばすために必要なことを教えてください。
佐藤先生:やはり、一番は運動ですね。運動と脳には密接な関係があります。運動や訓練をすることは、脳の海馬にある神経細胞の数を増やします。運動中は、海馬にアセチルコリンという神経伝達物質が供給され記憶などの脳の機能をアップすると言われています。また運動により精神を安定させるセロトニンという物質が増えるため、海馬の細胞を活発化させてくれるのもポイントです。
運動とは少し離れるかもしれませんが、右脳と左脳、さらに前頭前野が働く書道もおすすめです。ただ指先を動かすだけでは運動前野や補足運動野だけしか動きません。大きく筆を動かすことが、効果的だと言われています。
また、運動をすることで心臓病や糖尿病、肥満に伴う病気や乳がんが減るとも言われています。家事に伴う運動でも1年間続ければ、死亡率が40%減少するというデータもあるほどです。認知症予防だけでなく、毎日を健康に過ごすためにも日々の運動を心がけるといいでしょう。
※1)N Masuoka, C Lei, H Li, and T HisatsuneN Masuoka, C Lei, H Li, and T Hisatsune:Influence of ImidazoleInfluence of Imidazole--Dipeptides on Dipeptides on Cognitive Status and Preservation in Elders: A Narrative Review. Nutrients. 2021 Feb; Cognitive Status and Preservation in Elders: A Narrative Review. Nutrients. 2021 Feb; 13(2): 397.13(2): 397.
教えてくれたのは…佐藤務 先生
稲毛病院整形外科・リハビリテーション科/健康支援科部長。1997年、臨床の現場にサプリメントの摂り方を指導するビタミン外来を新設。2000年には全国初の健康支援科を創設、8つの健康支援外来を新設。昭和大学医学部統合医学科講師に就任し、医学生にサプリメントや栄養の講義を開始。専門は整形外科・リハビリテーション科だが、予防を含めた総合医療を提唱。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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