【尿トラブル座談会】骨盤底筋群の衰えが招く尿漏れ、湯漏れ…相談しにくい「シモの悩み」直球トーク
出産や加齢による体の変化に戸惑う女性は多いと思います。なかでも一人で抱えがちなのが尿トラブル。そこで自覚症状や対策について、30代~60代の女性が体験談を語ってもらいました。この機会に体の変化としっかり向き合ってみませんか。
今回お話いただいたのは…
・Aさん(37歳・ヨガインストラクター)子供は生後10カ月、産前と産後の体の違いにも驚いている。
・Mさん(40歳・主婦)娘は小学生。産後ダメージあり、骨盤底筋ヨガなどを行っている。
・Oさん(43歳・ヨガインストラクター)3児の母、3人目にかけて年齢のせいもあり産後トラブルを実感。
・Sさん(49歳・主婦)20歳前後からこれまで尿漏れあり。しかしながら回数も多くないので気にかけていなかった。
・Kさん(65歳・主婦)尿漏れは50代前半に自覚。年齢を重ねてからジムで骨盤底筋運動をして尿漏れの軽減を感じている。
外出先でヒヤリ。尿トラブルは産前、産後に関わらずやってくる
― 何もしないと年齢と共に衰えていく骨盤底筋群。それによりどんなダメージを感じていますか?きっかけや具体的な症状を教えてください。
M:32歳で出産した際、入浴後に湯漏れがすごくて。なんだこれ!?という感じでした。40歳を迎えた今はだいぶマシになったけど。
A:産後は、これって尿漏れ?それともおりもの?と思うことはありましたが、おりものシートでカバーできるくらい少量でした。産後の体の変化で一番びっくりしたのは、お腹に力が入らず仰向けから起き上がれなかったこと。自分でも笑っちゃうくらい動けなくて。出産前はできていた、生理中に経血をトイレでまとめて出す経血コントロールもできなくなり、体ってこんなに変わるんだと実感しました。
O:31歳で1人目を出産したときは、体のダメージはほとんど感じませんでした。39歳で3人目を産んだ後は、トイレに行きたいと思った瞬間に尿が出ちゃう。以前は我慢できたのに。これは本当にマズイなという感覚があったのを鮮明に覚えていますね。骨盤底筋群のゆるみは感じていて、特に子供とトランポリンで遊んでいるときに、ジャンプをすると何かが下がってくる感覚がありトイレが不安です。
K:最初に尿漏れを実感したのは、50代に入った頃。くしゃみをしたときにアレッて感じがあり、それが初めてでした。あとは、尿を出し切る力が弱くなったのか、キレの悪さを実感。ジムで骨盤底筋を鍛えるエクササイズを続けています。
S:尿漏れは、大学生の頃から自覚がありました。でも少量だったので深刻に考えていなくて。数年前にがんを罹患し、治療の影響で閉経しました。頻度は変わらないけど、今は尿の量がすごく増えてしまって。特に外出前にバタバタと用意しているときに漏れることが多く、これからどうなるのか気になっています。
― 尿トラブルを抱えていると、普段の生活でどんなことに困りますか?
K:私は、尿漏れ以外に頻尿も自覚しています。家で落ち着いて過ごしているときは大丈夫だけど、外出先でトイレに行けないかもと考えると、すぐに尿意をもよおしてしまうんです。子供の頃、もう少しで家に着くというタイミングでおもらしをしたことがあり、その記憶が影響しているのかもしれません。
A:トイレに行くタイミングを思い出してみると、私も頻尿に心当たりがあります。トイレを済ませて家を出て、職場に着いてすぐ行って、15分後にまた行く。頻尿は出産に関係なく、30代からあったと思います。
M:私もすごい頻尿でした。あまり意識していなかったけど昔からトイレが近くて、産後は特に回数が増えた時期があり、トイレのタイミングが難しかったです。
O:動き回ると漏れてしまいそうで、子供と一緒に思い切り遊べないのが嫌ですね。頭の片隅に尿漏れの不安が常にある感じ。若い頃は気にならなかったことを気にしないといけなくて、切ないなという気持ちはあります。
S:私は尿漏れの自覚はあるけど頻度が少ないので。これを悩みと捉えて対策をとるべきなのか、そこが気になっています。
骨盤底筋を鍛えるヨガで、筋力の急速な衰えを防止
― 尿漏れ、頻尿、尿切れの悪さ……。みなさんはどんな対策を試してきましたか?
S:私は、何かいい対策があればみなさんに教えてほしいです。
O:出産して時間が経っているので尿漏れは減ったけど、おりものの量は増え、おりもりシートはいつも持ち歩いています。骨盤底筋群を鍛えるヨガも実践していますよ。
M:産後すぐは余裕がなくて、湯漏れを自覚しても対策まで手が回らず放置していました。いいタイミングでヨガに出合い、私も骨盤底筋群を鍛えて、加齢に負けない体作りに取り組んでいます。湯漏れ対策は、お風呂から出た後は湯漏れがあるものと自覚し、すぐにトイレに行くようにしました。トイレに行ったら大丈夫、という心理的な安心感も手伝っているのか、今ではほとんどなくなりました。
A:私も産後は忙しさを理由に、自分のケアは後回しにしていました。これではいけないと思ってヨガを始めたところ、思った以上に動けなくてショック!それ以来、レッスンで教えてもらった、ながらでできる骨盤底筋トレーニングを歯磨きやドライヤーをしながら行っています。
K:ジムで骨盤底筋運動を意識的に行っているのですが。先生から「膣でティッシュを引き上げるように」と言われても感覚がわからなくて。「ひめトレ」というストレッチポールを教えてもらい、ポールをまたいで座り骨盤の前後傾運動をしたら、骨盤底筋群を動かす感覚をつかめるようになりました。くるくる巻いたタオルでも代用できますよ。
― 尿トラブルは、精神面と身体面の両方からアプローチできそうですね。やってみて効果は感じていますか?
O:私の場合、まずおりものシートというお守りを持つ。それで気持ちに余裕ができたら体を動かしてみて、安心感を得られたのが一番のメリットでした。
M:ヨガを続けることで、体の状態をキープできていると感じています。産後すぐと比べて、自分の体をよく観察するようになったのもすごく大きな変化だと思います。
A:骨盤底筋トレーニングを1~2カ月続けたところ、お腹に力が入るようになり効果を感じています。骨盤底筋群がきちんと働くと、日常の動作がスムーズになり生活が上手く回るのを実感。トレーニングは大事だと思います。
K:ヨガは尿意の調整をつかさどる自律神経も整うので、尿トラブル対策に効果があると思います。
周囲に相談し情報がもらえると、解決の糸口に
― シモの悩みはデリケートな問題なので一人で抱えがちですが、みなさんは家族や友人、または病院で相談しましたか?これは役に立った、というアドバイスがあれば教えてください。
A:筋力の衰えに関しては、勉強していたマタニティヨガのお腹まわりのエクササイズが役立ちました。あとは、整体で骨盤まわりを整えてもらったら動きやすくなったかな。
S:尿漏れがあるから旅行を控えるとか、そこまでしなくて済んでいるので、周りの人にも病院でも相談したことはないです。
M:実は夜中におねしょをしたことがあって、「やってもうたわー」って家族にはネタ的な感じで伝えました。でも毎日ではないし、痛みが伴うわけでもないマイナートラブルだったので、人に相談したり、病院に行ったりする発想はなかったです。
K:ジム仲間には話しやすいです。私の知り合いはかなり高齢なので、ニオイ問題に悩んでいる方も多く、対策としてアンダーヘアを処理している方もいたりして。話をしていると、年齢ごとにシモのお悩みも変わってくるんだなと実感。あとは、おねしょをしてショックだった体験を姉が教えてくれて。そのときはすごく体が疲れていたらしく、体のケアは大事だと感じました。
O:3ほぼ同時期に出産した姉に、こんな感じだったよと教えてもらえたので安心感がありました。産後の体の変化に関しては、産院で教えてもらったので心構えができてよかったです。スクワットやお尻をキュッと締めるエクササイズも教わり、家に帰って早速試してみました。産院で教えてもらえなかったら、情報がなくて困ったかも。
― 骨盤底筋群の衰えを自覚しているし、尿トラブルも気になる。でも、対策はしていない人は少なくないはず。体験者からのアドバイスをお願いします!
M:年齢を重ねると避けられない問題なので、自覚症状のあるなしに関わらず、骨盤底筋群のトレーニングは必要だと思います。軽い尿漏れなどは生活に直結するトラブルではないけど、外出先でドキドキすることもあると思うので、快適に生活するためにもトレーニングは役に立つと思いますよ。
A:骨盤まわりをしっかり鍛えておくと、尿漏れ予防に効果的だと思います。周りの人に話してみると自分が持っている倍以上の情報がもらえることがあるので、環境にもよるけど思い切って話題にしてみては。話を切り出しやすくするには、尿漏れに代わるいいキーワードがあるといいけど。
O:私はヨガに救われたことがいっぱいあるので、対策としてヨガをおすすめしたいです。体の動きが変わると、少し楽になることもあるので。
S:私自身、この座談会で骨盤底筋群と尿漏れの関係を知ったので、これからはもっと真剣にヨガに取り組みたいと思いました。みなさんもぜひヨガを始めてみてください。
K:主人や姉にヨガをすすめても、体が硬いから嫌と言われてしまうんです。そういうときは、YouTubeのヨガ動画を観ながら一緒にやるようにしています。スタジオ通いに抵抗があれば、YouTubeを使って始めてみるといいですよ。
加齢にともなう尿漏れ、今からできる予防法は?【医師が解説】
「尿漏れを予防するためには、尿道や肛門をサポートして尿漏れを防ぐ役割を果たしている骨盤底筋群を強化するトレーニングが重要です。医師や理学療法士から指導を受けながら、骨盤底筋群を強化するためのトレーニングを行うことで、膀胱の支持や尿のコントロールが向上し、尿漏れの症状を改善することができます。
尿漏れに対する専門的な治療法には、生活習慣改善のアドバイス、骨盤底筋群トレーニングの指導、必要に応じた薬物療法や膀胱留置カテーテルなどのメディカルデバイスの使用などがあります。症状や状態に合わせて治療アプローチが変わるため、病院やクリニックでの専門家の指導のもと、症状の原因を正確に診断し、最適な治療法を選択することが大切です。
尿漏れの治療は多くの場合、継続的な管理と患者の積極的な参加が必要となりますので、尿漏れの症状がある場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。」
医師プロフィール…甲斐沼孟先生
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より主にTOTO関西支社健康管理室産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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