女性の方が影響を受けやすい?梅雨時期のメンタル不調「梅雨うつ」「梅雨だる」対処法を専門家が解説
各地が梅雨入りする中、「最近やる気が出ない」「だるさや憂鬱さが続く」と悩んでいませんか?今回は、梅雨うつや梅雨だるについて対処法をご紹介します。
梅雨うつや梅雨だるとは?
近年は、梅雨うつや梅雨だるという言葉を聞く機会が増えました。梅雨うつや梅雨だるは正式な病気の名前ではありませんが、梅雨の時期にメンタル不調を感じる人が多いため、このような通称が広まっていると考えられます。気候とメンタルヘルスの関係については、様々な研究がおこなわれていますが、まだ明確な結論は得られていません。最近の研究では、季節の移り変わりや気圧の変動がうつ病や不安症状の増加と関連していると報告しています。そして、その影響は女性の方が受けやすいという結果でした。別の研究では、寒くて雨の多い地域でうつ病が多いという結果が報告されています。また、季節性情動障害(SAD)が関連している可能性も指摘されています。SADは、冬季になるとうつ症状が現れ、春になると軽快する病気で、日照時間の減少や気温の低下などが影響すると考えられています。梅雨の時期は雨が続き日照時間が減るため、冬季と同様の症状が出やすくなる可能性があります。
気圧と自律神経の関係とは?
低気圧や気圧の変化は自律神経に影響を与えます。自律神経は、心拍数、血圧、体温などの生理機能を調節する役割を果たしており、交感神経と副交感神経のバランスが重要です。気圧が下がると体の外からの圧力が減るので血管が膨張します。そうすると、交感神経が働いて、血管を収縮させて元に戻そうとします。一方、気圧が上がる時は、副交感神経が働いて、血管を膨張させます。しかし、日頃から自律神経が乱れており、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくできない人もいます。交感神経の活動が優位になると、イライラや不眠、頭痛などの症状が現れることがあります。一方、副交感神経の活動が優位になると、眠気の増加を感じることがあります。
自律神経を整える方法とは?
それでは、梅雨を上手に過ごすために、自律神経を整える方法を紹介します。今の状況や自分に合った方法を見つけましょう。
睡眠の質を高める
7時間前後の十分な睡眠時間を確保して、睡眠の質を高めることは、自律神経のバランスを整える上でとても重要です。なるべく規則正しい睡眠リズムを保ち、室温や湿度、寝具など快適な寝室環境を整えることで、良質な睡眠を促すことができます。また、寝る前にリラックスする習慣を取り入れることも助けになります。
適度な運動をする
運動は自律神経を整えるために効果的です。軽い有酸素運動やウォーキングなどは、副交感神経の活性化を促し、ストレスを軽減するのに役立ちます。ただし、過剰な運動やトレーニングは逆効果となる場合があるため、適度な運動量を心掛けましょう。
ストレスを解消する
ストレスは自律神経のバランスに悪影響を与えることがあります。ストレスを軽減するためには、自分に合ったストレス解消法を見つけることが重要です。例えば、ヨガや散歩、音楽を聴く、映画を見る、絵を描く、友人とおしゃべりをする、誰かに相談するなど、趣味やストレス軽減になる方法を色々と試してみましょう。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、リラックス効果や副交感神経を活性化するのに役立ちます。呼吸に注意を向け、鼻を通る空気や、呼吸に合わせてお腹が動く感覚などに意識を向けます。深呼吸など、無理に呼吸をコントロールしたりする必要はありません。途中で雑念が浮かんでも大丈夫です。雑念にただ気づき、呼吸の観察に注意を戻しましょう。
おうち時間を充実させる
梅雨の間は外出する機会が減ると思います。自宅で出来る活動を考えてみましょう。例えば、読書、映画鑑賞、クッキング、手芸など、自分が楽しめる活動を見つけ、趣味として取り入れましょう。また、気持ちを明るくするために、照明やインテリアを変えてみる方法があります。例えば、明るくて温かみのある照明を選ぶ、カラフルなクッションやカーテンにする等です。
お気に入りの雨具を用意する
梅雨の時期の外出が少しでも楽しみになるように、傘やレインコート等をかわいいデザインや明るいデザインのものに変えてみることもオススメです。また、撥水性が高いものや、畳んだ時に外側が濡れないような「逆さ傘」など、利便性が高いものに変えることが憂鬱感や不快感が軽減する可能性があります。
参考文献:
Relationship between Depressive Symptoms and Weather Conditions
The Association between Depression and Climatic Conditions in the Iran Way to Preventive of Depression
AUTHOR
石上友梨
大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。
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