1日1万歩は不要!1日たった10分でも効果が出る正しい「歩き方」とは?ウォーキングの専門家が解説

 1日1万歩は不要!1日たった10分でも効果が出る正しい「歩き方」とは?ウォーキングの専門家が解説
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健康維持のために、ダイエット成功のためにウォーキングをするなら、「正しい歩き方」を身につけることが必須。「正しい姿勢を身につければ、1日10〜20分のウォーキングでもしっかり効果が出ます!」と、ウォーキングプロデューサーの園原さんは語ります。その理由とは?

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たくさん歩いているのに痩せないのは「姿勢が悪いから」

園原さん:自分の歩き姿を一度動画で撮影してみてください。私ってこんな歩き方なの!?と驚かれる人も多いと思いますよ。

どんな歩き方が「悪い歩き方」なのか、まずは自分の歩き姿をチェックしてみましょう。

・腰が曲がっている
・膝が曲がっている
・頭が前に突き出ている
・靴の中で足の指が曲がっている

園原さん:以上のような歩き方だと、お尻の筋肉や太ももの外側の筋肉がうまく使われておらず骨盤が立ち上がりません。負荷が前ももだけに集中してそこの筋肉だけが発達してしまいます。前ももが発達すると、筋肉が丸くなり、歩くときに脚を前に振り出しにくくなるうえ、お尻の筋肉は小さくなり、体型面にも影響が出てしまいます。

―まずは、自分の歩き姿勢を見直すことが大切なんですね。

園原さん:はい。歩き方を意識しないでただ自分が楽な姿勢で歩いていると、歪みやクセはどんどん助長され、体型までも崩してしまいます。

短時間で効果を出すためには「量」「負荷」「動き」を意識

―園原さんが提唱されている、効果の出るウォーキングのポイントに、「量」「負荷」「動き」3つがあります。まず「量」とはどういうことですか?

園原さん:「量」は、数字で表されるもののこと。歩くキロ数や歩く時間、歩数などですね。 「毎日何キロ歩こう」とか「何時間歩こう」とか目安になるもので、「1日1万歩」というのも「量」です。量を設定することはとてもシンプルで簡単。たくさん歩きましょうとか、食べた分歩きましょう、と言ってもイメージしづらいですよね。その点「1日1万歩」というフレーズはイメージしやすいので、歩く機会の少なくなっている現代人に向けたスローガンとしては有効だと思います。ただ私が言いたいのは、この「量」だけを実行しても、負荷と動きが伴っていなければ、思うような効果は出ませんよ、ということなんです。

―たしかに「何時間も歩いているのに一向に痩せない」といったお悩みはよく聞きます。時間や距離をクリアだけでなく、適度な負荷を与えることも重要なんですね。

園原さん:そうです。「負荷」とは、歩くときの強度やしんどさのこと。らく、普通、きつい、といった体にかかる負担のことです。これは目安ではなかなかわからないので、心拍数などを測ってちょうどいい負荷がかかっているか管理するといいですね。

歩き方の正解は?園原さんに教わる「3つのポイント」

①胸から脚を振り出すイメージで歩く

園原さん:胸から振り出すというのは、言い換えると、股関節と肩甲骨がしっかり動くような歩き方をしましょう、ということです。

胸椎から太ももの付け根にかけて「大腰筋(だいようきん)」という筋肉があり、この大腰筋は「股関節を屈曲する際の動作」や「太ももを持ち上げる動作」、「骨盤を前傾させるとき」などに働きます。この大腰筋が弱ると、脚が上がらず、速く歩けなくなったり、つまずきやすくなってしまい、怪我の原因にもなりかねません。胸から脚を振り出すイメージで大きく歩くことで、大腰筋が鍛えられ、股関節の可動域も広がるのです。

②太ももの内側をこすり合わせるようにして歩く

園原さん:太ももの内側の筋肉のことを「内転筋(ないてんきん)」と言います。人は20代後半ごろから骨のアライメント(角度・並び)が歪んできます。歪んでいる人の多くが日常生活の中で内転筋をうまく使えておらず、膝や股関節が曲がったまま歩いています。前ももだけを使った歩き方を続けると、O脚の原因になったり、歪みを助長するウォーキングにもなりかねません。太ももがこすれ合うくらいを意識して歩きましょう。

内転筋
内転筋
イラスト/Adobe Stock

③かかとで着地する

園原さん:「ふくらはぎは第二の心臓」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。重力に逆らいながら下半身の静脈血を心臓に促すために、ふくらはぎはポンプのような役目をしているということですね。

ウォーキングの際かかとで着地すると、自然とすねの筋肉が縮まってふくらはぎの筋肉が伸びます。一歩一歩ふくらはぎの筋肉を伸び縮みさせることで静脈血の流れが良くなり、代謝もアップ。脚のむくみや、冷え性、下肢静脈瘤の予防などにも有効です。

一度正しい歩き方を覚えれば体は忘れない

―教えていただいたウォーキングの際の3つのポイント、最初はギクシャクするかも知れませんが一度覚えるとできそうなものばかりですね。

園原さん:そうですね。最初の章で言ったように、ウォーキングをする際は、余計なことを考えず「歩き方」に集中しましょう。正しい姿勢が身につくだけではなく、雑念から頭を解放することで気分転換にもなりますよ。

そして正しい歩行技術を体に覚え込ませるためには、とにかく反復すること。何度も繰り返していくうちに感覚がつかめる瞬間があると思います。

普段の移動でも同様です。自分のクセや長年の悪い習性のまま歩くのはとてももったいない。一度正しい姿勢を身につけてしまえば体は忘れませんし、年齢を重ねてからも怪我をしづらい体をキープできますよ。

歩き方
『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』園原健弘・著(きずな出版)

お話を伺ったのは…園原健弘さん
1992年バルセロナ五輪50Km競歩代表。世界陸上3回連続出場、箱根駅伝2回出場など競技者としての経験をベースに健康づくり・ダイエット指導など幅広い分野で活躍中。東京・神楽坂にてスポーツジム経営。
近年は(株)ラバ・チューブ代表取締役、(社)JEETA理事として、市町村の介護予防事業・地域支援事業を運営受託し全国を飛び回っている。明治大学体育会競走部コーチ。著書に『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』(きずな出版)がある。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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