コスパやタイパに囚われがちな現代人こそウォーキングすべき?【歩くこと】で得られる意外な効果とは

 コスパやタイパに囚われがちな現代人こそウォーキングすべき?【歩くこと】で得られる意外な効果とは
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ウォーキングで健康になりたい、ダイエットをしたい。そんな目的を果たすには「まずは非効率的な時間を楽しむという気持ちから」とウォーキングプロデューサーの園原健弘さんは話します。日々時間に追われて生きる私たちが、ウォーキングで得られる意外な効果とは、一体なんでしょう。

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効率よくできないことで自分を責めてしまう現代人

―「結果を出すためには大切なのはやはり継続すること」と話すのは、元オリンピック代表の競歩選手であり、現在はウォーキングプロデューサーとして活動している園原健弘さん。

生活習慣予防にせよダイエットにせよ、成果を出すためには継続が大事ですよね。私も含め最初はみんな、「目標を達成するために長く続けるぞ」という決意でウォーキングを始めると思います。ですが、疲れて歩かない日があったり、気分が乗らなかったり、仕事や家事が忙しくて時間がとれなかったりして、だんだん歩く回数が減って最終的にやめてしまう、というパターンが多いように思います。

園原さん:問題なのは続かなかったことよりも、“続かなかった不甲斐ない自分を責めること”です。自分を責めてしまうことで自己有能感が下がってしまうのです。

―自分ってダメなんだ、と思うと余計に運動をする気が失せますよね。

園原さん:そうなんです。私は「楽しくウォーキングをしていたら、結果的に健康になった、痩せた」というのが理想の形だと思っています。「楽しく」を継続するためには、まずは無理をしないこと。そんな楽しみを感じながら行うものとしてウォーキングは最適だと思っています。

ウォーキングは運動でもある一方で、「移動手段」でもあります。移動は誰だってしますよね? 家の中にいても部屋から部屋に移動するし、車でスーパーに行ったとしても車を停めた場所からスーパーまでは歩きます。そんなちょっとした移動手段を少しずつエクササイズに変えていけばいいのです。

―確かに、移動をすべてウォーキングタイムととらえれば、気負うことなく継続できる気がします。

園原さん:そうです。まずは暮らしの中のちょっとした移動をエクササイズタイムにしましょう。そして「もう少しできそう」と思ったら、10分からでいいのでウォーキングをするようにすると、継続しやすくなりますよ。

マインドフルネスとしてのウォーキング

―散歩をしていると、仕事のことだったり、頭に浮かんできたモヤモヤだったり、さまざまなことを考えてしまいます。園原さんが提唱する「ウォーキングをするときは、できるだけ余計なことを考えないようにしましょう」というのはどういうことですか?

園原さん:現代人は日々タスクに追われていて、脳がリラックスできる時間が本当に少な苦なっています。わずかなウォーキングの時間すらも悶々と考えてしまっていませんか?

―そうですね。脳を空っぽにするというのは、意外と難しいです。

園原さん:そこでおすすめなのが、「今に集中」して歩くこと。具体的にいうと「この歩き方合ってるかな」とか「もう少し大股にしてみよう」とか、自分の歩き方だけを観察しながらウォーキングするということです。そうやって自分の動きだけに集中することで、余計なことを考えることなく「今」に集中できます。それがメンタルヘルスにもつながるのです。

―過去も未来も考えず「今」に集中するのは、瞑想と同じですね。ウォーキングは体のためだけではなく、心の健康を保つためにもいいんですね。

園原さん:はい。現代人はとにかく合理的なことが好き。しかし、高コスパ、高タイパだけを追い求めた生活を続けていると、気付かないうちに体も心も疲弊しています。対してウォーキングというものは実に効率が悪い(笑)。歩くよりも自転車や車に乗ったほうが、目的地には早くつけるわけですから。

そんな非効率的なウォーキングの時間をみなさんもあえて作って欲しいのです。非効率な行動を積極的に行えることで、物事をポジティブに捉えられるようになり、体も心も健康になれます。

次回からは、短時間でも効果が出せる歩き方や体の使い方をお教えします。特に「正しい動き」を知って、それを体に覚え込ませ、歩くことが習慣化できれば、1日1万歩歩かなくてもしっかり結果が出ますよ。

お話を伺ったのは…園原健弘さん
1992年バルセロナ五輪50Km競歩代表。世界陸上3回連続出場、箱根駅伝2回出場など競技者としての経験をベースに健康づくり・ダイエット指導など幅広い分野で活躍中。東京・神楽坂にてスポーツジム経営。
近年は(株)ラバ・チューブ代表取締役、(社)JEETA理事として、市町村の介護予防事業・地域支援事業を運営受託し全国を飛び回っている。明治大学体育会競走部コーチ。著書に『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』(きずな出版)がある。

最高の歩き方
『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』園原健弘・著(きずな出版)

 

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インタビュー・文/皆川知子

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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