健康効果が高まる!理学療法士監修【正しい「ウォーキング」4つのポイントとは?】

 健康効果が高まる!理学療法士監修【正しい「ウォーキング」4つのポイントとは?】
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堀川ゆき
堀川ゆき
2023-03-30

ウォーキングが身体にいいことは皆さんご存知のはず。でもそれは正しく歩けていることが大前提です。ウォーキングの「質」を今回見直してみませんか?理学療法士の堀川ゆきさんが教えてくれました。

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ウォーキングのすすめ

ウォーキングは、季節や場所や年齢を問わずいつでもどこでも取り組める手軽な運動の一つです。また、負荷が高くないため、運動に不慣れな人や高齢者にも適しています。健康のために毎日ウォーキングしているという人もたくさんいることでしょう。

でも残念ながら、病院で患者さんを担当していて「毎日歩いています!」とおっしゃる人に限って、正しく歩けていないのが現実です。街中で歩いている人を見ても、歩幅や速度が適切でなかったり、姿勢が悪いなど不適切なフォームで歩いている人が圧倒的に多いのです。これは年齢や性別関係なく、80歳でも美しく歩いている人もいれば、若者でも逸脱した歩き方の人もいます。

正しいウォーキングを知ることと同時に、目標とする歩数も知っておきたいです。厚労省の「健康日本21」で1日の目標歩数が以下のように具体的に定められています。

20~64歳 男性:9000歩、女性:8500歩
64歳以上 男性:7000歩、女性:6000歩

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photo by Yuki Horikawa

今はスマートフォンや腕時計にも歩数をカウントする機能がついていることが多いですが、もし歩数が測れない場合は「10分歩いたら大体1000歩」と考えると分かりやすいでしょう。

ウォーキング4つのポイント

ではウォーキングのポイントをおさえて、正しいウォーキングで効果UPを狙いましょう。

まず、ウォーキング用の歩きやすいスニーカーを履きましょう。スニーカーでもオシャレスニーカーは重かったり厚底だったり、インソールが平らだったり硬かったり、ウォーキングに特化した作りになっていません。また、ジョギング用のスニーカーはウォーキング用のスニーカーの構造とは全く異なっているため、ウォーキングには不向きです。

身体の中心を通る軸をまっすぐ保つように意識します。あごを引いて視線は数メートル前方を見ます。胸を張って背筋を伸ばし、肩の力を抜きます。膝とつま先は歩いている時は常に正面を向くように意識します。ウォーキングで大切なポイントは次の4つです。

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photo by Yuki Horikawa

ポイント①

いつもより歩幅をやや大きめにすることです。一歩一歩を大きくすることで、股関節をはじめとした各関節を広い可動域で大きく動かすことになるので、関節の一部分だけにストレスが集中してしまうことを避けられます。同時に歩幅が大きいと股関節周囲のたくさんの筋肉が働き出すので循環が良くなり、一部の筋肉だけが筋疲労を起こしてしまうことを防ぐことができます。コツは、前脚よりも後ろ脚を意識することです。後ろ脚のももの付け根、鼠径部を毎歩伸ばすように、お尻よりも後方に後ろ脚を残して歩くように意識します。この時後ろ脚のお尻がキュッと縮んで引き締まるのを感じてください。

ポイント②

早歩きを心掛けることです。早歩きの人の方が長寿だということが明らかになっています。歩きながら話すと息が切れる程度の早歩きがベストです。また、早歩きの人の方が普通の歩行速度の人よりも、持久力や体力が上がり、生活習慣病指標の改善が明らかだったという報告もあります。健康のためには歩く時間や距離を伸ばすよりも、大股で歩くことと、早歩きをすることに意義があるようです。

ポイント③

腕を大きく前後に振ることです。右腕が前だと左脚は後ろ、という具合に腕と脚とは反対方向に動きますが、実はこの腕の振りの反作用でキック力を強めています。腕の振りを強くすることでキック力が増し、歩行速度が上がります。そのためにはできれば手提げカバンよりも、リュックサックの方が腕を左右対称に振りやすくなるのでオススメです。

ポイント④

かかとから着地してつま先で地面を蹴ることです。足裏全体でベタッベタッと着地して歩くのではなく、着地はまずかかとからです。そして最後はつま先で床を蹴ります。蹴るというと、つま先をシュッシュッとはらうように歩く人がいますが、つま先、特に親趾で力強く床を押して前に進むイメージです。このようにつま先を使って歩くと、前への推進力がグンと上がり、歩行速度が増します。

ここでさらに、足裏の足圧中心点(COP)の軌跡もイメージできると良いです。歩く時に地面に接地している側の足底のどこに体重が乗っているのかを示したものです。足裏のイラストのように、正常ならかかとから接地してアウトエッジ(小趾側)を通過し、最後は母趾から体重が抜けます。

足裏
illustration by Yuki Horikawa

まとめ

最も手軽で代表的な運動であるウォーキング。 年齢や性別問わず身近で簡単に始められる運動だからこそ、ぜひ正しいウォーキングを知った上で実践してほしいと思っています。ウォーキングについて知りたい人はこちらの記事https://yogajournal.jp/9296も参考にしてください。今回紹介した4つのポイントを、身近な人や大切な人にも教えてあげてくださいね。

参考:
厚生労働省「健康日本21」
公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康づくり」2023年9月No.534 谷本道哉 健康づくりQ&A

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堀川ゆき

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。



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