歩かない生活が認知症を引き起こす?脳内科医に学ぶ「運動負債」と「認知症」の関係

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歩かない生活が認知症を引き起こす?脳内科医に学ぶ「運動負債」と「認知症」の関係

厚生労働省が2020年に発表した推計によると、日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人。3年後の2025年には700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると言われています。高齢化にともない、認知症患者数が増加することは、社会的な課題となっています。今や、認知症は特別な病気というわけではありません。誰にでも起こる可能性のある病気と考え、予防することが大事です。そこで日々の日課にウォーキングを取り入れてみませんか? これまで1万人以上の患者さんの脳画像を診てきた脳内科医・加藤俊徳先生にウォーキングをしながらでもできる認知症予防法を伝授してもらいました。

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「運動負債」と「認知症」の関係

加藤先生の著書『最強のウォーキング脳』(時事通信社)によると、運動が不足していることを表す「運動不足」よりも問題視しているのが「運動負債」だそうです。ではまず、運動負債とはどんな状態をいうのでしょうか。

「私は普段から、1か月に90km歩くことを目標にして生活しています。そこで、1日に4km以上歩くことで月に30kmの『運動貯金』をつくるように心がけています。しかし、1日に2kmしか歩かなかった月は、1か月に60kmしか歩かなかったことになるので、30km貯金を使ったことになります。ウォーキングが不足し続けると、徐々にその貯金が減り、気づいたころには不調が現れます。このように運動脳を使うことが減り続けることで、運動脳以外の脳の不調が起こる状態を、『運動負債』と読んでいます」(加藤先生)

つい最近まで元気だったお年寄りが、風邪で数日寝込んだだけで一気に歩けなくなったり、口数が減ったりと認知機能が低下してしまうこと。これこそが「運動負債」によるものと考えられますね。

歩かない生活は認知症の引き金を引く行為

「アルツハイマー協会主催の国際学会で『運動が不足している人は、将来認知症になるリスクが4倍になる』というデータが示されました。また、1日に1時間以上歩くことで認知症のリスクがぐんと下がることがわかっています。このことからも歩かないことは認知症の引き金を引く行為といえます。今からでも遅くはありません。ウォーキングをすることを日課にし、認知症を予防しましょう」(加藤先生)

「積み上げしりとり」で認知症予防

加藤先生自身も実践しているウォーキングの中に「しりとり・ウォーキング」というものがあります。これはウォーキングをしながらしりとりをしていくというシンプルなものですが、一人で歩いている時も誰かと歩くときにも使えるのだそう。これをさらに応用したものが、加藤先生が考えた「積み上げしりとり」です。これは認知症予防対策に効果的です。「積み上げしりとり」は、毎日のウォーキング中にするしりとりを、一つずつ積み上げるように足していくというものだそう。家族や友人など、2人以上でウォーキングをする場合に効果的です。

■積み上げしりとり■

Aさん…「ネコ」

Bさん…「ネコ、米」

Aさん…「ネコ、米、メダカ」

Bさん…「ネコ、米、メダカ、亀」

「1つずつ名詞を増やしていきます。これにより、現状の記憶力を確認することもできますが、重要なことは毎日、このウォーキングをすることで脳が成長してくことを確かめられるということです。昨日は5つしか覚えられなかったけれど、今日は6つ覚えることができたなど、記憶力を実感することができます」(加藤先生)

私たち人間は、老化にともない認知症のリスクが高まるかもしれません。しかし、こうして予防することができる、ということを知っておくことはとても大切。習慣化することで脳はどんどん鍛えられるので、ウォーキングを毎日意識し、認知症を遠ざけましょう。

プロフィール:加藤俊徳先生

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。MRI脳画像診断、発達障害・ADHDの診断・治療の専門家・脳番地トレーニングの提唱者。独自開発した加藤式脳画像診断法(MRI脳相診断)を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断。薬だけに頼らない治療の一環としてウォーキングを推奨している。最新著書は『最強のウォーキング脳』(‎時事通信社)。

ウォーキング脳
『最強のウォーキング脳』加藤俊徳・著(‎時事通信社)

 

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Text by Nana Yasuda

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。

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