【痛い!気になる!外反母趾を食い止める】外反母趾外来にいた理学療法士推奨「足のエクササイズ」

 【痛い!気になる!外反母趾を食い止める】外反母趾外来にいた理学療法士推奨「足のエクササイズ」
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堀川ゆき
堀川ゆき
2023-04-25

ヨガジャーナルオンラインでおなじみの堀川ゆきさん。理学療法士として外反母趾専門外来で治療にあたっていた経験もあるそう。そこで外反母趾にオススメの足のエクササイズを紹介していただきました。

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外反母趾とは

外反母趾(がいはんぼし)は成人のおよそ30%に認められるといわれています。母趾(足の親指)のつけ根が外に飛び出し、その先が人差し指の方に「く」の字に曲がってしまった状態ですが、日本人が靴を履くようになってから足の代表的な疾患となり、主に母趾のつけ根の出っ張ったところが痛みます。

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イラストAC

親指が人差し指側に曲がり、外反母趾角(HV角)が20度以上になると外反母趾と診断されます。HV角が20度~30度は軽度、30度~40度が中等度、40度以上が重度に分類されます。

ほかにも、「浮き指」といって常に足の指が浮き上がっている状態、足の横幅が広がって横アーチが落ちてしまった「開張足」など、外反母趾特有の足の特徴がいくつかあります。

外反母趾は圧倒的に中高年の女性に多いため、ハイヒールが原因と思われがちですが、外反母趾の男性のリハビリも何度か担当してきましたし、ハイヒールを毎日履いていても外反母趾にならない女性もいます。また遺伝もあります。外反母趾を放置すると、変形が進行することはあっても自然に治ることはありません。痛みが強く、靴を履いての歩行が困難になると手術を検討していきます。

足の構造

足の構造や機能について3つ知っておきましょう。この3つの機能が崩れることが外反母趾になりやすい原因でもあります。

足裏の体重負荷率

立位の場合、足の裏にかかる体重負荷率は、かかとである後足部に60%、中足部に8%、つま先を含めた前足部に28%とされています。

そして歩いている時、足の指は母趾への負荷量が100だとすると、残りの4本の指で50の負荷量を担っており、歩行中は指の中では母趾がメインで力を発揮していることが分かります。

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photo by Yuki Horikawa

足の長軸

足の長軸は、「かかとの中央と人差し指を結んだ線」として定義されています。中心は人差し指で、親指が中心ではありません。足の長軸がまっすぐになるように立っている時や歩いている時に意識します。

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photo by Yuki Horikawa

足のアーチ

足裏には「3つのアーチ」があります。

・内側縦アーチ(ないそくたてあーち)
・外側縦にアーチ(がいそくたてあーち)
・横アーチ(よこあーち)

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足の裏を支えるこの3つのアーチの機能は、荷重と衝撃の吸収作用です。重力による自分の体重と地面との衝撃のぶつかり合いをアーチが吸収しています。

私達はこの3つのアーチ構造を変化させて、地面の凸凹や傾斜に足を適合させて立位を保持すると同時に、衝撃を吸収し運動エネルギーを伝播し、身体の移動に際してその推進力を提供しています。特に内側縦アーチが重要で、内側縦アーチには土踏まずがあるので、このアーチの引き上がりは最も自覚しやすいと思います。

外反母趾エクササイズ

外反母趾に対して強化すべきところは決まっています。それは足趾の「可動域」と「筋力」、そして「足底感覚」の3つです。その3つを強化するエクササイズを紹介します。

足趾マッサージ

まずは、手の指と足趾とをしっかり握手するように握り合わせて、ギュッと足趾を握ったり反らしたり捻ったり、足首を回したりしていろんな方向に動かしてみましょう。マッサージすることで、足部の皮膚や筋肉の硬さが取り除かれ、血行が促進し、骨の配列が整い関節内の滑液が循環します。

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足趾ジャンケン(4パターン)

足趾の可動域を向上させます。足趾の力だけのジャンケンが難しい場合は、手の指で足の指を持ち、ジャンケンの型を作ってからそっと手を離すということを繰り返して、足趾に徐々に形を学習させていきます。

まずグーです。ポイントはグーの際に5つの中足趾節関節(写真の青い丸の部分)が白く浮いて確認できるくらいしっかり握ることです。これが横に並べた手のグーと同じ状態です。

下の写真は中足趾節関節が使えていない状態です。浅い握りになり、横に並べた手のグーと同じ状態ですが、これはグーではありませんよね。

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チョキと逆チョキもやってみましょう。足趾を分節的に動かせるように練習していきます。

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パーをやってみましょう。足趾を反らすのではなく、横に開きます。この4パターンを繰り返します。

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タオルギャザー

足趾の筋力を向上させます。足趾でタオルをたぐり寄せます。1度目はゆっくり深く握る、2度目は素早く小刻みに、などスピードを変化させることも訓練になります。

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メカノレセプター刺激

足裏には、大地からの様々な情報や刺激を受け取る大切なセンサーがあります。足裏のセンサーを「メカノレセプター 」といいます。メカノレセプターの感覚を高めていくエクササイズです。足裏に刺激を入れることでセンサーは活性化されます。足裏でゴルフボールをゴロゴロ転がして、所々グッと足裏で踏ん付けてみましょう。

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外反母趾の予防や進行、痛みを防ぐためには、このような足のエクササイズで足趾の「可動域」と「筋力」、「足底感覚」を高めていくことが必要です。そして、外反母趾を助長しやすいような幅が狭くヒールの高い靴は普段からなるべく避けるようにしましょう。スリッパも浮き指になりやすいので長時間はお勧めしません。

外反母趾は、初期にこのようなエクササイズを行うなどして治療すれば改善が期待できますが、放置すると変形が進行して手術が必要になってしまいます。また外反母趾と思っていたら関節リウマチなど他の病気が原因だったということもあるので、母趾の変形や痛みを感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。

参考:
公益社団法人 日本整形外科学会「外反母趾」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hallux_valgus.html

同友会グループ「ガイドラインに基づいた外反母趾の正しい知識と治し方」
https://www.do-yukai.com/medical/123.html
山口光國ほか「結果の出せる整形外科理学療法」メジカルビュー社,2009
中村隆一他「基礎運動学」医歯薬出版,東京,2010

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AUTHOR

堀川ゆき

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。



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