骨じゃなく「筋肉」で立つべき?姿勢で体の経年劣化を予防「筋性支持」のポイント【理学療法士が解説】

 骨じゃなく「筋肉」で立つべき?姿勢で体の経年劣化を予防「筋性支持」のポイント【理学療法士が解説】
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堀川ゆき
堀川ゆき
2023-03-04

皆さんは自分の「姿勢」を今まで意識したことはありますか?今のその姿勢が知らず知らずのうちに身体に負担をかけているもしれません。筋肉で立つことの大切さを、理学療法士の堀川ゆきさんが今回教えてくれました。

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姿勢を意識したことはありますか?

皆さんは今まで自分の「姿勢」を意識したことはありますか?

私は病院で患者さんのリハビリを担当していて、そしてヨガやピラティスのクラスで生徒さんを担当していて日々感じることは、今まで自分の姿勢に関心を持ってこなかった方があまりにも多いことです。その姿勢が、将来的に身体の不調や病気の原因になるとは思っていない方がほとんどなのではないでしょうか?

ラクに立ってみてください

まず一度ラクに立ってみてください。きっと多くの人が骨盤が前に出ていて腰がギュッと詰まった状態で、太ももの前側に体重を寄りかからせるような姿勢になりがちです。それはいわゆる「休め」の姿勢に近いです。体育の授業や全校集会でよくやりましたよね。休めの姿勢がなぜラクかというと、筋肉を使っていない状態で、骨や関節をロックして立っているからです。骨で支えて立っている状態なので、これは「骨性支持」といいます。

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photo by Yuki Horikawa

一方で、筋肉で支えて立っている状態を「筋性支持」といいます。若いうちは比較的「筋性支持」で立つことができていますが、加齢に伴い筋力が低下すると、どうしても「骨性支持」に移行してしやすくなります。本来私たち人間は骨や関節なく筋肉で立つべきです。というのも、骨や関節は使えば使うほど年齢とともに経年劣化するものですが、筋肉は90歳や100歳になっても鍛えれば鍛えただけ鍛えられるものだからです。つまり骨や関節よりも、筋肉の方が長持ちするのです。

また、「骨性支持」で立った場合、骨や関節に負担をかける上、不良姿勢になりやすいです。すると脊柱本来のS字カーブが損なわれ、重心のかかり方が崩れて、筋肉がうまく力を発揮できなくなり、その結果体幹や四肢の痛みや故障へとつながってしまいます。

「筋性支持」で立つには?

では、「筋性支持」で立つにはどうしたら良いのでしょう?「休め」のような「骨性支持」姿勢からどのように修正していくのか、ポイントをお伝えします。

まず、前方に突き出した骨盤を後方に引くように戻します。かかとの真上に骨盤を持ってくるように意識すると上手くいきます。すると急にかかと重心になるので最初はふらつくと思います。そこから、骨盤を後方に引いた影響で上半身は反りがちになっているので、上半身を少し正面に起こして、骨盤の真上に肩そして耳が並ぶように骨盤から上のアライメントを整えてみましょう。

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photo by Yuki Horikawa

ここまできたら、この時にぜひ体感して欲しい筋肉の働きがあります。部位は「太ももの前」と「お腹」です。この2か所に姿勢を保とうとブレーキをかけるような力がグッと入りましたか?ここに力が入るのを実感できたら成功です。本来「筋性支持」できちんと立てている場合、ここの筋肉が必ず働いています。言い換えれは、普段「骨性支持」でラクに立っている時にサボっている筋肉でもあります。

まとめ

今回は姿勢についてお話しました。「骨性支持」ではなく「筋性支持」で立つ必要性、そして「筋性支持」での立ち方のポイント、ご理解いただけましたか?これからまだ何十年と付き合っていく自分自身のかけがえのない身体です。長持ちさせるためには身体の使い方の「ルール」というものがあります。実はまだ他にもルールはたくさんあります。知れば知るほど面白いと思うので、また紹介していきますね。

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堀川ゆき

堀川ゆき

理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。



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